古い時代ならではのテーブルカットダイヤモンド
中央のダイヤモンドがテーブルカットになっています。
テーブルカットは基本的に18世紀までのジュエリーに見られますが、わずかながら19世紀初頭のジュエリーにも見られます。
18世紀のテーブルカットに比べて、テーブル面が小さめで高さがあり、18世紀以前のテーブルカットとも異なります。
リングデザインなども考慮しますと、1830年頃の製作と推定できます。
アンティークジュエリーの中でもとりわけ古い時代のリングになります。
リング自体は細身で小ぶり。
重量はなんと1.5グラムと華奢なリングに、古の時代のダイヤモンドが渋いきらめきを放ち、小ぶりながら存在感あるリングです。
脇石はすべてローズカットダイヤモンド
メイン石以外のダイヤモンドはローズカットにされています。
メイン石を10個のローズカットで囲み、更に左右のショルダー部分にもう少し大きめのローズカットダイヤモンドがセットされています。
狭い面積の中に数多くのダイヤモンドが所狭しと並びます。
指輪のベゼル部分は、わずかにダイヤモンドを留める爪の先が見えますが、それ以外はダイヤモンドが密集して並び、ぎゅっと凝縮したような愛らしさです。
指輪の台座はお花の形になっています。
台座の形はやや横長で、ジョージアン後期らしく指輪自体は薄くのっぺりとしたシルエットが愛らしいです。
地金はイエローゴールドのみ(15カラット)。
この時代に見られるいわゆるショルダー部分がない、線のように細いフレームも端正で魅力的です。
指輪サイズは12号(有料でサイズ直し可)。
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ダイヤモンドは紀元前6世紀から宝飾品として用いられていたのではないかと言われています。
しかし現存している最古のダイヤモンドは古代ローマの時代のものです。
この頃はダイヤモンドと言っても、この世で最も硬い物質であるダイヤモンドをカットする技術はありませんでした。
古代のダイヤモンドは原石のままで、八面体の結晶の形のまま使われています。
カッティングによって八面体になったのではなく、ほとんど原石の形のままセットされたのですが、こうした八面体のダイヤモンドは「ポイントカット」と呼ばれるようになります。
ダイヤモンドのカッティングが最初に生まれるのは、13世紀のことです。
ここで最もシンプルなファセットカットが生み出されます。
これが「テーブルカット」と呼ばれています。
テーブルカットはポイントカットのてっぺんと底をカットして、ダイヤモンドのダストでダイヤモンドを磨いたものです。
このテーブルカットは、中東ないしヴェネチアで考案されたものと考えられています。
下記は当店でもこれまで唯一扱う17世紀のテーブルカットダイヤモンドのリング。
下記は18世紀のテーブルカットダイヤモンドリング。
下記もやはり18世紀のフランスのダイヤモンドネックレス。
南仏の作品です。
基本的には18世紀までのダイヤモンドにしか見られませんが、19世紀のジュエリーにも時々部分的に見かけることがあります。
これは、当時ダイヤモンドの数は絶対的に少なく、19世紀よりもっと古い年代のダイヤモンド・ジュエリーから外されて石を使っているからなのです。
テーブルカットダイヤモンドは、ダイヤモンドの極みというべき贅沢なカットです。
なぜなら傷やインクルージョンが非常に目立つカットで、当時はそうした内包物を人工的に消すことはしていませんでしたから、きわめて上質なダイヤモンドに限ってしかできないものだからです。
またファセットが少ない分、ブリリアンカットそしてローズカットと比べても、ダイヤ特有のファイヤーが出にくいです。
それでも尚、ジュエリーとしてテーブルカットにできるダイヤモンドとは最高級のものでなければならなかったのです。
またこの時代は、19世紀と比べてもダイヤモンドが想像も出来ないぐらい希少で貴重なものでした。
テーブルカットのダイヤモンドを手に入れることが出来た人と言うのは、当時の相当な権力者であることは間違いありません。
テーブルカットダイヤモンドは一見地味に見えますが、光を受けたり身に着けて動いた時に強い輝きを放ちます。
オリジナルのテーブルカットのアンティークダイヤモンドは数が極めて少ないので出てくること自体、奇跡的と言えます。
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