鈴蘭(すずらん)が描かれたロケットペンダント
ベルエポック時代にアールヌーボーの影響を受けて、作られたロケットです。
ハートの形のロケットの中に描かれているのは鈴蘭(スズラン)の花です。
鈴蘭は特にアールヌーボーのジュエリーで度々モチーフとして登場する花で、ハートと一緒に描かれることの多い花です。
フランスでは愛する人にスズランを贈る習慣がありますし、ハートのモチーフと「愛」でつながるからでしょう。
しなやかに垂れる様がゴールドの線細工で描かれていて、先端の花の部分に2石のルビーと2石の真珠がセットされています。
ルビーは小さいながら、鮮やかな赤色の美しいルビーです。
鈴蘭の茎の部分は他の部分よりピンクを帯びたローズゴールドになっています。
さりげなく2カラーゴールドになっているところも良いです。
ハート(心)が開くロケットペンダント
フランスアンティークジュエリーにおいて、ロケットペンダントは1900年頃ベルエポック時代につくられたものが多いです。
特にこのようなハートをモチーフにしたロケットペンダントは、ベルエポック時代のジュエリーの定番の一つです。
ハートのセンチメンタルジュエリーは、イギリスヴィクトリアン期にも作られましたが、フランスのハートロケットのほうが薄めで都会的なデザインのものが多いです。
ヴィクトリアンのハートジュエリーは概してもう少し厚みがあることが多く、サイズも大きめで丸みを一層帯び、もう少し甘いテイストのものが多いです。
このペンダントは薄めで、都会的な洗練されたハートのシルエットが魅力です。
比較的薄いロケットペンダントが多いのものフランスのハートロケットペンダントの特徴で、このペンダントも表面積は大きいので写真や愛する人の髪の毛等を入れて頂くのには向きます。
1900年頃のフランス製。
18カラットゴールド。
注:チェーンは付いていません。
動画も撮影しています。
アンティークハート型ロケットペンダント 鈴蘭(スズラン)
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アンティークジュエリーの中には、個人的な愛情や思い出を表現したセンチメンタルジュエリーと呼ばれるジュエリーが存在します。
センチメンタルジュエリーは大きく分けて「宗教的な信仰を誓うもの」「故人を偲んだモーニングジュエリー(mourning jewelry)」「愛する人との永遠の愛を誓うジュエリー」に分けられます。
ここではラヴジュエリーについて書きますが、モーニングジュエリーについては下記をご参照ください。
センチメンタルジュエリー モーニングジュエリー(mourning jewelry)
センチメンタルジュエリーがヨーロッパで製作されはじめたのは1800年前後からです。
下記は18世紀末のハートモチーフの胸飾り。
後ろの構造から元々衣類に縫い付けられていたものと思われます。
ロケットやブレスレットのクラスプに、小さな肖像画を入れたセンチメンタルジュエリーもイギリスで1830年頃に流行します。
目だけ描かれた肖像画をジュエリーにするというのも1780年代から流行します。
ポイントは肖像画に描かれた人を特定するのが難しく、秘密にできるということです。
下記はヴィクトリアアルバート美術館所蔵の「lover's eye」のブローチ。
製作年度は1800-1820年。
(c)Victoria and Albert Museum, London
フランスでもセンチメンタルジュエリーは作られましたが、数は少ないです。
またイギリスのやや大げさなほど「約束」を前面に出したものではなく、ハートや花などのモチーフ(そのモチーフが持つメッセージ性)を上手に生かしたもの。
手で愛情を表現したものなども好まれました。
センチメンタルジュエリーは、文字が彫られたものもあります。
下記は当店で販売済みのシール(印章)。
「plus loin plus serre(離れれば離れるほど(心は)近くに)」というロマンティックな愛の言葉が彫られています。
またセンチメンタルジュエリーのラヴジュエリーのモチーフの一つとして人気が高かったのが、ハートです。
ハートの起源は古く、中世にまで遡ります。
キリストが「自らのハートを人々への愛の証として見せる」ということから始まります。
心臓は愛と感情が宿る大切な場所ということで、ハートモチーフのジュエリーは愛情や幸福を象徴しています。
下記は当店で販売済みのダブルハートのペンダント。
エナメルで描かれた花はパンジー(pensee)、花言葉は「私を想って」です。
下記はイギリス、ヴィクトリアアルバート美術館所蔵のハートモチーフのリガード(Regard)ペンダント。
ハートと南京錠で、「あなたが私のハート(心)の鍵を握っている」と言うメッセージを伝えています。
また使用されている宝石は左からルビー(ruby)、エメラルド(emerald)、ガーネット(garnet)、アメジスト(amethyst)、ルビー(ruby)、ダイヤモンド(diamond)でその頭文字をとって「Regard」のメッセージが込められています。
(c)Victoria and Albert Museum, London
下記もイギリス製のダブルハートのペンダントで、ヴィクトリアン後期の製作です。
ダブルハートと鍵がモチーフの何ともロマンチックなモチーフです。
ハート以外に、「手」も愛を表すモチーフです。
センチメンタルジュエリーと言えば「REGARD」を抜きに語ることはできません。
宝石を並べるとそこには「REGARD(敬愛)」のメッセージが浮かびます。
R(ルビー) E (エメラルド) G (ガーネット) A(アメジスト) R(ルビー)D(ダイヤモンド)。
このような宝石の頭文字を取って表現されたジュエリーとしては「REGARD」の他には「DEAREST」などがあります。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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