0.75カラットのダイヤモンド
真ん中のダイヤモンドは、このタイプのリングの中でもなかなかお目にかかれない大きさで0.75カラット程あります。
ダイヤモンドは大きさに対して価値が規則的に比例していくわけではないです。
2倍の大きさなら価格が2倍というのではなく、大きさのあるダイヤモンドが少ないので、2倍の大きさなら価値は2倍よりずっと高くなります。
オールドヨーロピアンカットにされた無色透明の素晴らしく美しいダイヤモンドです。
そしてダイヤモンドはメイン石だけではありません。
まるで「ダイヤモンドのカーペット」のごとく、ベゼルとショルダーに所せましとダイヤモンドが埋め込まれています。
それぞれのダイヤモンドが光を反射して、様々な方向に光が煌めきます。
メイン石だけではなくすべてのダイヤモンドがオールドマインカットにされているのも特徴的です。
1920-1930年代のアールデコリングの代表作のようなリング
シャープな幾何学的なデザインが魅力的な典型的なアールデコのデザインのリングです。
上下左右に多く入った透かし、ありとあらゆる縁に入れられた細やかなミルグレイン。
20世紀初頭の優れた宝飾技術、冴えわたるセンスを感じられるデザインです。
地金はゴールドバックで表面がプラチナ。
リング自体、フランスのリングとしてはかなり大きさがあります。
また触れると分かりますが重さもしっかりあり、完璧なクオリティーを誇るリングです。
1920-1930年代のフランス製。
指輪サイズは10.5号(有料でサイズ直し可)。
動画も撮影しています。
アールデコ アンティークダイヤモンドリング(0.75カラット)
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1930年、著名なデザイナーであったポール・イリブ(Paul Iribe)はアールデコのジュエリーについて以下のように述べています。
「キュービズムとマシンデザインのために、花を犠牲にしている」。
アールデコ期にも以前として花や葉っぱなどの自然主義のモチーフのジュエリーも存続しつづけますが、「抽象的なジェオメトリックなデザインの台頭」なしにこの時代の動きは語れません。
下記は1927年、Lacloche Freres(当時美しいアールデコのジュエリーを多く生み出したスペインのメゾン) によるサイプレスの枝を描いたピンです。
同じく葉や枝をモチーフにしたジュエリーでも、19世紀のものとは一線を画したジュエリーであることが一目瞭然です。
アールデコを生み出した社会要因
ではなぜそのようなラディカルな変化がデザインの世界に起きたのでしょう?
パリで「アールデコ」という新しい芸術が発祥した理由は、まずなんと言っても第一次世界大戦によって古い価値観が崩れ、女性の社会進出をはじめとした社会革新が起きたことです。
社交界で豪華なジュエリーを付けるのは前世紀から変わりませんが、当時の富裕な女性たちは、デザインの面で大きく変化したジュエリーを好むようになります。
化粧をしたりタバコもすったモダンな富裕な女性たちのライフスタイルの変化が、ジュエリーのデザインにも変化をもたらします。
彼女たちの求めた洋服やジュエリーは、第一次大戦前までの貴族社会の中で続いてきたものとは全く違うクリエイションによってもたらされています。
ドレスデザイナーたちは第一次世界大戦後のこの時代によりシンプルなラインのドレスを作り始めました。
下記は当時活躍したファッションイラストレーターGeorges Lepapeのデッサンです。
当時の女性のイメージが掴めるでしょうか?
加えて時の経済・金融事情も新しい装飾芸術を後押しした要因のひとつでした。
1914年以前のフランスは安定した金利に支えられた安定経済だったのに対し、20年代は毎日のようにフランの価値が下がっていく激動の時代でした。
超インフレが起こり、毎日のように通貨の価値が落ちて生きます。
1919年時に5.45フランだったアメリカドルは、1926年7月にはなんと50フランに!
このような状況のもと、人々は自分の財産を換金性の高いものへ、つまり絵画・宝石・芸術品に投資していきます。
こうしてアールヌーヴォーが陰りを見せはじめた1900年ころから冷え込んでいた宝飾業界に再びお金が流れ、活気が戻り始めるのです。
アールデコジュエリーに関して更に詳しい情報は、アールデコジュエリー その特徴と魅力をご参考ください。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。