バゲットカットとラウンドカットのダイヤモンドリング(アールデコ)

バゲットカットとラウンドカットのダイヤモンドの競演 類似した指輪を見たことがない、珍しいダイヤモンドカッティング&デザインのリングです。
バゲットカットとラウンドカットの二種類のカッティングのダイヤモンドが用いられています。
アンティークのダイヤモンドジュエリーでは、「オールドヨーロピアンカットとローズカット」、あるいは「オールドマインカットとローズカット」の組み合わせは特に1900年前後のジュエリーで見られますが、この組み合わせのダイヤモンドジュエリーは初めて手にします。
「バゲットカット」はステップカット(宝石の外周が四角形に型どられており、ファセットが側面のガードルに対して平行に削られているもの)の一種です。
詳しくはエピソードに記していますが、アールデコ期にはダイヤモンドのカッティングも19世紀までの伝統的なローズカットに加えて、様々な革新的なカッティングが加わりました。
「円形と四角形」アールデコの特徴の一つである幾何学デザインが宝石のカッティングからも堪能できる、斬新なジュエリーです。 ハイセンスなデザインと精緻な宝飾技術 2本の輪が螺旋に絡んだような高度な作りになっています。
バゲットカットダイヤモンドの方が上の方に来ている箇所が途中で切り替わり、今度はラウンドカットダイヤモンドが上にきます。
それぞれ2回ずつ上に来る構造になってます。
作られたのはアールデコ後期の1930年頃。
1929年以降、ヨーロッパでは「白いジュエリー」が流行します。
その例に漏れず、宝石も地金も全てがホワイトのホワイトジュエリーです。
現代のお洋服との相性も抜群な秀逸なアールデコのリング。
これだけ独創的でありながら、どんなお洋服にも合わせやすいハイクオリティーのダイヤモンドリングはアンティークジュエリーでもなかなか出てこないです。
現代ジュエリーも適わない高度な宝飾技術等を踏まえますと、これだけハイクオリティーなダイヤモンドリングがこのお値段でお出しできるのは、まさにアンティークジュエリーならではです。
18カラットゴールド。
1930年頃のフランス製。
指輪サイズは12号。
サイズ直しは不可です。

  • 高さ:4.5mm 
    重量:3.8g
    商品の状態:良好
  • 販売価格:売り切れました。

バゲットカットとラウンドカットのダイヤモンドリング(アールデコ)

  • 宝石裏面の緻密さ。ラウンドカットダイヤモンドの石裏は葉の形になってます
  • 全体の指輪の縦幅が4.5ミリ程。流れるようなラインは高い宝飾技術の賜物です
  • バゲットダイヤモンドは縦2ミリx横3ミリ程。円形よりカットが難しいです
  • 交差するように見えますが実際は途中から伸ばしてます
  • フランス18金の刻印をこんな場所に巧みに打っています
  • バゲットカットとラウンドカットのダイヤモンドリング(アールデコ)
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アンティークエピソード

アールデコジュエリーとは何か

1930年、著名なデザイナーであったポール・イリブ(Paul Iribe)はアールデコのジュエリーについて以下のように述べています。
「キュービズムとマシンデザインのために、花を犠牲にしている」。
アールデコ期にも以前として花や葉っぱなどの自然主義のモチーフのジュエリーも存続しつづけますが、「抽象的なジェオメトリックなデザインの台頭」なしにこの時代の動きは語れません。

下記は1927年、Lacloche Freres(当時美しいアールデコのジュエリーを多く生み出したスペインのメゾン) によるサイプレスの枝を描いたピンです。
同じく葉や枝をモチーフにしたジュエリーでも、19世紀のものとは一線を画したジュエリーであることが一目瞭然です。

Lacloche Freres

アールデコを生み出した社会要因
ではなぜそのようなラディカルな変化がデザインの世界に起きたのでしょう?
パリで「アールデコ」という新しい芸術が発祥した理由は、まずなんと言っても第一次世界大戦によって古い価値観が崩れ、女性の社会進出をはじめとした社会革新が起きたことです。
社交界で豪華なジュエリーを付けるのは前世紀から変わりませんが、当時の富裕な女性たちは、デザインの面で大きく変化したジュエリーを好むようになります。
化粧をしたりタバコもすったモダンな富裕な女性たちのライフスタイルの変化が、ジュエリーのデザインにも変化をもたらします。

彼女たちの求めた洋服やジュエリーは、第一次大戦前までの貴族社会の中で続いてきたものとは全く違うクリエイションによってもたらされています。
ドレスデザイナーたちは第一次世界大戦後のこの時代によりシンプルなラインのドレスを作り始めました。
下記は当時活躍したファッションイラストレーターGeorges Lepapeのデッサンです。
当時の女性のイメージが掴めるでしょうか?

アールデコ期の女性

加えて時の経済・金融事情も新しい装飾芸術を後押しした要因のひとつでした。
1914年以前のフランスは安定した金利に支えられた安定経済だったのに対し、20年代は毎日のようにフランの価値が下がっていく激動の時代でした。

超インフレが起こり、毎日のように通貨の価値が落ちて生きます。
1919年時に5.45フランだったアメリカドルは、1926年7月にはなんと50フランに!
このような状況のもと、人々は自分の財産を換金性の高いものへ、つまり絵画・宝石・芸術品に投資していきます。
こうしてアールヌーヴォーが陰りを見せはじめた1900年ころから冷え込んでいた宝飾業界に再びお金が流れ、活気が戻り始めるのです。

アールデコジュエリーに関して更に詳しい情報は、アールデコジュエリー その特徴と魅力をご参考ください。

アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。

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