南仏の殉教者の絶えない聖堂のメダイユ
ちょっと珍しいメダイユ(メダル)を入手しました。
「Notre Dame Laghet」と描かれていますが、これはフランスの南仏にある「ラ・トリニテの聖堂」になります。
場所としては日本でも良く知られたコートダジュールにあります。
「Laghet」通りにあることからそういう名前で呼ばれています。
17世紀からあったチャペルで、フランスでもっとも世界中から殉教者の訪れる聖堂です。
モチーフは聖マリアです。
フランスではこのような教会等のメダルが今でも作られているところがありますが、今このような金無垢でメダルを作っているところはさすがにないです。
古い時代のフランスの刻印が押されていることやそのジュエリーとしての作りや作風からも、1900-20世紀初頭までの作品です。
前面は月桂樹
前面に描かれている葉は月桂樹です。
聖マリア様もこの月桂樹のモチーフも、ゴールドの凹凸を用いて巧みに描いています。
メダルの直径が1センチ強程度のとても小さな面積の中で、その柔らかいシルエットや表情も見えそうな表現力。
このタイプのメダイユアンティークジュエリーは、フランスが間違いなく最も優れたメダイユジュエリーの製作地でした。
刻まれた文字も含めて、狭い面積に願いが込められたお守りのようなメダルです。
18カラットゴールド。
注:チェーンは付いていません。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーで時々「メダイユ」という言葉が出てくると思いますが、これはフランス語で「メダル」という意味の言葉です。
このような小さくて丸い金のメダルをチェーンに通してネックレスやブレスのチャームとして使います。
メダイユは、聖母像や十字架、聖人像など宗教的なモチーフのものが多いです。
下記はカルティエ社による聖人のメダルです。
国家が発行した愛を伝えるメダイユ「la maddaille d'amour」もあります。
またフランスの愛を伝えるメダイユで有名なのが、「augis」というジュエリーメーカーがあります。
フランスのリヨンで長年、愛のジュエリーを製作しました。
下記のように「+」と「-」を用いて愛のメッセージを伝えています。
「Je t'aime +(plus) qu'hier -(moins) que demain(昨日より多く愛していて、明日の愛よりは少ない)」、つまり日を追うごとにあなたへの愛が深まるという愛のメッセージになります。
フランスの著名な詩人ロスモンド・ジェラール(Rosemonde Gerard)のロマンチックな詩が元になっています。
Augisはメダイユ(メダル)の他にも、やはりロマンチックな愛の言葉を刻んだバーブローチやブレスレット、指輪を製作しました。
19世紀から1960年頃にかけて製造を行ったメーカーです。
Augisは現在も存続するメーカーで、現在では特に子供の初聖体拝領用のジュエリーを手掛けていることで知れています。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。