アールヌーボーの作家 Andre Royerのサインドピース
アールヌーボーの書籍などにも掲載のあるAndre Royer(A Royer)のサインが入ったリングです。
写真は「The Paris Salons 1895-1914 Jewellery」という専門書からの抜粋です。
この本に掲載されている指輪の一つに、こちらのリングはデザインが酷似しています。
アールヌーボーのジュエラーは多くいましたが、サインの入ったものは少なくそれを文献等で辿ることのできる作家も限られています。
アールヌーボーのジュエリーはペンダントやブローチなどが多く、リングは珍しいです。
そんな珍しいリングにきっちりと署名の入ったこの作品は、一層貴重です。
艶のある素晴らしいクリソプレーズ
緑石はクリソプレーズです。
かのアレキサンダー大王も胸飾りにしていた宝石クリソプレーズ。
今日それほど高価な宝石のイメージはないかもせいれませんが、クリソプレーズは歴史の中で高価に取引されてきた宝石です。
大粒のエメラルドグリーンで艶のある素晴らしいクリソプレーズが、贅沢な使い方をされています。
ショルダー部分の草花模様はアールヌーボーの典型で、アーティスティックでアンシメトリーな大胆な彫刻です。
指輪自体大きさがあり、ショルダーもダイナミックに拡がり見栄えのするリングです。
1900年頃のフランス製。
指輪サイズは11号。
(指輪に高さがあるので実際には11号ぐらいの感覚で着けれます)。
地金が銀であるためにサイズ直しはできません。
動画も撮影しています。
クリソプレーズ アールヌーボーサイン入りリング(A Royer)
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アンティークジュエリーで時々目にする緑色の石、クリソプレーズ。
古くはローマ時代からカメオなどの装飾品に用いられてきました。
かのアレキサンダー大王もクリソプレーズを胸飾りにしていました。
アンティークジュエリーでは特に、19世紀半ばからアールデコ期にかけてのジュエリーに時々見ることができます。
クリソプレーズとは、黄緑色や薄緑色のカルセドニー、つまり瑪瑙(めのう)の一種であることから「緑玉髄(りょくぎょくずい)」とも呼ばれます。
下記はアールヌーボー期のクリソプレーズのリング。
カルセドニーとは、微小な石英が集まって形成されている石です。
和名で「玉髄(ぎょくずい)」とも言い、石英の非常に細かい結晶が網目状に集まり、緻密に固まった鉱物の変種です。
カルセドニーの中で、黄緑色をしたものを「クリソプレーズ」と呼び、クリソプレーズよりもくすんだ緑をしているものを、「グリーンカルセドニー」と分類しています。
「カルセドニー」と言いますとあまり高価な印象がないかもしれませんが、クリソプレーズはカルセドニーの中でもっとも産出量が少なく、高価に取引されます。
クリソプレーズのグリーンはその明るさから強くイエローをイメージさせます。
その色合いから「金」の中から生まれた宝石と考えられました。
ギリシャ語の「chryso(金)」と緑色の植物「prason(韮)」が語源です。
クリソプレーズと一言で言いましても色の幅はかなり広いです。
エメラルドグリーンの透明感あるクリソプレーズは、特にアールデコ期のハイクラスなジュエリーで見ることが多いです。
下記は当店で販売済みの大粒のクリソプレーズを大胆に用いたアールデコ期のロングピアスです。
このクリソプレーズはまさにお見本のようなクリソプレーズの色で、いつも鑑別をお願いしている鑑別士さんも絶賛でした。
エメラルドより明るく翡翠より深みのあるエメラルドグリーンのクリソプレーズは見ているだけで心が洗われていくようです。
アールデコ期以降はヴァンクリーフアーペルなどの名だたるメゾンがやはりクリソプレーズを用いたジュエリーを生み出しています。
下記は1970年代、ヴァンクリーフアーペルのクリソプレーズとダイヤモンドのブローチです。
同じく下記はやはりヴァンクリーフ・アーペルが同時代に発表した珊瑚とクリソプレーズのゴールドペンダントネックレスです。
こちらの2つのヴァンクリーフアーペルの作品では少し濃い緑色のクリソプレーズが使われています。
他の宝石にはない豊かな緑色の幅もこうしたグランメゾンのクリエイションを掻き立てた理由でしょう。
下記はもう少し後年の1970年代のリング。
アールデコを回帰した幾何学的なシルエットのリングです。
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