ダッチローズカットダイヤモンドのバラの花の指輪
「ザ・ダッチアンティークジュエリー」と呼ぶべき、オランダの典型的なアンティークリングです。
バラの花の形の指輪です。
中心の大きなダイヤモンドを二重に小さなローズカットダイヤモンドが取り巻き、バラの花を描いています。
ボリュームあるバラの花の形のベゼルが圧巻です。
ダイヤモンドはもちろんダッチローズカット(Holland cutting、アムステルダムカットとも言います)です。
アンティークジュエリーでよく見かけるシングルカットのローズカットよりカット面が多く、堂々たる佇まい。
(ちなみにダッチローズカットはオランダ以外の国でも見られます。)
ベゼルの大きさは直径1.6-1.7センチと、指輪そのものも大きく迫力があります。
大きさだけでなく厚みもあり、重量もあるボリュームのあるリングです。
美しいベゼル、残された刻印・・・完品です
ボリュームや迫力だけでなく、装飾性も豊かで特にシャンクが美しいです。
シャンクには、オークの葉が彫金で描かれています。
オランダを象徴するモチーフです。
ショルダーにも広範囲に彫金が施されていて、こうした彫金もフランスやイギリスのものに比べてダイナミックで面白いです。
地金はダイヤモンド周りが銀で、それ以外のベゼル等がすべてイエローゴールド。
ゴールドはオランダの場合ほぼ必ず14金になります。
刻印は2箇所綺麗に残っており片方が14金の刻印、片方が工房印です。
どこの工房か読み取れず残念ですが、その作風と完成度からローゼンダール工房の可能性も高いです。
19世紀後期のオランダ製。
指輪サイズは14号(有料でサイズ直し可)。
動画も撮影しています。
ダッチローズカット指輪(オランダ製、14金ゴールド)
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ローズカットダイヤモンドとは
ローズカットダイヤモンドは、ブリリアンカットが主流となっている現在においては珍しい存在で、「アンティークジュエリー」ならではの味わいのあるものとして人気があります。
ローズカットとは、底辺が平らでドーム上にもりあがった上部に三角形のファセットカットが施されたカッティングのことです。
表面に細かなファセットが入っていて、ダイヤモンドの上部にテーブル(平らな面)がなく、バラのつぼみが開いたように見えます。
ローズカットダイヤモンドの歴史
フランスでローズカットのダイヤモンドジュエリーは特に18世紀から19世紀半ばのジュエリーに見られますが、ブリリアンカットが19世紀半ばに登場してからも完全になくなるわけではなく、特に小さなダイヤモンドでは度々用いられ続けます。
ダイヤモンドのカッティングは大まかに言いますと
「ポイントカット→テーブルカット→ローズカット→ブリリアンカット」と変遷していきます。
ところでローズカットダイヤモンドはアンティークジュエリーの代名詞のように語られることが多いですが、現代でもカッティングそのものは可能です。
「ローズカットダイヤモンドだから必ずしもアンティークジュエリー」とは限らないということぜひ気に留めておかれてください。
ローズカットダイヤモンドは煌めかない?
またローズカットダイヤモンドはブリリアンカットのように「どこから見ても輝くよう計算されたカッティング技法」ではありませんので「ローズカットダイヤモンドは光らない」とおっしゃる方もいます。
しかし良質なローズカットダイヤモンドは控えめな輝きながらも、綺麗に煌きます。
下記は当店で販売済みの大粒のローズカットダイヤモンドのピアスですが、燦々と煌めくダイヤモンドが印象的です。
2種類のローズカット
また驚かれるかもしれませんが、一言で「アンティークダイヤモンドのローズカット」と言っても、実はローズカットも何種類かありそれぞれ異なります。
例えば下記は「ダッチローズカット(Holland cutting)」と呼ばれるものです。
ダッチローズカットは普通のローズカットよりカット面数が多く、ダッチローズカット・ダイヤモンドは、優れたカットの石が使われていることが多いです。
ちなみにその名前からも分るようにダッチローズカットはオランダで生まれましたが、オランダに限らずフランスなどのアンティークジュエリーでも見られます。
ダッチローズカットはよくローズカットの見本のように示されていますが、実際のアンティークジュエリーではもっとファセット面が少なく簡略化されたローズカット(「シンプルローズカット」と呼ばれることもあります)の方がむしろ多く見られます。
シンプルローズカット
他にも底がちょっと厚みがあるものとか、上部がドーム状にふくらんでいるもの等々、ローズカットも色々違いがあります。
ローズカットダイヤモンドの年代
ローズカットは主に17世紀半ばから19世紀半ばにかけてジュエリーに用いられます。
17世紀半ば以前はダイヤモンドはテーブルカットや原石に近いダイヤモンドが用いられており、1850年以降はオールドヨーロピアンカット(ブリリアンカットの一種)が登場します。
しかしながらその後も特に脇石などの小さめのダイヤモンドにはローズカットが施されることも多く、「ローズカット」と言うカッティングだけからそのジュエリー(あるいはダイヤモンド)の年代を特定することは難しいです。
下記は比較的後年の20世紀に入ってからのローズカットダイヤモンドのリングです。
ダイヤモンドのカッティングは年代を特定する大事な要素の一つには違いありません。
18世紀のローズカットと19世紀のローズカットには違いも見られます。
一般的に18世紀のローズカットのカッティングは19世紀のそれよりずっと平坦で、またダイヤモンドももっと中に黒い内包物の見られるものが多いです。
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