1センチx1.3センチの超大粒の美しいシトリン
1820年頃のフランス製。
アンティークジュエリーにおいて、シトリンは大変貴重な宝石です。
フランスでは特に19世紀の初頭に、繊細な金細工のゴールドジュエリーに合わせて使われました。
(また19世紀末、アールヌーボーの作家にも重用された宝石です)。
この指輪のシトリンは、シトリンのお見本のような飴色のようなとろみを持つ明るいレモンイエロー。
現在のようにアメジストを加熱したのではない、非加熱の天然のままのシトリン、
しかもこの美しさ&このボリュームは本当にコレクターズ必見です。
目だった内包物も無く、照りに優れたシトリン。
あまりの透明感に身に着けているとシトリンを通して手の指の色が透けて見えます。
アンティークジュエリーに使われる天然のシトリンには、もうちょっとオレンジを帯びたもの、ブラウンを帯びたもの、緑を帯びたものなど実に様々な色合いのシトリンが存在しますが。
温かみと明るさの両方を兼ね備えた、これだけ美しいイエローシトリンは、これ以上望めない最上の美しさです。
王政復古時代ならではの素晴らしいカンティーユ
フランスのアンティークジュエリーで金細工が優れている時代の一つがこの指輪が作られた王政復古時代。
随所にカンティーユが付けられています。
非常に細い金線でパーツを作り、それを何十本も蝋付けしたカンティーユ。
これは19世紀後期になると見ることができなくなってしまう幻の技術です。
カンティーユ以外の金細工にも見所が多く、カンティーユと交互して
見事な金彫りのお花が台座を飾ります。
シトリンを留める細いゴールドの爪も、繊細の一言。
宮廷文化が再び栄えていたこの時代らしい、ハイソサエティーなセンスに満ちたジュエリーです。
地金は18金ゴールド。
指輪サイズは11.5号(有料でサイズ直し可)。
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色水晶の代表的なものに「アメジスト」「シトリン」「ローズクォーツ」があります。
水晶の中で紫色のものをアメシスト(アメジスト)、黄色のものをシトリン、薄いピンク色に色づいた水晶のことをローズクォーツと呼んでいます。
シトリンは黄色からゴールド色に色づいた水晶のこと。
その色がトパーズの色に似ていることから過去には「Madeira topaz、Bahia topaz、topaz quartz」といった誤った呼称で呼ばれることもありました。
古代ギリシア人は紀元前4世紀から既にシトリンのことを知っていました。
心臓、腎臓、肝臓、筋肉の不調を直し血の流れをよくする力のある石、また直観力を高め、自己破壊を抑え、クリエイティビティを増す宝石としても知られています。
シトリンはその自然の黄色い色から、太陽のエネルギーを持つといわれています。
シトリンとアメジスト
紫水晶(アメジスト)の色の違いは色のエネルギー準位が違うからです。
下記は同じ水晶の仲間であるアメジストとシトリンのネックレス。
実は「アメジストxシトリン」の組み合わせのジュエリーは、アンティークジュエリーで時々見かけます。
鮮やかな色の対比が素晴らしいです。
シトリンの色を決めるもの
シトリンの黄色の加減を決めているのは、結晶中に含まれる「鉄分」が原因になっています。
結晶中に鉄分が含まれていると、高い熱を受けた時に黄色に発色します。
鉄分が多いとより茶色に近い色になります。
現代のシトリン大半は、アメジストを人工的に加熱することによりシトリンの色に変えたものです。
450-480度の熱で熱すると、アメジストがゴールドからイエローの色に変わるからです。
本来地表に出てきた時にすでに黄色のものこそが、天然のシトリンというべきです。
こうして作られたシトリンは黄色が不自然で、宝石としての美しさはほとんどなく、アンティークジュエリーで見られる天然のシトリンとは別物の宝石のように、価値が異なります。
アンティークジュエリーにおいて、シトリンは高価な宝石です。
かつてはアメジストの色を変化させてシトリンを作るという技術は存在しませんでした。
アンティークのシトリンは天然無加工だけあってさまざまな色合いがあります。
レモンイエロー、トパーズに似た飴色や茶色、黄緑に近いイエローまであります。
下記はレモンイエロー色に近いシトリンです。
下記はオレンジ色の色調が強いシトリンです。
下記は「フォイルバック」で、色調に変化を与えている例です。
光の反射で炎のように挿すオレンジ色は、石の下に入れられた金箔(フォイルバック)のためです。
朝夕など異なる日の光の下でさまざまな表情を見せては変化をします。
シトリンの産地
「天然シトリン(アメジストを熱処理したシトリンではなく天然のシトリン)」の主要な産地はブラジル、マダガスカル、ミャンマーです。
近年ではベトナムからも良質のシトリンが発見されたそうですが、こうした東南アジアでの採掘は後年になってからですので、当時は出てきていません。
シトリンはフランスアンティークジュエリーでは19世紀初頭の王政復古の時代(イギリスではジョージアン後期)に大変希少価値のある宝石としてジュエリーに重用されます。
下記は同時代のフランスで作られたシトリンのネックレス。
この時代ならではの金細工とシトリンの色合いが非常によくあっています。
そしてその後は19世紀末に、今度はルネラリックをはじめとするアールヌーボーの作家性によって、その独特の存在感を魅せつけます。
半貴石の中間色がジュエリーに大胆に取り入れられたこの時代。
その芸術的なジュエリーにおいて、それ以前のイメージとは異なる大胆で新鮮な魅力を発揮します。
シトリンはその中でもとりわけ、アールヌーボーのジュエラーに愛された宝石です。
下記は1905年製作のルネラリックのトパーズとシトリンのペンダント。
上部のオーバルの黄色石がトパーズ、下部のブリオレットカットの黄色石がシトリンです。
(c)2018 Sotheby's
誕生石、記念日のためのシトリン
シトリンはトパーズに並び、11月のもう一つの誕生石である他、日本ではあまり知られていませんが、結婚5周年の木婚式に贈られる宝石でもあります。
木婚式とは「もっこんしき」と読み、ようやく夫婦が1本の木になったことを意味するそうです。
文字通り木製のものなどをプレゼントすることもありますが、宝石の場合はシトリンが木婚式の石になります。
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