リモージュエナメル、作家のサイン入りペンダント
エナメルで知られるリモージュで制作されたペンダントトップ。
リモージュエナメルは、作家のサインが入っていないものがほとんどですが、こちらのペンダントに裏面に作家Faure Martyのサインが入っています。
Faure Martyは1900-1920年頃に活躍したリモージュの作家で、ジュエリーの他にエナメル彩の施されたアールヌーボーやアールデコの陶器なども残しています。
同時代のルネラリックのような知名度はありませんが、オークションなどでもその名前が記されて取引をされるレベルの作家です。
そのサインが入ったジュエリーはやはり価値があります。
図柄はリモージュエナメルが得意とした女性の肖像画です。
光沢があり、光の当たり具合によって鮮やかな色が浮かび上がります。
多彩な色合いのエナメル
艶やかな明るい赤色を背景に、穏やかな表情の女性が描かれています。
女性は帽子をかぶっており、黄色、青、紫、シルバー。
着衣にも黄色、紺、紫、銀色と実に多彩な色合いが用いられています。
リモージュエナメルは「シャンルヴェ技法」といって、金属の下地を彫り下げて窪みを作り、そこに何度も焼成と研磨を繰り返しながら透明から不透明まで様々なエナメルを入れていきます。
使われるが色ごとに薄い隔壁で区切りますが、これだけ多彩な色のエナメルを入れるのは色漏れしやすく大変な作業です。
赤色の背景は、地金を少し荒らしてその上に半透明の赤色のエナメルを施すことで、独特のテクスチャーを出しています。
この明度は高いけれど深みのある赤色が、女性像に絵画の額縁のような輪郭を与えています。
フレーム部分は18金ゴールド。
1900年頃のフランス製。
注:チェーンは付いていません。
動画も撮影しています。
署名入りリモージュエナメル アンティークペンダント(作家Faure Marty)
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リモージュ(Limoges)はパリから約400キロに位置するフランス南西部にある町です。
この小さなフランスの町は、2つのことで世界的に知られています。
それが「磁器」と「エナメル」です。
18世紀の中頃、磁器の主原料カオリンの鉱脈がこの地で発見されて以来、フランス王朝の華やかな宮廷生活を飾った磁器づくりの都となります。
18世紀ロココ時代、貴婦人のあいだで珍重された愛らしいボックス(リモージュボックス)が流行します。
下記は当店で販売済みのリモージュの香水瓶ボックス。
このような小さなリモージュの小物入れは、かつてはアンティーク市場で比較的豊に見つかったのですが、昨今はめっきり見かけなくなりました。
一方リモージュを世界的にエマイユ(エナメル)でも有名になります。
リモージュでは古くからステンドグラスの制作が行われ。 リモージュボックスの絵付にはこのエマイユの技術が、活かされていました。
シャンルヴェ・エナメルエナメル
リモージュエナメルは、シャンルヴェ・エナメル(フランス語でエマイユ・シャンルヴェ)という技法で作られています。
金属の下地(胎)を彫り下げるなどして作った窪みを様々な素材で埋め、彫り下げていない下地の部分と埋める素材によって装飾パターンを描いていきます。
焼成過程でせっかく描いたものが流れ出てしまうこともあり、高度な技法です。
下記はリモージュの作家、Faure Martyによるペンダントです。
光の当たり具合によってエナメルの色が鮮やかに浮かび上がる、エナメルならではの幻想的な美しさです。
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