雫のダイヤモンドペンダント
水の雫がモチーフのペンダント。
フランス語で「雫(goutte)」と呼ばれます。
こうした雫をモチーフにしたペンダントネックレスは、フランスでは1900年頃に作られました。
雫のペンダントは真円のものも多いですが、このペンダントは外枠が雫形です。
内側でダイヤモンドが揺れる作りになっています。
ダイヤモンドは僅かにスクエアを帯びたオールドマインカット(クッションシェイプ)ダイヤモンドです。
キューレットがはっきり分かるぐらい大胆に落とされていて、直径3ミリ強と大きさがあり、また大きいだけでなく厚みがあります。
メインダイヤモンドの台座はバターカップ(キンポウゲ)になっています。
これもこの時代のフランスのジュエリーによく見られ、まさにベルエポック時代のフランスジュエリーの王道を行く作品です。
雫の上はリボン
雫の形をした外枠には、ダイヤモンドのタペストリーのように多くのダイヤモンドが敷き詰められています。
外枠のダイヤモンドは合計11石。
すべてローズカットダイヤモンドです。
ダイヤモンドと粒金が交互にセットされていて(先端の細い部分は粒金のみ)、全体がキラキラと煌めきます。
愛らしいことに雫の上はリボンのシェイプになっています。
「リボンと雫とバターカップ」、これ以上ないようなエレガントな組み合わせです。
そしてリボンの部分にも、小さなローズカットダイヤモンドが5石埋め込まれるようにセットされています。
全体は18カラットイエローゴールドで、表層部分がプラチナです。
フランスではベルエポック時代(隣国イギリスでエドワーディアンの頃)によく見られる作りです。
プラチナはゴールドに比べて伸びるので、少量で宝石のセッティングが可能になり、レースのような繊細なセッティングが雫のペンダントによく合っています。
雫とリボンの縁に細かくミルグレインが打たれていますが、これもプラチナの十八番です。
1900年頃のフランス製。
注:チェーンは付いていません。
動画も撮影しています。
雫(しずく)とリボンのアンティークダイヤモンドペンダント
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リボンの前身である「結び(ボウ)」のモチーフのジュエリーはなんと中世の末にまで遡ることができます。
17世紀頃まで、こうした結び目のジュエリーが、シルクなどの布で作れれていました。
フランス18世紀、リボン(蝶結び)は非常に人気のあるモチーフでした。
その後、特にイギリスで宝石やエナメルで作られたリボンモチーフのジュエリーが作られていきます。
現存する有名なアンティークジュエリーに、下記のフランス皇帝ナポレオン3世の妻、ウージェニー皇后(Empress Eugenie)のために作られた141カラットのダイヤモンドをあしらったボウブローチがあります。
この歴史的なジュエリーは1855年、パリの宝石職人Francois Kramer氏によって製作されました。
当初、ベルト用のバックルとしてデザインされたジュエリーを、ウージェニー皇后が宝石職人に命じてストマッカー(胸当て)に作り直させ、その後、1864年にさらにダイヤモンドで作られた房2本とペンダント5つが追加され、皇后のお気に入りの1品となったと言われています。
その後1900年前後のベルエポック時代にエレガントな蝶結びの美しいボウジュエリーが作られました。
下記は19世紀後期のイギリス製のブローチ。
杖(つえ)とリボン(ボウ)がモチーフです。
1920年代にはそうした貴族的なベルエポックのリボンジュエリーがより直線的に様式化したアールデコの特徴が出たリボンジュエリーが作られます。
下記は1920年頃の、アールデコ様式のリボンブローチです。
そして1940年以降、今度はもっとモダンに解釈された少し大柄なリボンジュエリーを見ることができます。
1950年代はクリスチャン・ディオールに代表される、新しい時代の流れを予感させる、女性らしくエレガントなシルエットがファッション界を席捲。
「ライン時代」と表現されるこの時代、リボンモチーフはジュエリーの世界に再び隆盛します。
下記はブシュロン社が1950年代に製作したリボンモチーフのブローチ。
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