オールドヨーロピアンカットとローズカットの競演
このような円形のペンダントは、フランス語では「雫(goutte)」と呼ばれます。
名前の通り、水の雫をイメージしています。
円形のものか、雫型ものが多いです。
中心のダイヤモンドはオールドヨーロピアンカットです。
メインダイヤモンドの台座はバターカップ(キンポウゲ)になっています。
外枠は円形になっていて、この部分にもローズカットダイヤモンドがぎっしりと敷き詰められています。
更にペンダント通し部分にもダイヤモンドが埋め込まれるようにセットされています。
ペンダント通しのダイヤモンドもすべてローズカット。
「オールドヨーロピアンカットxローズカット」、2種類のオールドカットダイヤモンドの競演です。
ホワイトゴールドとプラチナ 白い2つの貴金属の競演
素晴らしいことに、白い地金も2種類用いられています。
18カラットホワイトゴールドとプラチナです。
イエローゴールドバックで表面がプラチナになった作品は、ベルエポック時代(エドワーディアンの頃)によく見られるスタイルですが、白い地金同士を合わせているのは面白いです。
横から見ると分かりやすいですが、上部(表面部分のみ)がプラチナになっています。
メインの地金は18金ホワイトゴールドなので、ペンダントの台座側面にフランスの18金の刻印が押されています。
なぜこのような手のかかることをしたかと言えば、やはり当時使われ始めて間もなかったプラチナのよく伸びる属性。
少ない量のプラチナでダイヤモンドを留めることで、ダイヤモンドのセッティングをより軽やかに洗練されたものにするためです。
外枠とペンダント通しの縁には、外側にも内側にも細かなミルが打たれていて、これもプラチナの十八番です。
20世紀初頭のフランス製。
18カラットゴールドホワイトゴールドとプラチナ。
注:チェーンは付いていません。
動画も撮影しています。
アンティークダイヤモンドペンダント(ホワイトゴールドとプラチナ)
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オールドヨーロピアンカットとは、現在のブリリアンカットの原型と言われるカッティングです。
そのカッティングの特徴はアウトラインが丸く、原則的にシンメトリーでテーブルは八角形で小さめです。
オールドマインカットと同様、、ブリリアンカットに比べてテーブル(上部の平らな部分)が小さく、それに続く斜めの部分(クラウン)に厚みがあるのが特徴です。
オールドマインカットとオールドヨーロピアンカットの違いは、オールドヨーロピアンカットの方が円形でよりシンメトリーであること。
クラウンはオールドマインカットよりは浅くなり、テーブルもオールドマインカットよりは大きくなります。
しかし現代のブリリアンカットと比べますと、オールドヨーロピアンカットもクラウンが高くガードルが厚いです。
キューレットもオールドマインカット同様、大きいです。
逆に言いますと現代のブリリアンカットは、クラウンが更に浅くなりアッパーパビリオンが短くなり、テーブル面が大きくなったと言えます。
クラウンに高さがありガードル面積が大きいのでダイナミックなシンチレーションが出るのが、オールドヨーロピアンカットならではの魅力です。
下記は当店扱いのオールドヨーロピアンカットダイヤモンドのクローバーリング。
燦々と煌き、大きさ以上の迫力が出ています。
アンティークのダイヤモンドがさまざまな角度から見たときの煌きに驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ブリリアントカットは数学的に計算されたカットなので、正面から静止して見る分には美しいのですが、ジュエリーは身に着けると当然動きます。
動いたときの美しい輝きという意味でもやはり、オールドヨーロピアンカットに軍配があがります。
オールドヨーロピアンカットはオールドマインカットと同様、正面から見たときに石の中心が穴が開いているように見えます。
もちろん穴があいているわけではなく、キューレットを削り落とすカッティングであったため正面から見るとそう見えます。
オールドヨーロピアンカットより前に出てくるカッティングにオールドマインカット(クッションシェイプカット)については、アンティークダイヤモンドのカットクッションシェイプ(オールドマインカット)ダイヤモンドとはとはをご参照ください。
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