通常のフランスのアンティークロケットより大きめで重量もあるロケット
アンティークロケットペンダントはこれまでシェルシュミディでも何度となく扱ってまいりましたが、フランスのアンティークロケットペンダントの大半がベルエポック時代に製作されたものです。
こちらのペンダントはそのずっと前、1830年頃(王政復古時代の後期、シャルル10世時代)ととても古い時代まで遡る希少性のあるロケットです。
中心部にエメラルド。
スクエアのいわゆる「エメラルドカット」にされています。
エメラルドの性質上、多少の内包物は含むものの、深く澄んだエメラルドグリーンのエメラルドは当時のコロンビア産。
その全周をゴールドで包み込まれるようにコレットセットされていますが、その波打つようなゴールドのセッティングも芸術的。
中心部はお花の形(クラスター)になっていて、エメラルドを囲うのは天然真珠。
そしてよく見てください、真珠の外枠のゴールドがお花の形になっていて、更にその外側のブラックエナメルもお花を描き、更に黒エナメルによるストライプの模様へとつながっていきます。
その意匠もオリジナルで珍しい作品です。
作品のできばえは裏側を見れば分かります
良い作品は裏まで綺麗に仕上げられているもの。
このペンダントは一目瞭然です。
裏面の金細工の美しさには言葉を失います。
まるで絵画のように流れるようなラインは、彫金による仕事。
中心部にダイヤモンド形は何かの家紋のようにも見えます。
その外側に向かってクローバーの形が描かれ、随所に葉をモチーフにした模様が、通し輪のところまでぎっしりと金細工が施されています。
表面はシャルル10世時代に流行するブラックエナメルも入っていて、少し騎士的で荘厳さを感じさせますが、裏面の絢爛豪華な装飾と可愛らしい丸みを帯びた形は完全なロココ様式です。
フランス革命を経てつかの間に復活した宮廷文化(王政復古時代)らしい装飾様式が見られます。
中を開けるとガラスが入っており(そしてガラスの状態もよく厚みもしっかりあります)、中に写真等を入れて閉じることができます。
開閉状況も完璧です。
注:一緒に映っているチェーンはつきません。
1830年頃のフランス製。
18金ゴールド。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークロケットペンダントは最も人気の高いアンティークジュエリーの一つです。
その歴史は中世のヨーロッパまで遡ります。
この頃は宗教的意味合いが強く、聖像などを収めたりするものでした。
下記は当店扱いの何と18世紀の非常に古い時代のロケットペンダント、何と「鉄」でできています。
ジュエリーとして美しいロケットが出始めるのは、主に19世紀。
19世紀初頭に、イギリスやフランスを中心に大切な人の髪や形見の品などを入れる物としてロケットペンダントが普及します。
宝石をちりばめたものや細工の凝ったものなど、美しいロケットが作られます。
下記はエメラルドと真珠がセットされ、かつエナメルも施された宝飾品としての完成度が高いロケットです。
下記は1900年頃のフランス製のロケットペンダント。
ブルーエナメルと真珠とダイヤモンド、そして葉をモチーフにしたアールヌーボーらしい構図の美しいロケットです。
イギリス・ヴィクトリア時代(19世紀中ごろ)のロケットには積極的に愛のメッセージが込められているのが特徴です。
下記はヴィクトリア&アルバート美術館所蔵の1840年頃、イギリスヴィクトリア時代中期のロケットペンダントです。
ハートの形に南京錠、その鍵が描かれています。
その心は「私の心(ハート)の鍵はあなたが握っている」です。
使われている宝石にも愛のメッセージが込められています。
ルビー、エメラルド、ガーネット、アメジスト、ルビー、ダイヤモンドでその頭文字をとって「Regard」。
(c) Victoria & Albert Museum, London
下記もやはりハートをモチーフにした、こちらはフランスべルエポック時代に作られたロケットペンダント。
前述のヴィクトリアンのハートペンダントほどの重たさはなく、都会的で洗練されたロケットです。
ロケットのモチーフには時に、珍しい題材も選ばれました。
下記は当店で販売済みの、お酒のボトルをモチーフにしたロケットペンダントです。
下記は本に見立てたロケットで、何枚もめくっていける驚きの作りです。
写真を3枚入れることができます。
アンティークロケットでは金細工に優れたロケットが多いですが、金細工やエナメル細工が施されたロケットもアンティークジュエリーならではの醍醐味です。
下記はアールヌーボーの金細工が美しいロケットペンダント。
ギロシェエナメルのロケットペンダント。
ロケットジュエリーの大半はイエローゴールドで作られていますが中には例外もあります。
下記は銀製のロケットペンダント。
またアンティークロケットペンダントも非常に人気があり、常に品薄状態なのですが、それ以上に見つけにくいのが、ロケットリングです。
ペンダントに比べても細工を施す面積が少ない指輪で、このような細工を施すのは非常に大変なことで、作られた数も極めて少ないのです。
下記は当店で販売済みのバラをモチーフにしたロケットリング。
このロケットリングのように無色のガラスの場合、何も入れない状態で着けても美しいですし、押し花のように小さな葉などを入れてもよいと思います。
下記も当店にて販売済みのロケットリングで、ベルトの中を開くとロケットが出てくるという実に精巧な作りです。
とても小さなロケットで、この手の小さなロケットリングは、故人の髪を入れるためのものでした。
また下記は珍しくロケットチャームのついたバングルです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。