ヨーロッパで大人気の1970年代のヴィンテージジュエリー
近年、ヨーロッパ特にロンドンのアンティークディーラーがこぞって探しているのが1970年代のジュエリーです。
特にグリマ(Andrew Grima)、Alan Gard、John Donaldなどの70年代に活躍した著名な作家のジュエリーは近年評価が止まることを知りません。
今、ヨーロッパでもっとも儲かっているディーラーは、この時代のジュエリーをいち早く押さえた先見の眼のあったディーラーたちと言われています。
私も個人的に70年代の良く出来たジュエリーは好きなので、良いものを見つけることができたときは入手するようにしていますが、既に値段が高いです。
この指輪はサイズが小さめということで、幸運でした。
ジュエリー全体のボリュームが大きい1940-1950年代のジュエリーと比べて、1970年代のジュエリーは大きすぎません。
また70年代のジュエリーはアールデコのスピリットを受け継いだ、シャープな前衛的なデザインを得意としますので、日本女性にもお好きな方は多いと思います。
この時代の著名なジュエラーおよびクオリティーの高いジュエリーは今後ますます目が離せません。
70年代の良質のジュエリーは買えるうちに、手に入れるべきです。
この指輪は1970年代のフランス製。
フランスで仕入れてたまたまそのまま指にしていたところ、それから会ったありとあらゆるディーラーさんたちに褒めらました。
皆さん、やはりプロなだけに今一番需要のあるものに敏感です。
スクエアにカットされたクリソプレーズとゴールドのリング
スクエアにカットされた緑石はクリソプレーズです。
これだけの大きさのクリソプレーズはまずあまり見かけないですね。
シャープなエメラルドカットで、宝石のカッティングからも、高い技術が分かります。
指輪全体がクリソプレーズとゴールドだけでまとまった、色彩的にもすっきりとしたかっこいい指輪です。
イエローゴールドは艶消しが入念に施されており、少し緑の色彩を帯びたようなイエローゴールドが、クリソプレーズの緑色とぴったり合っています。
ベゼルの正面はスクエア、フレームは真円で、ベゼルの側面も幾何学的な形。
アールデコをよりダイナミックにシンプルにした直線的なラインのジュエリーは1970年代のデザインでよく見られます。
いわゆるショルダー部分がなく、シンプルで端正なラインが目立ちます。
宝石の裏面の台座部分を見れば、見たこともないような複雑なセッティングで、技術の高さに裏付けられた上での直線美であることが分かります。
手にするとずっしりと重みがあり、素材的にもとても贅沢に作りこまれた指輪です。
実際計量すると通常のアンティーク指輪の2倍ほどの重さがあることが分かります。
指輪サイズは10号。
サイズ直しは不可能ではありませんが、大きくするときはフレーム部分のゴールドに厚みと長さがありますので難易度が高いです。
あらかじめご相談下さい。
サイズダウンは問題ありません。
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アンティークジュエリーで時々目にする緑色の石、クリソプレーズ。
古くはローマ時代からカメオなどの装飾品に用いられてきました。
かのアレキサンダー大王もクリソプレーズを胸飾りにしていました。
アンティークジュエリーでは特に、19世紀半ばからアールデコ期にかけてのジュエリーに時々見ることができます。
クリソプレーズとは、黄緑色や薄緑色のカルセドニー、つまり瑪瑙(めのう)の一種であることから「緑玉髄(りょくぎょくずい)」とも呼ばれます。
下記はアールヌーボー期のクリソプレーズのリング。
カルセドニーとは、微小な石英が集まって形成されている石です。
和名で「玉髄(ぎょくずい)」とも言い、石英の非常に細かい結晶が網目状に集まり、緻密に固まった鉱物の変種です。
カルセドニーの中で、黄緑色をしたものを「クリソプレーズ」と呼び、クリソプレーズよりもくすんだ緑をしているものを、「グリーンカルセドニー」と分類しています。
「カルセドニー」と言いますとあまり高価な印象がないかもしれませんが、クリソプレーズはカルセドニーの中でもっとも産出量が少なく、高価に取引されます。
クリソプレーズのグリーンはその明るさから強くイエローをイメージさせます。
その色合いから「金」の中から生まれた宝石と考えられました。
ギリシャ語の「chryso(金)」と緑色の植物「prason(韮)」が語源です。
クリソプレーズと一言で言いましても色の幅はかなり広いです。
エメラルドグリーンの透明感あるクリソプレーズは、特にアールデコ期のハイクラスなジュエリーで見ることが多いです。
下記は当店で販売済みの大粒のクリソプレーズを大胆に用いたアールデコ期のロングピアスです。
このクリソプレーズはまさにお見本のようなクリソプレーズの色で、いつも鑑別をお願いしている鑑別士さんも絶賛でした。
エメラルドより明るく翡翠より深みのあるエメラルドグリーンのクリソプレーズは見ているだけで心が洗われていくようです。
アールデコ期以降はヴァンクリーフアーペルなどの名だたるメゾンがやはりクリソプレーズを用いたジュエリーを生み出しています。
下記は1970年代、ヴァンクリーフアーペルのクリソプレーズとダイヤモンドのブローチです。
同じく下記はやはりヴァンクリーフ・アーペルが同時代に発表した珊瑚とクリソプレーズのゴールドペンダントネックレスです。
こちらの2つのヴァンクリーフアーペルの作品では少し濃い緑色のクリソプレーズが使われています。
他の宝石にはない豊かな緑色の幅もこうしたグランメゾンのクリエイションを掻き立てた理由でしょう。
下記はもう少し後年の1970年代のリング。
アールデコを回帰した幾何学的なシルエットのリングです。
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