アールヌーボー 銀製フィリグリーロングチェーン(ソートワール)

アールヌーボーの銀のロングチェーン こんなチェーンは初めて見ます。
シルバーロングチェーンですが、モチーフ部分に「女性の顔」が彫られています。
豊かに広がりうねる長い髪の女性が、蔦葉の絡まる背景と共に描かれています。
典型的なアールヌーボーの図柄です。
これまで何度となくアンティークチェーンを扱ってきましたが、このようなアールヌーボーの図柄が彫刻されたチェーンは初めて見ます。
凹凸も豊かで立体感のある素晴らしい彫刻。
そしてこの女性が描かれた楕円形のモチーフ部分は部分的に艶消しが施されています。
艶のあるところと艶消しがされているところがあり、光の当たり加減で変化する陰影を表しています。
チェーンは長さ146センチの超ロング丈。
女性のモチーフは6つ入っています。 6つのモチーフの図柄が少しずつ異なります 更に驚いたことには、モチーフ毎にわずかに図柄が異なります。
同じ女性をモチーフにしておりほぼ同じなのですが、やはりすべて手作業で仕上げられたせいか髪のカーブや目つきなど微妙なところが少しずつ異なります。
更にモチーフは両面に施されています。
つまり12か所に女性像が彫られているのです。
チェーン部分は一部にフィリグリー細工が入っています。
私はアンティークチェーンが好きなためこれまで数えきれないほどゴールドやシルバー製のアンティークチェーンを扱ってきましたが、こんなチェーンは初めて見ます。
1900年頃のフランス製。
銀製。

  • 幅:1460mm 
    重量:22.1g
    商品の状態:良好
  • 販売価格:売り切れました。

アールヌーボー 銀製フィリグリーロングチェーン(ソートワール)

  • アールヌーボーの図柄の楕円モチーフは横が8ミリ、縦が2.6センチです
  • 146センチで2重はもちろん3重も綺麗なレイヤーで着けることができます
  • 楕円モチーフだけでなくフィリグリー細工が施されたパーツも入ってます
  • フィリグリー細工部分も2つのパーツを組み合わせたような凝った作りです
  • フランス銀製の刻印あり。旧式の留め具も堅牢で状態が良いです
  • アールヌーボー 銀製フィリグリーロングチェーン(ソートワール)
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アンティークエピソード

アールヌーボー(アールヌーヴォー)のアンティークジュエリー

知られざるアールヌーボーの本質
しなやかな曲線と自然への感性。
日本でも人気の高いアールヌーヴォー様式ですが、その「本質」は意外に知られていません。
アールヌーヴォーは19世紀末(1900年前後)、あらゆる芸術領域を席捲した装飾様式です。
ジュエリーの世界でアールヌーボーは、「貴石をシンメトリーにセッティングした従来のジュエリー作り」から「宝石的価値ではなく色によって選別した石を、美しく彫金されたゴールドにニュアンスカラーのエナメルと共にセットしたジュエリー」への脱皮をもたしました。

アールヌーボーと言うと柔らかな曲線から「ロマンチックな自然主義」と言うイメージが強いことでしょう。
しかしその根底には世紀末ならではの「デカダンス」があります。
溢れんばかりに花をつけた枝や、豊かに広がりうねる長い髪といったアールヌーボーの典型的な図柄の裏には、「自然の残酷さや死」が念頭にありました。

アールヌーボー サイン入りリング J Guerin(1902年)

アールヌーボーのジュエラーとパリ万博(1900) 
ジュエリー界でもっとも早く「アールヌーボー」の言葉を使い出したのは、ルネ・ラリック(Rene Lalique)。
下記は1902年にイギリスで発行された「Magazine of Art」に掲載されたルネラリックのジュエリーデッサンです。
女性の顔と睡蓮が描かれたペンダントのデッサンですが、この頃はまだルネラリックはロンドンでは広くは知られていませんでした。

アールヌーボールネラリック

1900年のパリ万博では、ルネ・ラリック、メゾン・ヴェヴェール(Maison Vever/ヴェヴェール工房)、ルシアン・ガリヤール(Lucien Gaillard)の3人がジュエリー部門でグランプリを獲得します。

下記は1900年頃に製作された、ルシアン・ガリヤールの青い鳥の髪飾り。
鼈甲とプリカジュールエナメル、目の部分にダイヤモンドが入れられています。
アールヌーボーは東洋の美意識、特に日本の芸術に強い影響を受けましたが、この作品は私たち日本人が見ても、日本的な美しさを感じる作品ですね。

ルシアンガリヤール

この万博では、ジョルジュ・フーケ(Georges Fouquet)とウジェーヌ・フィアートル(Eugene Feuillatre)が金賞を受賞しました。
ジョルジュ・フーケは1898年にランの花をモチーフにしたジュエリーでアールヌーボーの作品を初めて手がけます。
そしてポスターアーティストのアルフォンス・ミュシャと一緒に、いくつものプレートをチェーンでつなげたジュエリーを発表します。
下記は1900年にアルフォンス・ミュシャがデザインした、宝石商ジョルジュ・フーケの店舗です。
ステンドグラスやモザイクタイルの装飾等、ミュシャがポスターの中で描いたアールヌーボーのテーマや曲線が再現されています。
今日、このインテリアショップの内装は、パリのカーナヴァル美術館で見ることが出来ます。

アールヌーボー、ミュシャ

また同年代のジュエラーの中でルネラリックと並び賞賛を浴びていたのが、ベルギーのジュエラーであるフィリップ・ウォルファー(Philippe Wolfers)です。

アールヌーボージュエリーに関して更に詳しい情報は、アールヌーボー(アールヌーヴォー)のアンティークジュエリーの特徴と魅力をご参照ください。

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