大粒ローズカットダイヤモンドの指輪(ブルーエナメル、1860年頃)

かつてこれだけ魅力的なダイヤモンドを私は見たことがありません 今回の買い付けのメインである、大粒のローズカットダイヤモンドの指輪です。
大きさだけでなく、その石の持つクオリティーが明らかに優れたダイヤモンドです。
じっと見つめていると、しっとりとした質感さえ感じます。
形もただの円形ではなく、反対側から見ますとハートのように見えませんか?
ローズカットなので実際のカラットは0.8-0.9カラットほどだそうですが、現代ダイヤモンドですとこれぐらいの表面積がありますと2カラットほどになり、ぱっと見たときにそれだけの存在感があります。
(カラットは重量なので比較的浅いカットのローズカットでは見かけよりカラット数が少なくなります)
この時代のものですのでダイヤモンドの端に僅かな摺れがありますが透明度も良く美しいダイヤモンド。
圧倒的な雰囲気がある作品です。 ブルーエナメルと透かし細工、クローズドセッティング 製作されたのはナポレオン3世時代の1860年頃と推定されます。
大粒のダイヤモンドを用いたアンティークジュエリーは20世紀初頭のものが多いです。
古くてもせいぜいフランスではベルエポック時代以降のもの。
これだけ古い大粒のダイヤモンドのリングは実に珍しいです。
側面に一筆のように入れられたフランスらしいブルーエナメル。
透かしの施された金細工。
クラシックなデザインが尚のこと、この指輪を唯一無二のものにしています。
19世紀半ばのヨーロッパは古代様式にインスピレーションを受けたジュエリーが流行します。
この指輪の特に18ktゴールドよりカラットが高そうな明るめのゴールドの色をしています。
この時代にして裏面を閉じているところなどにも、そのような古代の雰囲気が漂います。
一目で風格のある特別な作品であると言うことが分かります。
指輪のサイズは12.5号(有料でサイズ直し可)。

  • 高さ:10mm 
    重量:2.9g
    商品の状態:良好
  • 販売価格:売り切れました。

大粒ローズカットダイヤモンドの指輪(ブルーエナメル、1860年頃)

  • 光の加減で中心に黒い線のように見える箇所がありますが、何もないです
  • ダイヤモンドは8ミリ強、宝石は大きいのに指輪が大きすぎないところも良いです
  • ファセットにしっとりと煌き、20世紀以降のダイヤモンドにはない妖艶な魅力
  • 側面のブルーエナメルは左は下側に右は上側に左右非対称に入っています
  • フランス18金の刻印あり
  • 大粒ローズカットダイヤモンドの指輪(ブルーエナメル、1860年頃)
  • 大粒ローズカットダイヤモンドの指輪(ブルーエナメル、1860年頃)
  • 大粒ローズカットダイヤモンドの指輪(ブルーエナメル、1860年頃)
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大粒ローズカットダイヤモンドの指輪(ブルーエナメル、1860年頃)

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アンティークエピソード

アンティークダイヤモンドのジュエリー

古いダイヤモンドは輝かないのか? 「古いダイヤモンド=輝かなくて当然」と思われている方が多いです。
しかしこれは「あまり品質のよくないアンティークダイヤモンドを売るためのキャッチコピー」なのではと思ってしまいます。
確かにもし同じ品質のダイヤモンドがあったと仮定して、それを昔のカットと現在のブリリアンカットにすれば、前者のほうが圧倒的に鈍い輝きになります。
しかしだからといって良質な昔のダイヤモンドが輝かない、煌かないわけではありません。

確かに19世紀後期に新大陸でダイヤモンドが見つかる前のアンティークダイヤモンドには、黒い点のような内包物があることは多いですが、内包物と輝きや透明度はまた別の問題です。
良質なアンティークダイヤモンドはクローズドセッティングやローズカット、銀のセットなどにされていても、相応の深い輝きがあるものです。
現地のプロのディーラーも、アンティークダイヤモンドに関して輝きがあるかどうかは必ずチェックする項目です。
それは単にキラキラしているというのではなく、深い輝きがあるかどうか。
アンティークのダイヤモンドも良いものは透明度があり、そして深く輝くものなのです。

下記は当店扱いの19世紀中ごろの大粒のローズカットダイヤモンドリング。
これだけ古い時代のローズカットでも、素晴らしい煌きが見られます。

大粒ローズカットダイヤモンドの指輪(ブルーエナメル、18金)

アンティークダイヤモンドの産地
アンティークジュエリーに使われているダイヤモンドの産地は、どこだかご存知でしょうか?

