美しい緑色の大粒の翡翠
1910年頃のフランス製。
9ミリx1.1センチの大粒で美しく艶のある翡翠が見る者の心を放しません。
鮮やかな緑色、そしてトロリとした照りと透明感、現在よりずっと良質な翡翠の取れた当時としても、とりわけ良質な翡翠です。
しかもしっかりとした厚みがあり、ふっくらとしたカボションカットにされています。
当時西欧では、翡翠は東洋以上に貴重な宝石でした。
これだけのレベルとボリュームの翡翠はまず滅多に出てくることがありません。
東洋と西洋の優美なミックス
翡翠の周囲には18粒の美しいダイヤモンドが囲んでいます。
ダイヤモンドもそれぞれ約2.5ミリと脇石と思えない贅沢なボリューム。
昔ながらのハンドメイドの味わいのあるローズカットにされており、質の良いダイヤモンドなのでよく輝いています。
東洋を代表する翡翠と宝石が、西洋らしいダイヤモンドとの組み合わせや技術力の高いゴールドの細工の中で、洗練されたものに昇華しています。
翡翠の爪はイエローゴールドで、お花の形をしたダイヤモンドの台座はホワイトゴールド、フレーム部分や台座下はイエローゴールドと、2色のゴールドの切り替えも巧みです。
地金は18金ゴールド。
指輪サイズは11号(有料でサイズ直し可)。
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翡翠(ひすい)は、深緑の半透明な宝石。
東洋は中南米で古くから人気があり金以上に珍重され、古くは玉(ぎょく)と呼ばれていました。
翡翠は、不老不死および生命の再生をもたらす力を持つと信じられており、古代においては遺体全体を玉で覆うことが行われました。
かの秦の始皇帝の遺体も玉で覆われていたとされています。
鉱物学的には「翡翠」は化学組成の違いから「硬玉(ヒスイ輝石)」と「軟玉(ネフライト)」に分類されます。
中国で現在安く売られている翡翠はほとんどが軟玉ですが、軟玉は中国以外では宝石とされず、西洋のアンティークジュエリーに使われているのも硬玉です。
翡翠は「深緑の宝石」という印象が強いですが、実は翡翠には半透明、白、桃、薄紫、赤橙等々、様々な色があります。
翡翠が様々な色を持つのは石に含まれる不純物や他の輝石の色のためです。
翡翠の緑色には2つの系統あり、鮮やかな緑のものはクロムが原因で、もう一つの落ち着いた緑は二価鉄によるものです。
緑の次に人気の高い「ラベンダー翡翠」は、チタンが原因でやや青みがかっています。
またミャンマー産のものは鉄が原因であり紅紫色が強いと言われています。
ヒスイはアンティークジュエリーでは20世紀初頭、特にアールデコ期に非常に愛された宝石です。
下記は1920年頃のイギリス製。
翡翠の色もよくまさに1920年代のオリエンタリズム、アールデコの逸品です。
少しオリエンタル(東洋)を感じさせる翡翠。
特にカルティエはこの時代、ヒスイを大胆に取り入れたオリエンタリズムを西洋的に昇華させたそれは美しいジュエリーの数々を生み出したことで知られています。
下記は1933年製作のカルティエの翡翠とルビー、ダイヤモンドのネックレス。
数年前にササビーズに出展されています。
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