不思議な真珠のリング
珍しいコンセプトの真珠のリングです。
真珠1珠のソリテールリングで、その真珠の側面がシャープに研磨されています。
「パンドゥスークル」という、円錐形の砂糖の山をイメージしたカットです。
側面の真珠をおそらくやすりのようなもので研磨しているので、この部分と研磨していない正面部分の真珠でテクスチャーが異なります。
真珠にこのように研磨を施すことはまずなく、珍しいリングです。
きゅっとした真珠の形が、凛としていて雰囲気のあるリングです。
天然?養殖?判断の難しい真珠です
裏面やこのセッティングから、19世紀のリングであることは間違いないです。
真珠のキュっとした形からも、真珠は天然真珠であると想定できるのですが、場所によっては「核かな?」と思うものがうっすら見えます。
また研磨したところがずいぶんマットですので、養殖真珠かもしれないです。
値段は、養殖真珠としてつけさせて頂いております。
リングの構造からして、裏面の台座から銀の針で真珠を内側から突き刺しているように見えますから、後年に真珠が替えられた可能性は少なそうです。
真珠の側面の研磨は後から行われた可能性もありそうです。
謎の多いリングですが、線のリングのシルエットと真珠の形が合っています。
真珠も艶のある部分は美しいです。
地金は18金ゴールドで、台座の裏面のみが銀。
指輪サイズは7.5号(有料でサイズ直し可)。
動画も撮影しています。
真珠のソリテールリング(線の指輪)
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アンティークジュエリーに詳しい方でしたら「昔は養殖の技術がなかったのだから、アンティークジュエリーで使われている真珠は全て天然真珠ですよ」といったことを聞かれたことがあるでしょう。
これはアンティークジュエリーの業界のセール文句になっているようですが必ずしも正しくはありません。
アンティークジュエリーに使われている真珠の多くが天然真珠です。
しかし全てが天然真珠ではありません。
上記の「アンティーク真珠=全て天然」説はヨーロッパで養殖真珠が本格的に市場に出始めるのは、一般的に1920年代頃からと言われていますからそれに基づいた論拠ということになります。
しかし養殖真珠はそれ以前にヨーロッパに存在し、一説には1880年頃から存在していたと言われています。
実際に1900年頃のヨーロッパのアンティークジュエリーから一部に使われています。
例えば下記をご覧ください。
こちらはフランスの有名なジュエリー専門のオークション会社のカタログからの抜粋です。
クリスティーズをはじめ世界の著名なオークション会社の競売では、真珠に関して天然か養殖か明記します。
この「真珠とダイヤモンドの指輪」は「1900年頃に製作されたと」推定されていますが、ジュエリーの説明文のところに「Perles de culture(養殖真珠)」と言う記載があります。
同じカタログから別の事例をご紹介いたしましょう。
こちらは花綱模様の美しい典型的なベルエポック時代のダイヤモンドと真珠のペンダントです。
こちらは1910年頃の推定と先ほどの作品より僅かに後年になりますが、こちらは「une perle en pampille(天然真珠の房飾り)」と記載があります。
天然真珠になります。
天然真珠の評価がもっとも高かったのは、20世紀の初頭です。
1900-1920年頃は非常に美しい天然真珠のジュエリーが作られた時代であるのと同時に、初期の頃の養殖真珠がジュエリーに使われはじめた時代でもあります。
この時代に天然真珠として最大に近い大きさの最高級の天然真珠を使ったロングネックレスは、現在の貨幣価値に換算して約10億円で取引されたと言う記録が残っています。
養殖真珠が多く市場に出回るようになったのは、1920年頃からです。
1940年代にはもう養殖真珠が凌駕していき戦後は言うに及びませんので、美しい天然真珠が用いられたアンティークジュエリーを探すのであればやはり1930年代頃までというべきでしょう。
「養殖真珠」といっても本当の初期の頃(20世紀初頭)の養殖真珠は真珠層が厚くとても出来がいいです。
例えば下記は、1920年前後に英国で製作された養殖真珠のネックレス。
真珠の粒は0.8センチ程です。
現代の養殖真珠とは雲泥のレベルの差があり、それはそれで近年では高額に取引をされています。
天然真珠への評価が高まる昨今では、初期の頃の養殖真珠はヨーロッパのオークション等で非常に高価な値段がついてきています。
養殖真珠へのイメージが大きく変わるのではないでしょうか?
アンティーク真珠に関して更に詳しい情報は、アンティーク真珠についてをご参考ください。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。