珍しいホワイトエナメルのロケットペンダント
久しぶりに入手したギロシェエナメルのペンダントです。
ギロッシュ(ギロシェ)エナメルとはギロッシュ(エンジンターンを使って金属にギロシェを施す)の上に、透明あるいは半透明のエナメルをかけて下地の線刻模様を浮き出す技法のことです。
アンティークのエナメルジュエリーではブルー系の色が比較的多く、白地のエナメルが部分的にではなく全面に施されているケースは珍しいです。
「ホワイトエナメル」と言えばロシアを想像する方も多いと思いますが、このペンダントが製作されたのはスイスです。
雪深いスイスの山岳地域は、秀逸なエナメルジュエリーの生産地として知られています。
波打つようなエンジンターン模様が内側から外側へと展開していますが、特に内側ほど模様が細かくルーペで見ても見切れないほど緻密です。
表面と裏面の両方にエナメルが施されていて、表面には麗しい薔薇がピンクと赤、葉は緑で描かれています。
そして花と花の間には金色のドット模様が連なっており、全体としてローレルリース(月桂樹の花冠)になっているところが素晴らしいです。
ロケットペンダントにもっています
ペンダントはロケットになっていて開閉ができます。
全体は銀製ですが内側がシルバーギルドになっています。
シルバーギルも良い色を保っていて、一見ゴールドに見えるほど綺麗な状態です。
こうした銀製のロケットペンダントで内側がこれだけ鮮やかな金色であるのは珍しいです。
開閉もスムーズです。
注:チェーンは付いていません。
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アンティークジュエリーで時々登場するエナメル。
その柔らかな質感は、どんな高価な宝石を使用したジュエリーにもかえがたい魅力があります。
エナメル(七宝焼き)とはさて一体どのようにして作るのでしょう?
エナメルはゴールドや銀などの金属製の下地の上に釉薬(ガラス質、鉱物質の微粉末を水と糊でペースト状にしたもの)を乗せ、摂氏800度前後の高温で焼くことによって作られます。
融けた釉薬によるガラス質の美しい彩色を施す技術です。
クロワゾネエナメルとは
アンティークジュエリーで見られるエナメル(エマイユ)技法のひとつで、エナメルの中でも高度な技術を要するエナメルにクロワゾネエナメルがあります。
クロワゾネエナメルとはいわゆる有線七宝のことです。
土台となる金属の上に1mmにも満たない金線を貼り付けて輪郭線を描き、できた枠内をエナメルで埋める装飾技術です。
フランスのアンティークジュエリーにおいて、クロワゾネエナメルによく用いられた色は赤や青、黒、白、緑などです。
「クロワゾネ(cloisonne )」はフランス語で「仕切られた」という意味からきています。
クロワゾネエナメルは基本的に金属の上に施されますが、下記では何とクリスタルの上にクロワゾネエナメルが施されています。
宝飾史に名を刻む19世紀後半に活躍したジュリアーノ一族が得意としたのも、クロワゾエエナメルです。
ジュリアーノは、19世紀後半にルネッサンス様式に着想を得たエナメルの重ね塗りで、一世を風靡。
白・黒、ブルー・白の点描などが有名です。
カルロジュリアーノの二人の息子、カルロとアーサーが父の跡を継ぎ、ジュリアーノ一族のエナメルワークは更なる発展を見せます。
アールヌーボー時代には、透明なエナメルも好んで用いられました。
アールヌーヴォーの時代に日本の有線七宝の影響を受けて、それがフランスで進化し、鮮やかな発色のエナメルがアンティークジュエリーが生まれました。
スイスジュネーブのスイスエナメル、フランスリモージュ地方のリモージュエナメルも人気です。
リモージュエナメルもクロワゾネエナメルの作品を主としています。
下記は当店扱いのリモージュエナメルのペンダント。
多色使いが見事です。
エナメルは指輪のショルダーなど、ジュエリーに部分的に用いられることも多くありました。
下記のケースでは、ショルダーのところに黒いエナメルが入っています。
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