ルイ・フィリップ時代のアンティークロケット
ルイフィリップ時代(1830年―1848年)と非常に古い時代に遡るアンティークジュエリーです。
ルイフィリップは王政復古時代の後、7月革命でフランスの王政につきます。
フランス最後の王様です。
この時代、王政復古時代のジュエリーに比べて華奢さはなくなってきますが、貴族的で伝統的なフランスのジュエリーが作られました。
この時代のロマンチックで牧歌的なジュエリーは、19世紀中期の騎士的なジュエリーとも一線を画します。
直線的なラインではなく丸みを帯びたシルエットが主流で、表面積が大きなパリュールなども好まれて作られました。
このロケットも丸みを帯びたハート型で、フランスのロケットとしては厚みもあるところもこの時代らしいです。
裏面には草花(稲のようにも見えます)が彫金で描かれています。
ロケットとしても閉まりがよく、内側も良い状態です。
セイロンサファイヤ
青石はブルーサファイヤです。
色彩の明るいいわゆるコーンフラワーブルー(矢車草の花の青色)色のサファイヤは、当時のセイロン産サファイヤです。
アンティークジュエリーで用いられるサファイヤは、色の濃い紺色のサファイヤが圧倒的に多く、このような鮮やかなコーンフラワー色のサファイヤは少ないです。
鮮やかで明るい、「最良」と言われるブルーサファイアの色です。
ロケットなので閉じた状態ではサファイヤの裏面から光が通らないですが、ロケットを開けると一層サファイヤ本来の明るい青色が差します。
周囲はダイヤモンド。
このような脇石のダイヤモンドは当時ローズカットダイヤモンドが用いられることが多かったですが、贅沢なことにすべてオールドマインカット(クッションシェイプ)にされています。
ごつごつとした厚みのある石がたくさん用いられています。
銀の台座に深く埋め込まれているのでそれほど煌めかないように思うかもしれませんが、これまたロ
ケットを開閉するとダイヤモンドにも光が差し込み非常に良い石が用いられていることが分かります。
1830-1850年頃のフランス製。
18カラットゴールド(ダイヤモンドの周りのみ銀)。
注:チェーンは付いていません。
動画も撮影しています。
ルイフィリップ時代 ブルーサファイヤとダイヤモンドのロケット
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アンティークロケットペンダントは最も人気の高いアンティークジュエリーの一つです。
その歴史は中世のヨーロッパまで遡ります。
この頃は宗教的意味合いが強く、聖像などを収めたりするものでした。
下記は当店扱いの何と18世紀の非常に古い時代のロケットペンダント、何と「鉄」でできています。
ジュエリーとして美しいロケットが出始めるのは、主に19世紀。
19世紀初頭に、イギリスやフランスを中心に大切な人の髪や形見の品などを入れる物としてロケットペンダントが普及します。
宝石をちりばめたものや細工の凝ったものなど、美しいロケットが作られます。
下記はエメラルドと真珠がセットされ、かつエナメルも施された宝飾品としての完成度が高いロケットです。
下記は1900年頃のフランス製のロケットペンダント。
ブルーエナメルと真珠とダイヤモンド、そして葉をモチーフにしたアールヌーボーらしい構図の美しいロケットです。
イギリス・ヴィクトリア時代(19世紀中ごろ)のロケットには積極的に愛のメッセージが込められているのが特徴です。
下記はヴィクトリア&アルバート美術館所蔵の1840年頃、イギリスヴィクトリア時代中期のロケットペンダントです。
ハートの形に南京錠、その鍵が描かれています。
その心は「私の心(ハート)の鍵はあなたが握っている」です。
使われている宝石にも愛のメッセージが込められています。
ルビー、エメラルド、ガーネット、アメジスト、ルビー、ダイヤモンドでその頭文字をとって「Regard」。
(c) Victoria & Albert Museum, London
下記もやはりハートをモチーフにした、こちらはフランスべルエポック時代に作られたロケットペンダント。
前述のヴィクトリアンのハートペンダントほどの重たさはなく、都会的で洗練されたロケットです。
ロケットのモチーフには時に、珍しい題材も選ばれました。
下記は当店で販売済みの、お酒のボトルをモチーフにしたロケットペンダントです。
下記は本に見立てたロケットで、何枚もめくっていける驚きの作りです。
写真を3枚入れることができます。
アンティークロケットでは金細工に優れたロケットが多いですが、金細工やエナメル細工が施されたロケットもアンティークジュエリーならではの醍醐味です。
下記はアールヌーボーの金細工が美しいロケットペンダント。
ギロシェエナメルのロケットペンダント。
ロケットジュエリーの大半はイエローゴールドで作られていますが中には例外もあります。
下記は銀製のロケットペンダント。
またアンティークロケットペンダントも非常に人気があり、常に品薄状態なのですが、それ以上に見つけにくいのが、ロケットリングです。
ペンダントに比べても細工を施す面積が少ない指輪で、このような細工を施すのは非常に大変なことで、作られた数も極めて少ないのです。
下記は当店で販売済みのバラをモチーフにしたロケットリング。
このロケットリングのように無色のガラスの場合、何も入れない状態で着けても美しいですし、押し花のように小さな葉などを入れてもよいと思います。
下記も当店にて販売済みのロケットリングで、ベルトの中を開くとロケットが出てくるという実に精巧な作りです。
とても小さなロケットで、この手の小さなロケットリングは、故人の髪を入れるためのものでした。
また下記は珍しくロケットチャームのついたバングルです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。