二羽の鴨のクロスオーバーリング
このユニークな形の指輪、何がモチーフになっていると思いますか?
実はこれは2羽の鴨(かも)です。
アンティークリングでは二匹で巻いた蛇がモチーフになった指輪が存在しますので、一見「蛇」に思われたかもしれませんが、正解はなんと「鴨」なんです。
鴨と言えば、おいしいフランス料理を想像してしまいますね。
元々、料理関係者の方のために作られたものなのだろうかなどと想像が膨らみます。
鴨をモチーフにしたジュエリーというのは、アンティークジュエリーにおいても珍しいです。
ただ1970年頃にヴァンクリーフアーペルがやはり2羽の鴨の頭のクロスオーバーリングを発表しています。
すっと左右に交錯した2羽の鴨がなんとも愛らしいリングです。
目にはダイヤモンド
鴨の眼にはなんとダイヤモンドが埋め込まれています。
ダイヤモンドは1羽につき2石ずつ、つまり両目分が入っています。
内側の眼はそれぞれ重なり合っている部分ですが、交錯したその隙間から可愛い目が煌きます。
触れるとかなり重さがあり、愛らしいモチーフでありながら作りには華奢さは感じられず、程よいボリューム感の心地良いリングです。
サイズは7.5号。
鴨の頭が重なり合った箇所が押せば少し動く作りになっていますので、8.5号ぐらいまでの方でしたらお直しも不要そうです。
サイズのお直しも優良で可能な指輪です。
1930年頃のフランス製。
18カラットゴールド。
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アンティークジュエリーでは時々、そのモチーフとして動物が登場します。
こうした動物をモチーフにしたジュエリーは、センチメンタルジュエリーの一つです。
ヨーロッパでは愛する人、親しい人を「私の可愛い子猫ちゃん」「私のおてんばなお猿くん」等、動物にちなんだ呼び方をすることが昔から多くあります。
動物のジュエリーが19世紀の後期以降作られたのも、ヨーロッパでセンチメンタルジュエリーが流行した時期と重なります。
造形的に愛くるしい動物のシルエットを持つジュエリーは、ノベルティのように、愛する人への(特に男性から女性へ)プレゼント、記念品にされました。
よくモチーフとされたのは、犬、馬、猿、鹿、虎、狼,猫あたりです。
身近な動物たちが、贅沢で愛らしいジュエリーに仕上げられました。
下記は当店で販売済みの「狼」のペンダントトップ。
下記は当店扱いの「猿(モンキー)」のペンダントトップ。
猿(モンキー)」は東洋では「神聖な動物」とされており、ルネサンス時代以降にインドやエジプトからヨーロッパへ連れてこられ、当時の宮廷で珍重されていました。
イギリスやフランスで特に19世紀後期以降、猿をモチーフにした指輪やブローチ、ペンダントなどが度々作られました。
猿のボディをダイヤモンドで埋め尽くしたものなど、贅を尽くした作りのものも多いです。
下記は数年前にクリスティーズに出展された猿のブローチ。
ローズカットダイヤモンドとオールドヨーロピアンカットがパヴェセッティングされ、目にはピンクサファイヤが入っています。
1890年頃のフランス製。
(c) CHRISTIE'S 2017
下記はウサギをモチーフにしたチャームです。
下記は猫をモチーフにしたブローチです。
1950年前後は、肉厚のゴールドを用いた、旧来のアンティークジュエリーで描かれた動物とは一線を画す、とても明るいテイストのジュエリーが特にグランメゾンを中心に製作されました。
その中でもアイコン的な存在なのが、ヴァンクリーフアーペル社による猫やパンテールのジュエリーです。
下記は1950年代に製作されたヴァンクリーフアーペル社の猫のブローチで数年前にササビーズに出展されたジュエリーです。
目にはエメラルド、鼻にルビー、腹部にカボションカットされたオニキス。
この時代のこうした小動物のジュエリーは、鮮やかなイエローゴールドと宝石がしっかり使われているところがポイントです。
(c) Sotherby's
下記はまた鴨(かも)をモチーフにした指輪です。
一見蛇のように見えるのですが、鴨であるあたりがまた面白くフランスらしいです。
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