フランスのブレス地方のエナメル、エモー・ブレッサン
Emaux Bressants(エモー・ブレッサン)と呼ばれるエナメルのネックレスです。
ブレス (Bresse) は、フランスの古い州の名前で、現在のオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏の都市です。
フランス南東部のスイスに近い、山脈にはさまれた地域でかつてエナメルが発展しました。
エナメルがスイスなど山岳地帯で発展したのは、冬の間に可能な産業であったからです。
エモー・ブレッサンの歴史は古く、14世紀に遡ります。
エモーブレッサンはブローチが多く、これだけ広範囲で数多いパーツに施されたケースは珍しいです。
色も赤(えんじ色)、緑、青色と鮮やかです。
そしてどのエナメルも完璧な状態です。
エナメルの他、ガラスも施されています
それぞれのエナメル(エマイユ)はドーム状に盛り上がった円形で、地模様が映りこむ半透明です。
そのうえに金箔で絵を描き、緑や赤色の「宝石」のようなガラス石が散りばめられています。
この色艶やかな半透明のエナメルと、ガラスの宝石、金箔がエモーブレッサンの特徴です。
地金はヴェルメイユ(銀の上に金を上塗りしたいわゆるシルバーギルド)。
19世紀中ー後期と古い時代に遡る作品ですが、ヴェルメイユも相当しっかりとゴールドが塗られた上質な作りで今もしっかりゴールドの色を保っています。
重量もあり、ストンときれいに垂れてくれます。
これほど豪華なエモーブレッサンのジュエリーは希少です。
19世紀中-後期のフランス製。
ネックレスの長さは43.5センチ。
留め具と引き輪部分に工房印が入っています。
動画も撮影しています。
エモー・ブレサン(ブレス地方)エナメルネックレス(シルバーギルド)
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アンティークジュエリーで時々登場するエナメル。
その柔らかな質感は、どんな高価な宝石を使用したジュエリーにもかえがたい魅力があります。
エナメル(七宝焼き)とはさて一体どのようにして作るのでしょう?
エナメルはゴールドや銀などの金属製の下地の上に釉薬(ガラス質、鉱物質の微粉末を水と糊でペースト状にしたもの)を乗せ、摂氏800度前後の高温で焼くことによって作られます。
融けた釉薬によるガラス質の美しい彩色を施す技術です。
クロワゾネエナメルとは
アンティークジュエリーで見られるエナメル(エマイユ)技法のひとつで、エナメルの中でも高度な技術を要するエナメルにクロワゾネエナメルがあります。
クロワゾネエナメルとはいわゆる有線七宝のことです。
土台となる金属の上に1mmにも満たない金線を貼り付けて輪郭線を描き、できた枠内をエナメルで埋める装飾技術です。
フランスのアンティークジュエリーにおいて、クロワゾネエナメルによく用いられた色は赤や青、黒、白、緑などです。
「クロワゾネ(cloisonne )」はフランス語で「仕切られた」という意味からきています。
クロワゾネエナメルは基本的に金属の上に施されますが、下記では何とクリスタルの上にクロワゾネエナメルが施されています。
宝飾史に名を刻む19世紀後半に活躍したジュリアーノ一族が得意としたのも、クロワゾエエナメルです。
ジュリアーノは、19世紀後半にルネッサンス様式に着想を得たエナメルの重ね塗りで、一世を風靡。
白・黒、ブルー・白の点描などが有名です。
カルロジュリアーノの二人の息子、カルロとアーサーが父の跡を継ぎ、ジュリアーノ一族のエナメルワークは更なる発展を見せます。
アールヌーボー時代には、透明なエナメルも好んで用いられました。
アールヌーヴォーの時代に日本の有線七宝の影響を受けて、それがフランスで進化し、鮮やかな発色のエナメルがアンティークジュエリーが生まれました。
スイスジュネーブのスイスエナメル、フランスリモージュ地方のリモージュエナメルも人気です。
リモージュエナメルもクロワゾネエナメルの作品を主としています。
下記は当店扱いのリモージュエナメルのペンダント。
多色使いが見事です。
エナメルは指輪のショルダーなど、ジュエリーに部分的に用いられることも多くありました。
下記のケースでは、ショルダーのところに黒いエナメルが入っています。
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