全周をガーネットがぐるり、変遷の時代のエタニティーリング
1840年頃のフランス製。
このリングを初めてご覧になられた方は皆様、一様に驚かれます。
こんな珍しいコンセプトのリング、他にないですからね。
全周にガーネットがずらりと並んだ、言わば「ガーネットのエタニティリング」
作られたのは1840年頃のフランスです。
王政復古の直後で、第二帝政が始まる前のちょうど「変遷の時代」で作られました。
王政復古のデザインの影響も見られる一方で、第二帝政のマニッシュな印象を受けるのはそのためです。
このような1つのスタイルからもう1つのスタイルへと変遷する時代に作られたジュエリーを「トランジションスタイル」と呼ぶことがあります。
皆さんがはっとするのも当然で、それだけ珍しいジュエリーなのです。
11粒の力強い赤色のガーネット
使われているガーネットも特徴的です。
まず色がかなり濃い赤色です。
そして濃いのに、色調としては明るいです。
ボヘミアンガーネットはもっと石榴色をしていますので、この色調は当時のフランス産のガーネットです。
裏がクローズドになっていますので、実際の石の色より暗く見えますが、光のあたるところを見ますとかなり明るい赤色でボヘミアンの色合いとは異なります。
(写真は光を当てて撮影しますので、自然光下で見るより明るい色調で映っています。)
強いエネルギーを感じるしっかりとした良質な力強いガーネットです。
1石ずつかなりの厚みがあり凸状になっており、エタニティーリングとしても斬新なデザイン。
フレームもしっかりとしたボリュームがあるためマニッシュな印象を与える一方、ゴールドの色は少しピンクを帯びたローズゴールドで。
1石ずつハンドメイドで作られたゴールドの台座は対照的に薄く繊細で、ハンサムな指輪でありながら、貴族的な上品さも兼ね備えています。
時代の変遷の中で作られたこのリングは、移り変わる時代の中でも逞しく生きぬく力を私たちに与えてくれそうです。
ガーネットは身を守る宝石として古くから愛されてきましたし、お守りのように着けていたくなる指輪です。
地金は18金ゴールド。
指輪サイズは11号(サイズ直しは不可)。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
現在でも「エタニティーリング」と呼ばれて愛されている指輪デザインの歴史は古く、フランスでは18世紀のジュエリーに既にエタニティリングを見つけることが出来ます。
この指輪デザインのことをフランス語では「Alliance(結婚指輪=マリッジリング)」と呼びます。
この「alliance」という言葉は元々は、「同盟」とか「協定」といった意味のフランス語で、そこから転じて「結婚」、「結婚指輪」を指します。
下記は当店で販売済みの18世紀のエタニティリング。
緑石はペーストガラスです。
アンティークのエタニティーリングはダイヤモンドだけでありません。
古くは上記のようなペーストガラスも用いられましたし、下記はマルカジットを用いたエタニティリングです。(19世紀初頭)
エタニティリングはまた、20世紀初頭にアメリカ人に愛されオーダーされた指輪デザインです。
フランスのアンティークジュエリーでもこの頃に作られたエタニティーリングが数としてはもっとも多いです。
そのため、フランスでは「Alliance Americaine(アメリカの結婚指輪)」とも呼ぶことも多いです。
半周だけ宝石が巡らさせたものは、半分と言う意味の「Demi」が前について「Demi-alliance」と呼ばれています。
フルエタニティーダイヤモンドリング(フランス、20世紀初頭)。
セミエタニティーリング(フランス、20世紀初頭)。
ダイヤモンド以外の宝石もエタニティーリング(セミエタニティーリング)に用いられました。
下記はガーネットのフルエタニティリング(フランス、1840年頃)。
そしてフランスだけでなく、下記はロシア製作のトルコ石をあしらったエタニティーリング。
下記のように2つのまったく同じサイズのエタニティリングをあらかじめ重ねづけするように作ったリングも作られました。
これは今日では別々に着けることもでき、とても重宝ですね。
アンティークのエタニティリングは当店でもよくお問い合わせを頂きますが、そもそも数が少ないのに加えて、フルエタニティリングの場合はサイズ直しができないのが難しいところです。
指にぴったりの特にフルエタニティのアンティークリングで気に入られたものを見つけられたときは、迷わずにご購入をお薦めいたします!
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。