よくイギリスエドワーディアンのジュエリーやアールデコ期のジュエリーなどの説明書きに「新大陸でダイヤモンド鉱山が発見されてから、それ以前のように黒い内包物を含まない光り輝くダイヤモンドが用いられるようになった・・・・」といったことが書かれているのをご覧になられた方は多いでしょう、

「新大陸」とは「南アフリカ」のことになります。
ダイヤモンドの産地というと現在では、南アフリカをイメージされる方が多いかもしれませんが、南アフリカの鉱山が発見されるのは1860年代になってからです。

19世紀後期になるとこの新鉱山の発見を受けて、ダイヤモンドの流通量はそれ以前に比べて格段に増えます。
それを反映して1880年頃からのアンティークジュエリーには、ダイヤモンドを使用したジュエリーが増えます。

下記は当店扱いのアールデコ期のダイヤモンドペンダントネックレス。
この頃のアンティークダイヤモンドには、19世紀の中期以前とは明らかに異なる光輝くそれは美しいダイヤモンドが用いられています。

アールデコダイヤモンドネックレス(クッションカット、ローズカット、18金ホワイトゴールド)

それ以前のアンティークダイヤモンドに関しましては、ダイヤモンドが本格的に宝飾品として使われ始めるのは16世紀初頭ですが、1720年頃まではダイヤモンドはインドでしか産出されていませんでした。
16-18世紀前半、ヨーロッパの王族貴族はインドから輸入されたダイヤモンドを使っていました。
かつてヨーロッパの王族貴族は競って、インドからダイヤモンドの良石をとりよあせていました。

この傾向は18世紀後期にブラジルでダイヤモンドの鉱山が発見されるまで顕著で、16-18世紀前半、ヨーロッパはインドにダイヤモンド商人を派遣して、ダイヤモンドを輸入していました。

ダイヤモンドジュエリーのデザイン
フランスのジュエリー史の中でも最も古い部類の出版物に、ルイ14世とヴェルサイユの宮廷ジュエラーであったジル・レガレ(Gilles Legare )のジュエリーデザイン集があります。

ジルレガレ

1663年に出版されたこの「金銀細工品の書」は、当時のジュエリーデザインを集約したもので、当時フランスで流行し始めていたダイヤモンドの重要性についても言及されています。

ダイヤモンドが流行し始めるのは、15世紀のフランスからなのです。

当時の有名なダイヤモンド商人にジャン=バティスト・タベルニエ(1605〜89)というフランス人がいます。
ジャンバティストは、太陽王ルイ14世にこうして買い付けたダイヤモンドを売っていた宝石商です。
ジャンバチストは当時のインドの宝石事情に関する状況を詳細に記述し、現在においても貴重な文献になっています。

インド産ダイヤモンド→ブラジル産ダイヤモンド→南アフリカ産ダイヤモンド
しかしインドの鉱山は、1725年に新たな鉱山がブラジルで発見される頃には既に枯渇する寸前でした。 ブラジルの鉱山で発掘されたたダイヤモンドは今度は、ポルトガルやスペインを通じて、イギリスやフランスへ運ばれます。
つまりアンティークジュエリーの中で18世紀後期以前のものはブラジル産のダイヤモンドが主たるものになります。
そしてそのおよそ150年後、今度は南アフリカでダイヤモンドの鉱山が見つかりますが、その頃には、ブラジルのダイヤモンドの大半は尽きていました。

現在では、アフリカ諸国の数地域、ロシア、オーストラリア(主に工業用ダイヤモンド)、カナダが主なダイヤモンドの産地になっています。

ダイヤモンドは無色であるが故に、ルビーやサファイアのような色石とは異なり産地を確定することができませんが、そのアンティークジュエリーが製造された時代をきちんと把握することでそのアンティークダイヤモンドの産地を推測することが可能なのです。

ダイヤモンド取引の中心地
一方ダイヤモンドの産地とは別にダイヤモンドの取引の中心地があります。
ヴェネチア、ブルージュ、リスボン、アントワープ、これらの街は歴史的にダイヤモンドの取引とカットの中心地でありました。

ヴェネチアは13世紀、1460年代に中継地点はリスボンへと移動。
ベルギーの水の都ブルージュは、13世紀から14世紀末までヴェネチアからの原石が運ばれダイヤ モンド取引加工の一大中心地として繁栄しましたが、14世紀初頭にはアント ワープに取って代わられます。

全ての街に共通するのは、ダイヤモンドの取引に関してはユダヤ人の影響がとても強かったことです。
そしてそれは実は現在でも同じことが言えて、ダイヤモンド取引にはユダヤ系のファミリー企業が今も大きな力を持っていることが多いです。
というのもダイヤモンドはインドからエジプトへ、あるいはギリシャへローマへ常にパレスチナ(イスラ エル)を通って運ばれていたのです。

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