オールドマインカットxオールドヨーロピアンカットの競演
類似するリングを3つ持っており、こちらが最後になります。
同じ時期に同じフランス人ディーラーさんから入手しており、その類似するスタイルからもともと同じファミリーが所有していたもの、工房も同じであったのではないかと思っています。
それぞれのリングが少しずつ異なり、こちらのリングはメイン石がオールドマインカット(クッションシェイプ)、脇石すべてのダイヤモンドがオールドヨーロピアンカットになっています。
特にメイン石は透明感のあるきれいなオールドマインカット(クッションシェイプ)のダイヤモンドで、直径4ミリ程と大きさがあり、側面から見ても驚くほどの厚みがございます。
オールドマインカットらしい大胆なキューレットの切り落とし方も味わいがあります。
メイン石以外はすべてこちらはオールドヨーロピアンカットにされています。
脇石は当時ローズカットのダイヤモンドを用いることが一般的でしたら、このように厚みがあり透明感のある、1石でもメイン石になれそうなオールドヨーロピアンカットのダイヤモンドを脇石に用いているのは贅沢です。
脇石のダイヤモンドは合計10石。
いずれも透明感のあるきれいな石で、石によりますが直径2.5ミリ程です。
これほど美しいダイヤモンドを惜しげなく台座にすっぽり埋め込むようにセットされているのが、アンティークリングらしい粋です。
ゴールドバックのプラチナセッティング
他の2石と同じようにゴールドバック(18カラット)バックのプラチナセッティングになっています。
メイン石がホワイトゴールドでダイヤモンドのセットされている台座の表面がプラチナです。
20世紀初頭、プラチナがまだ市場に出始めたばかりのジュエリーによく見られる作りなのですが、「イエローゴールドxプラチナ」のセッティングが多いので、このようにホワイトの地金同士を合わせたものは珍しいです。
よく伸びるプラチナの属性を活かして、爪を極力目立たせぬようにしたセッティングで、光り輝くホワイトジュエリーになっています。
脇石は特に台座に深く石を埋め込むことで、爪がほとんど見えないです。
またこのリングには、フランスの18カラットゴールドの刻印である鷲の頭と、フランスのプラチナの刻印である犬の頭の両方が入っています。
フランスのアンティークリングの場合メインの地金の刻印のみが押されることが多いので(この場合でしたら18カラットゴールドに対してのみ)、両方の刻印がしっかり押されているケースは一層良いです。
内側にはシリアル番号まで打たれており、当時の一流の宝飾店の仕事であることがここからも分かります。
20世紀初頭のフランス製。
指輪サイズは14.5号(有料でサイズ直し可)。
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アンティークダイヤモンドには、現代のブリリアンカットとは異なるアンティークジュエリー特有のダイヤモンドのカッティングがいくつか見られます。
その中の一つがクッションシェイプカット(クッションカット)です。
なぜ「クッション」と言うかというと、まるでクッションのような形だからです。
円形とスクエアの混ざったような形のダイヤモンドカットです。
オールドマインカットより後年に出てくるオールドヨーロピアンカットとの違いはアウトラインが角ばっていて四角帯びていること。
オールドヨーロピアンカットはシンメトリーですが、オールドマインカットは完全なシンメトリーではありません。
またオールドマインカット方がオールドヨーロピアンカットに比べても更に、クラウンに厚みがあり、キューレットが長いです。
ともにテーブル面は小さいです。
オールドマインカットもオールドヨーロピアンカットも真ん中は、まるで穴が開いているように見えると思いますが、これはキューレットの先端をカットしているからです。
まるで「座布団」のような形で、長いアンティークの歴史の中でも限られた時代にしか見えない希少なカッティングです。
クッションシェイプのダイヤモンドには質で厚みのある石が使われたことが多く、美しいダイヤモンドジュエリーが多いです。
オールドマインカットの次に出てくるオールドヨーロピアンカットに関しては、オールドヨーロピアンカットダイヤモンドとはをご参照ください。
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