黒と白でできたロマンティックな指輪
19世紀後期のフランス製。
「黒エナメルx天然真珠xダイヤモンド」とありそうでない組み合わせ。
天然真珠の白とエナメルの黒の、黒白の組み合わせが清楚な印象を与える指輪です。
黒エナメルはゴールドの縁取りで、お花の茎の形入れられています。
なだらかな曲線が指元に優しくマッチして、他にない美しい指輪ラインを作っています。
天然真珠はお花の形になっていて、モチーフは忘れな草です。
真珠の両脇にわずかに隙間を造っているところもワンポイントになっています。
中心のとても小さなローズカットダイヤモンドが、清楚さを加えています。
100年以上経ても薄れることのない愛の証
この指輪でまた特筆すべきなのが、フレームの内側部分。
恋人たちの記念日に作られた指輪だったようで、文字が刻まれていて、その文字がまたとても美しいのです。
解読できるところだけ読むと「Elizabeth xxx 21 Dec 1859」「Benjamin xxx 6 Nov 1859」と入っています。
どうやら二人の誕生日を入れているようで、結婚か何かの記念に造ったもののようです。
19世紀後期らしい優しいロマンティックな雰囲気が楽しめる指輪です。
地金は18kゴールド。
指輪サイズは12号(有料でサイズ直し可)。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーで時々登場するエナメル。
その柔らかな質感は、どんな高価な宝石を使用したジュエリーにもかえがたい魅力があります。
エナメル(七宝焼き)とはさて一体どのようにして作るのでしょう?
エナメルはゴールドや銀などの金属製の下地の上に釉薬(ガラス質、鉱物質の微粉末を水と糊でペースト状にしたもの)を乗せ、摂氏800度前後の高温で焼くことによって作られます。
融けた釉薬によるガラス質の美しい彩色を施す技術です。
クロワゾネエナメルとは
アンティークジュエリーで見られるエナメル(エマイユ)技法のひとつで、エナメルの中でも高度な技術を要するエナメルにクロワゾネエナメルがあります。
クロワゾネエナメルとはいわゆる有線七宝のことです。
土台となる金属の上に1mmにも満たない金線を貼り付けて輪郭線を描き、できた枠内をエナメルで埋める装飾技術です。
フランスのアンティークジュエリーにおいて、クロワゾネエナメルによく用いられた色は赤や青、黒、白、緑などです。
「クロワゾネ(cloisonne )」はフランス語で「仕切られた」という意味からきています。
クロワゾネエナメルは基本的に金属の上に施されますが、下記では何とクリスタルの上にクロワゾネエナメルが施されています。
宝飾史に名を刻む19世紀後半に活躍したジュリアーノ一族が得意としたのも、クロワゾエエナメルです。
ジュリアーノは、19世紀後半にルネッサンス様式に着想を得たエナメルの重ね塗りで、一世を風靡。
白・黒、ブルー・白の点描などが有名です。
カルロジュリアーノの二人の息子、カルロとアーサーが父の跡を継ぎ、ジュリアーノ一族のエナメルワークは更なる発展を見せます。
アールヌーボー時代には、透明なエナメルも好んで用いられました。
アールヌーヴォーの時代に日本の有線七宝の影響を受けて、それがフランスで進化し、鮮やかな発色のエナメルがアンティークジュエリーが生まれました。
スイスジュネーブのスイスエナメル、フランスリモージュ地方のリモージュエナメルも人気です。
リモージュエナメルもクロワゾネエナメルの作品を主としています。
下記は当店扱いのリモージュエナメルのペンダント。
多色使いが見事です。
エナメルは指輪のショルダーなど、ジュエリーに部分的に用いられることも多くありました。
下記のケースでは、ショルダーのところに黒いエナメルが入っています。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。