2種類の花が描かれたアールヌーボーのネックレス
この手の秀逸な金細工のゴールドネックレスは、フランスアールヌーボー期に作られました。
このネックレスが珍しいのは2つのお花が描かれていること。
薔薇の花だけのデザインが圧倒的多く、薔薇とパンジー二つの種類の花が一つのネックレスで描かれているネックレスは私も初めて入手します。
薔薇の花言葉は「しあわせな愛」、パンジーの花言葉は「誠実な愛、信頼」です。
どれだけの愛がこめられているのでしょうか。
ちなみにパンジーはフランス語が語源になっています。
「考える」を意味する言葉「パンセ(penser)」がその名の由来で、それだけにフランスアンティークジュエリーでパンジーをモチーフにしたものを見ると感慨深いものがあります。
レポゼ、彫金、つや消し・・・絶頂にあった金細工の数々が駆使されてます
使われている金細工技術について細かくご説明いたしましょう。
まずパーツごとの成型に一部レポゼ技術(裏からゴールドを押し出すことで形を作り出します)が用いられています。
しかし主たる技術は彫金細工になり、ゴールドを掘り出し削っていくことで、主だった花の形を作り上げています。
重なり合う薔薇の花びらの様子などはこの時代、彫金によって表現されることが多いです。
薔薇の花びらは卓越した彫金技術を遺憾なく発揮できるシルエットですから、それゆえに薔薇というモチーフが好まれたともいえます。
これ以外に表面に部分的につや消しが施されています。
これは鏨打ちによって行います。
つや消しが施されていることでハイカラットゴールドの塊であってもギラギラとせず、また陰影が生まれ植物の造形美が深まるのです。
裏面はレポゼによっておおよその形を作り上げてから、更に一面に彫金が施されています。
良質なアンティークジュエリーは概して裏面も綺麗に仕上げてあるものですが、この裏面の彫金は仕上げというレベルを超えていて一つの作品です。
花びらのひだから葉脈まで繊細に彫り上げられています。
パンジーの裏面などは私もうっかり裏面であるということにしばし気づかず、魅入ったほどです。
左右1粒ずつ添えられた天然真珠が愛らしいアクセントです。
全体は「ドラップリー」と呼ばれる首にヒダのように広がるネックレスデザインで、メインモチーフ以外にもゴールドのチェーンが複線で広がります。
1900年頃のフランス製。
18金ゴールド。
ネックレスの長さは42センチ。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
パンジーはフランス語の「考える」を意味する言葉「パンセ(penser pensee)」がその名前の由来です。
深く考え込む人の姿に似ていることにちなんで名付けられたそうです。
意味するのは「I think of you(あなたのことを想っている)」です。
パンジーは、19世紀になって作られた花で、ジュエリーのモチーフにされ始めるのも、この頃からです。
それまでの慣習や先入観から離れて知識や理性によって物事を考える「自由主義」のシンボルになります。
下記は当店で販売済みの、パンジーのアンティーク指輪。
19世紀初頭のものです。
パンジーの微妙な色のグラデーションを、エナメルで表現したものも多いです。
下記は当店扱いのギロシェエナメルで描かれたパンジーです。
薄緑、淡いピンク色がグラデーションがエナメルによって美しく表現されています。
パンジーの花言葉は「誠実な愛、信頼、忠実」。
19世紀前半から、中ー後期、そしてアーツアンドクラフト運動の中でも愛されて度々ジュエリーのモチーフにされてきました。
下記はとても珍しい、アメジストを彫りだすことでパンジーを描いた作品です。
下記はとても珍しい、アメジストを彫りだすことでパンジーを描いた作品です。
また下記では留め具部分に「pense a moi(私のことを想って)」の愛のメッセージが入っています。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。