不揃いの美学
19世紀後期のフランス製。
5石のダイヤモンドが横一列に並んでいるのですが、良い意味でその表情や煌きが、均一的でないです。
ルーペでじっくり観察すると、真ん中の一番大きなダイヤモンドだけがローズカットになっていて、残りの4石がオールドヨーロピアンカットになっています。
真ん中の石だけ後年入れ替えられたのではと思うところなのですが、台座にとてもがっしり組み込まれた完璧な当時のローズカットダイヤモンド。
また4石のオールドヨーロピアンカットもクラウン部分がとても小さく、一瞬ローズカットに似ているように見えるような形になています。
これはやはり作家さんの意図なんです。
微妙に異なる煌きの違いが、独特の表情を生み出していて、これまでにないダイヤモンドの愉しみ方を教えてくれる指輪です。
直径4ミリ近くととても大粒のダイヤモンド
また写真では伝わりにくいかもしれませんが、いずれのダイヤモンドもぱっと見た感じよりずっと大きさがあります。
何と直径4ミリ近くあります。
台座に深く埋め込まれていて、横からご覧頂くと分かりやすいですが、ホワイトゴールド台座の横幅がかなり厚みがあるので、大きさの割りに目立たないようになっているのです。
台座の厚みのために、控えめ輝き方になっています。
それでも質の良いダイヤモンドなので、キラリキラリと輝きます。
そしてカッティングの違いからその反射の仕方が微妙に石により異なるのが面白いです。
(残りの4石も同じオールドヨーロピアンカットとは言え、それぞれ微妙に形が異なります)。
現代では、こんな独創的なダイヤモンドの使い方をしたジュエリーは作られません。
一見シンプルなのに至極贅沢で面白い指輪です。
地金は18金ゴールド。
指輪サイズは15号(有料でサイズ直し可)。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーの王様と言えばやはり「アンティークダイヤモンドリング」です。
一言でアンティークダイヤモンドと言っても年代や国場所等によって実に様々なダイヤモンドリングが作られました。
年月と共に見て行きましょう。
1)まずは17世紀末まで遡るダイヤモンドリング。
この時代のダイヤモンドのカッティングは、テーブルカットが主流です。
2)次に少し年代があがり、18世紀後期のリングです。
18世紀のダイヤモンドはテーブルカットにされることもありましたが、ローズカットのことも多いです。
このリングのダイヤモンドは、ローズカットにされています。
3)こちらも同時代、やはり18世紀後期のリングです。
このリングではダイヤモンドはテーブルカットになっています。
4)少し年代があがって1800年頃のリング。
こちらのリングは南仏のものです。
5)イギリス、ジョージアン王朝時代後期(1820-1830年頃)のリング。
大きめのローズカットダイヤモンドです。
6)第二帝政期(1860年頃)のダイヤモンドリング。
ブルーエナメルも効果的に用いられています。
7)19世紀後期(1880年頃)ローズカットのダイヤモンドリング(フランス)。
8)アールヌーボーの特徴が出たダイヤモンドリング。
9)イギリスで言うところのエドワーディアン(1910年頃)のダイヤモンドリング。
プラチナ細工が美しいです。
10)アールデコのデザインと技術が秀逸な個性的なリング。
11)ヴィンテージと呼ぶべき、1940年代のリング。
国や地方によって特徴的なリングが見つかるのも、ダイヤモンドリングの面白さです。
11)下記は南仏アルルの作品。
12)下記はオランダの典型的なダイヤモンドリング。
ダイヤモンドはもちろんダッチローズカットです。
いかがでしょう?
一言でアンティークダイヤモンドと言いましても、ダイヤモンドのカッティングに始まり地金の違いやデザインのバリエーション等々、ダイヤモンドリングを見ればアンティークジュエリーのバラエティの豊かさを感じていただけたことと思います。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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