テーブルカットダイヤモンドのリング
アンティークダイヤモンドのカッティングでも特に古い時代にしか見られないテーブルカット。
テーブルカットは13世紀から用いられていたカッティングです。
現在市場で見るテーブルカットのジュエリーは18世紀後期のものが多く、このリングも18世紀後期のものです。
素晴らしいことに真ん中のダイヤモンドだけでなく、左右のダイヤモンドまでテーブルカットにされています。
しかもいずれもしっかりとした大きさがあり、状態も良いです。
この時代のリングの例に漏れずクローズドセッティングです。
地方で見つかった18世紀ジュエリー
近頃は18世紀のような古いアンティークジュエリーはヨーロッパの市場でも皆無に近く、探すことすら諦めていたのですが、パリ地域ではなくフランスのノルマンディー地方で見つけました。
パリにはない宝物が地方にあることもありますね。
ノルマンディー地方は豊かな地で良質なジュエリーが作られたことで知られ、この地域にしか見られないジュエリーもあります。
指輪全体は18カラットゴールドで(フランスでは古い時代から18カラットゴールドを用いていました)、台座の表面のダイヤモンド周りのみが銀になっています。
フレームはこの時代らしく細身です。
ダイヤモンドには大きさがありますが、指輪自体はこの時代のリングらしく華奢です。
非常に良いダイヤモンドでありながら、控えめで深遠に煌めくダイヤモンドが日本人の琴線に触れるリングでしょう。
18世紀後期-1800年頃のフランス製。
18カラットゴールド。
この時代ですので刻印は押されていないです。
指輪サイズは13号(有料でサイズ直し可)。
動画も撮影しています。
18世紀テーブルカットダイヤモンドリング
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ダイヤモンドは紀元前6世紀から宝飾品として用いられていたのではないかと言われています。
しかし現存している最古のダイヤモンドは古代ローマの時代のものです。
この頃はダイヤモンドと言っても、この世で最も硬い物質であるダイヤモンドをカットする技術はありませんでした。
古代のダイヤモンドは原石のままで、八面体の結晶の形のまま使われています。
カッティングによって八面体になったのではなく、ほとんど原石の形のままセットされたのですが、こうした八面体のダイヤモンドは「ポイントカット」と呼ばれるようになります。
ダイヤモンドのカッティングが最初に生まれるのは、13世紀のことです。
ここで最もシンプルなファセットカットが生み出されます。
これが「テーブルカット」と呼ばれています。
テーブルカットはポイントカットのてっぺんと底をカットして、ダイヤモンドのダストでダイヤモンドを磨いたものです。
このテーブルカットは、中東ないしヴェネチアで考案されたものと考えられています。
下記は当店でもこれまで唯一扱う17世紀のテーブルカットダイヤモンドのリング。
下記は18世紀のテーブルカットダイヤモンドリング。
下記もやはり18世紀のフランスのダイヤモンドネックレス。
南仏の作品です。
基本的には18世紀までのダイヤモンドにしか見られませんが、19世紀のジュエリーにも時々部分的に見かけることがあります。
これは、当時ダイヤモンドの数は絶対的に少なく、19世紀よりもっと古い年代のダイヤモンド・ジュエリーから外されて石を使っているからなのです。
テーブルカットダイヤモンドは、ダイヤモンドの極みというべき贅沢なカットです。
なぜなら傷やインクルージョンが非常に目立つカットで、当時はそうした内包物を人工的に消すことはしていませんでしたから、きわめて上質なダイヤモンドに限ってしかできないものだからです。
またファセットが少ない分、ブリリアンカットそしてローズカットと比べても、ダイヤ特有のファイヤーが出にくいです。
それでも尚、ジュエリーとしてテーブルカットにできるダイヤモンドとは最高級のものでなければならなかったのです。
またこの時代は、19世紀と比べてもダイヤモンドが想像も出来ないぐらい希少で貴重なものでした。
テーブルカットのダイヤモンドを手に入れることが出来た人と言うのは、当時の相当な権力者であることは間違いありません。
テーブルカットダイヤモンドは一見地味に見えますが、光を受けたり身に着けて動いた時に強い輝きを放ちます。
オリジナルのテーブルカットのアンティークダイヤモンドは数が極めて少ないので出てくること自体、奇跡的と言えます。
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