17世紀にまで遡るアンティークリング
アンティーク市場で18世紀まで遡るジュエリーは非常に少ないですが、このリングは更に古く17世紀のものです。
子ども用のリングで、シルエット的に指輪のサイズ棒でも正確には計測できないのですが1号程です。
大人の小指にも入らないほどの小さなリング。
当時の子供用リングで、非常に高貴な身分の方のための特別なリングです。
ゴールドは腐食はしませんが、これほど古い年代に遡りますと独特のなんともいえないゴールドの色をしています。
17世紀のものとして状態も良いです。
フレームに部分的に僅かにヒビが見えますが、切れてしまったりという心配のない浅さです。
刻まれているのはフルールドリス
ベゼルに刻まれているのは、フルールドリス(百合の紋章)です。
フランス王家の紋章であった百合の紋章。
後年には王家に限らず、富裕な人用のジュエリーにもモチーフとして好まれたフルールドリスですが、何せ17世紀です。
限られた身分の方にしか作ることは許されません。
この指輪の小ささといい、フルールドリスといい、どんな方の持ち物であったのだろうかと想像が膨らみます。
17世紀のフランス製。
ハイカラットゴールド。
指輪サイズは正確な計測は不可能ですが1号弱で、サイズ直しは不可です。
動画も撮影しています。
17世紀アンティークゴールドリング(フルールドリス)
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18世紀まで遡るアンティークジュエリーは少ないですが、さらにその前の17世紀になりますともうほとんど市場でも見ることがなく、市場にほとんど出回ることがありません。
どのようなジュエリーが作られたと思いますか?
ルネサンスからバロック初期
17世紀に入ると、16世紀までの「ルネサンス様式」を脱却した新しい装飾様式が見られるようになります。
それが顕著になるのが1625年頃からです。
ルネサンス期の女性が着ていた硬く窮屈なドレスへの反動から、ネックラインが下がった柔らかい流れるようなドレスが好まれるようになり、ジュエリーもファッションにあわせて変化していきます。
下記は16世紀末から17世紀初期にかけて活躍したフランス人のゴールドスミス、ダニエル・ミニョ(Daniel Mignot)によるペンダントのデザイン画です。
アラベスク模様が用いられ、また直線的にダイヤモンドを配したシンメトリーで整然としたデザインが見て取れます。
1625年以降、ジュエリーは自然主義の影響が見られるようになります。
それが顕著に見られたのはまずフランスですが、特に花をモチーフにしたジュエリーはその後、1630-1640年代にかけてヨーロッパ中に流行します。
下記は17世紀の幼い子供用のリング。
フルールドリスが描かれています。
バロック後期
17世紀後半になってくると、宝石のカッティングが発展し、宝石セッティングもより手の凝った繊細なものになっていきます。
ジュエリーデザインとしてはクラスターからリボンモチーフに流行が移って行きます。
元々ドレスに安全にジュエリーを留めるために使われたリボン(ノット)はやがてジュエリーのモチーフとしてもてはやされて、バロックジュエリーを代表するジュエリーモチーフになります。
下記は当店で販売済みのバロック様式の小物入れ。
17世紀も終わりに近づくと、今度はアンシメトリーな花束(ブーケ)や単体の花がジュエリーのモチーフになっていきます。
エナメルの使用が減り、日中に着けるデイジュエリーと寄るの柔らかいキャンドルの光の下で着けるナイトジュエリーが意識されるようになります。
この後、バロック様式に続いて18世紀初頭(1730年頃)よりフランスから流行しはじめるのがロココ様式です。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。