18世紀のラヴジュエリー
とても古い時代のセンチメンタルジュエリーです。
製作されたのは18世紀末。
ハートをモチーフにした「愛」を伝えるセンチメンタルジュエリーです。
もともとドレスに縫いつけるタイプの胸飾りです。
触れると非常に軽いことに気づかれると思います。
裏面から見ると分かりますが、ハートは空洞になっています。
年月を経ているため、モチーフの花束の上のあたりに、線のような切れ目が入ってしまっております。
3番目の赤く印をしたところをご参照ください。
この部分はちょうどモチーフにかかるところでもあり修復はできませんが、線のような切れ目でルーペで見ない限りは気づかないほどです。
よほど大きな衝撃を加えない限り、この部分が大きな亀裂になっていくことはありません。
18世紀ならではのジャルディネッティのモチーフ
モチーフはジャルディネッティです。
ジャルディネッティはイタリア語で「小さい庭(リトルガーデン)」を意味します。
大きな花束をイメージしたジャルディネッティのジュエリーは、18世紀から19世紀初に製作されます。
18世紀と言う時代ならではのモチーフの一つです。
宝石を用いて表現されることも多かったジャルディネッティですが、この胸飾りではすべてが金細工によって描かれています。
フラワーブーケの内側は所々、鏨(たがね)打ちで艶消しを施していますが、このたわんだハートの形の中でこうした艶消しを施すのは非常に難しいです。
花瓶部分は格子状になっていたり、金細工だけで実に豊かな表現がなされています。
曲線を多用した僅かにアンシメトリーなデザインにもブルボン王朝下ならではのロココ様式の影響が見られます。
18カラットゴールド。
裏面の3つのホールを使って、糸や紐等が通せます。
リボンやチェーンを通してペンダントトップとして用いたり、あるいは本当に昔のように洋服に縫い付けても味わいがあります。
写真に映っております、フランス製のリボン(現代もの)も同封させて頂きます。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーの魅惑的なジュエリーデザインに「ジャルディネッティ(Giardinetti)」があります。
ジャルディネッティとはイタリア語で、「小さい庭(リトルガーデン)」を意味します。
18世紀後半はフランスを中心にヨーロッパでは「花」がありとあらゆる芸術領域で流行します。
流行はジュエリーに限らず、洋服や香水、庭園、陶磁器といった様々な芸術分野に及びました。
時にアンシメトリーにデザインされた「庭園と花々」はロココ文化の中で花開き、ジュエリーの世界では大きな花束(フラワーブーケ)をデザインしたジュエリーが作られるようになります。
下記は1762年のフランスの「Traites des pierres precieuses(貴石について) 」に記載されていたジュエリーデッサンです。
大きなサイズのジュエリーが流行し大きなものは何と20センチにも及ぶことがありました。
かのマリーアントワネットもフランス革命も近づく1786年に、ワイルドローズとサンザシのブーケのジュエリーをオーダーしています。
そして各国の宮廷で流行したこれらの豪華絢爛な花束のジュエリーが、少しサイズダウンしたのがジャルディネッティ。
18世紀から19世紀初頭にジャルディネッティの指輪やペンダント、ブローチが作られました。
花籠やブーケといった小さな世界を、ダイヤモンドやルビーを使ってデザインします。
花びらはルビー等の色石が好まれたほか、もっと淡い色を出したいときは、ダイヤモンドの裏に「フォイルバック」と言って色のついた金属の破片を入れることもありました。
ジャルディネッティのジュエリーには、ダイヤモンドだけのものや、数種の色石が使われているものの両方があります。
色石はゴールドで、ダイヤモンドは銀でセットされました。
下記は18世紀半ばに製作されたジャルディネッティの指輪です。
下記は当店扱いの大きなサイズのジャルディネッティのブローチです。
こちらはダイヤモンドだけが使われています。
まるで指元に胸元に花が咲いたような、楽しい気持ちにさせてくれる愛らしいアンティークジュエリーです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。