ローズカットダイヤモンドのクラスターペンダント
大粒のダイヤモンドがギュッと凝縮したように詰まったペンダントです。
全てのダイヤモンドがローズカットされています。
ローズカットダイヤモンドはあまり透明感のないものも少なくないのですが、こちらのペンダントのダイヤモンドはいずれも透明感があり粒ぞろい。
いずれの石も燦々と煌めいています。
特に真ん中の石は直径4ミリ強と大きさがあります。
いずれもファセット面の多いダッチローズカットにされています。
脇石は一般的にはもう少しサイズの小さな石を用いることが多いですが、メイン石とあまり大きさの変わらない石が8石。
ローズカットダイヤモンドは破片の様に薄い石も少なくないですが、いずれの石も非常に厚みがあります。
ペンダント自体は小さめ、ダイヤモンドは大きめ
ダイヤモンドが贅を尽くして用いられていますが、ペンダント自体はフェイス部分が横が1センチ、縦が1.2センチ弱と非常にコンパクトです。
小さな面積に凝縮したように宝石が散りばめられたアンティークジュエリーは、私たち日本人に良く似合うことが多いです。
オーバル(楕円形)の何にでも合わせやすそうなシルエット。
ダイヤモンドの台座は透かしがこの時代らしいです。
注:写真では角度によって、ダイヤモンドが台座に隠れて見えるのでクローズドセッティングにも見えるかもしれませんが、ダイヤモンドと台座の間にはしっかりとした隙間があり、ダイヤモンドはすべての石が完全なオープンセッティングになっています。
透明感のある美しいダイヤモンドで、光を取り込みきれいに煌めきます。
19世紀後期-20世紀初頭。
ハイカラットゴールド(14-18カラットゴールド)。
西ヨーロッパ製。
注:チェーンは付いていません。
動画も撮影しています。
ローズカットダイヤモンド アンティークペンダントトップ
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ローズカットダイヤモンドとは
ローズカットダイヤモンドは、ブリリアンカットが主流となっている現在においては珍しい存在で、「アンティークジュエリー」ならではの味わいのあるものとして人気があります。
ローズカットとは、底辺が平らでドーム上にもりあがった上部に三角形のファセットカットが施されたカッティングのことです。
表面に細かなファセットが入っていて、ダイヤモンドの上部にテーブル(平らな面)がなく、バラのつぼみが開いたように見えます。
ローズカットダイヤモンドの歴史
フランスでローズカットのダイヤモンドジュエリーは特に18世紀から19世紀半ばのジュエリーに見られますが、ブリリアンカットが19世紀半ばに登場してからも完全になくなるわけではなく、特に小さなダイヤモンドでは度々用いられ続けます。
ダイヤモンドのカッティングは大まかに言いますと
「ポイントカット→テーブルカット→ローズカット→ブリリアンカット」と変遷していきます。
ところでローズカットダイヤモンドはアンティークジュエリーの代名詞のように語られることが多いですが、現代でもカッティングそのものは可能です。
「ローズカットダイヤモンドだから必ずしもアンティークジュエリー」とは限らないということぜひ気に留めておかれてください。
ローズカットダイヤモンドは煌めかない?
またローズカットダイヤモンドはブリリアンカットのように「どこから見ても輝くよう計算されたカッティング技法」ではありませんので「ローズカットダイヤモンドは光らない」とおっしゃる方もいます。
しかし良質なローズカットダイヤモンドは控えめな輝きながらも、綺麗に煌きます。
下記は当店で販売済みの大粒のローズカットダイヤモンドのピアスですが、燦々と煌めくダイヤモンドが印象的です。
2種類のローズカット
また驚かれるかもしれませんが、一言で「アンティークダイヤモンドのローズカット」と言っても、実はローズカットも何種類かありそれぞれ異なります。
例えば下記は「ダッチローズカット(Holland cutting)」と呼ばれるものです。
ダッチローズカットは普通のローズカットよりカット面数が多く、ダッチローズカット・ダイヤモンドは、優れたカットの石が使われていることが多いです。
ちなみにその名前からも分るようにダッチローズカットはオランダで生まれましたが、オランダに限らずフランスなどのアンティークジュエリーでも見られます。
ダッチローズカットはよくローズカットの見本のように示されていますが、実際のアンティークジュエリーではもっとファセット面が少なく簡略化されたローズカット(「シンプルローズカット」と呼ばれることもあります)の方がむしろ多く見られます。
シンプルローズカット
他にも底がちょっと厚みがあるものとか、上部がドーム状にふくらんでいるもの等々、ローズカットも色々違いがあります。
ローズカットダイヤモンドの年代
ローズカットは主に17世紀半ばから19世紀半ばにかけてジュエリーに用いられます。
17世紀半ば以前はダイヤモンドはテーブルカットや原石に近いダイヤモンドが用いられており、1850年以降はオールドヨーロピアンカット(ブリリアンカットの一種)が登場します。
しかしながらその後も特に脇石などの小さめのダイヤモンドにはローズカットが施されることも多く、「ローズカット」と言うカッティングだけからそのジュエリー(あるいはダイヤモンド)の年代を特定することは難しいです。
下記は比較的後年の20世紀に入ってからのローズカットダイヤモンドのリングです。
ダイヤモンドのカッティングは年代を特定する大事な要素の一つには違いありません。
18世紀のローズカットと19世紀のローズカットには違いも見られます。
一般的に18世紀のローズカットのカッティングは19世紀のそれよりずっと平坦で、またダイヤモンドももっと中に黒い内包物の見られるものが多いです。
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