希少なエナメルのアンティークリング
高度な技術と手間が必要なエナメル。
加熱する温度は色によって異なりますが、ガラス質のエナメル粉末を金属に載せ、800度近くの熱で焼成を繰り返し発色させて作り上げます。
現代ジュエリーで、このようなエナメルジュエリーはまず作ることができません。
アンティークジュエリーでもエナメルのジュエリーはペンダントやブローチがほとんどで、面積の制約が大きいリングでエナメルが施されたものは少ないです。
特にリングの一部ではなくこのようにリング全体にエナメルを施すのは、リングの曲線部分を含むために至難の業です。
エナメルの剥げを気にされる方も多いかと思いますが、このように、ガラス釉薬を高温で焼き付けたエナメル(「ホットエナメル」と呼ばれます)は傷つきにくいです。
特にこのリングはエナメル部分が厚いです。
手にすると分かりますが表面積からは想像できないほど、重みがあるのはそのためです。
実際に同程度の表面積のリングの2倍程の重さがあります。
高貴なロイヤルブルーとホワイトエナメル
鮮やかなブルーエナメルとホワイトエナメルの2色のエナメル。
特にブルーエナメルは「ロイヤルブルー」と呼ばれる艶やかな色です。
透明感のある美しいブルーで、長い年月を経てもこれだけ鮮やかな色を保っているところが、やはりエナメルが「永遠の塗料」と言われる所以です。
色が切り替わるところには、ゴールドの輪が入っています。
デザイン上のアクセントである他、エナメルをここで区切る実用的な理由、堅牢さも出ています。
エナメルはとても良い状態ですが1か所、1ミリ程の円形の剥げが見られます。
上から透明の釉薬が塗られているので、広がる心配はまずないです。
指輪サイズ約11.号(サイズ直しは不可)。
地金はエナメルの間と間に挟まれた輪っ子の部分はゴールド。
エナメルの内側は見えないのではっきりしませんが、14カラットゴールドあるいはシルバー。
19世紀後期-1900年頃の推定ロシア製。
動画も撮影しています。
ロイヤルブルー アンティークエナメルリング(ホワイトエナメル)
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アンティークジュエリーで時々登場するエナメル。
その柔らかな質感は、どんな高価な宝石を使用したジュエリーにもかえがたい魅力があります。
エナメル(七宝焼き)とはさて一体どのようにして作るのでしょう?
エナメルはゴールドや銀などの金属製の下地の上に釉薬(ガラス質、鉱物質の微粉末を水と糊でペースト状にしたもの)を乗せ、摂氏800度前後の高温で焼くことによって作られます。
融けた釉薬によるガラス質の美しい彩色を施す技術です。
クロワゾネエナメルとは
アンティークジュエリーで見られるエナメル(エマイユ)技法のひとつで、エナメルの中でも高度な技術を要するエナメルにクロワゾネエナメルがあります。
クロワゾネエナメルとはいわゆる有線七宝のことです。
土台となる金属の上に1mmにも満たない金線を貼り付けて輪郭線を描き、できた枠内をエナメルで埋める装飾技術です。
フランスのアンティークジュエリーにおいて、クロワゾネエナメルによく用いられた色は赤や青、黒、白、緑などです。
「クロワゾネ(cloisonne )」はフランス語で「仕切られた」という意味からきています。
クロワゾネエナメルは基本的に金属の上に施されますが、下記では何とクリスタルの上にクロワゾネエナメルが施されています。
宝飾史に名を刻む19世紀後半に活躍したジュリアーノ一族が得意としたのも、クロワゾエエナメルです。
ジュリアーノは、19世紀後半にルネッサンス様式に着想を得たエナメルの重ね塗りで、一世を風靡。
白・黒、ブルー・白の点描などが有名です。
カルロジュリアーノの二人の息子、カルロとアーサーが父の跡を継ぎ、ジュリアーノ一族のエナメルワークは更なる発展を見せます。
アールヌーボー時代には、透明なエナメルも好んで用いられました。
アールヌーヴォーの時代に日本の有線七宝の影響を受けて、それがフランスで進化し、鮮やかな発色のエナメルがアンティークジュエリーが生まれました。
スイスジュネーブのスイスエナメル、フランスリモージュ地方のリモージュエナメルも人気です。
リモージュエナメルもクロワゾネエナメルの作品を主としています。
下記は当店扱いのリモージュエナメルのペンダント。
多色使いが見事です。
エナメルは指輪のショルダーなど、ジュエリーに部分的に用いられることも多くありました。
下記のケースでは、ショルダーのところに黒いエナメルが入っています。
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