フランス第二帝政期のブルーエナメルゴールドネックレス。
金細工とこの時代らしいフランスのロイヤルブルーエナメルの調和が美しい、フランスアンティークジュエリーの王道を行く作品です。
買い付け後の催事にて販売済み。
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フランスのアンティークジュエリーはその時代ごとに特徴的な装飾が見られます。
19世紀フランスのジュエリーを大雑把に区切るのであれば(もちろん時代の過渡期など完全に区切れないところもありますが)、まずは王政復古の時代。
次にナポレオン3世の時代、そしてベルエポックとアールヌーボーと続きます。
「ナポレオン3世様式」は1848-1870年頃のジュエリーに見られます。
ナポレオン1世による第一帝政が倒され、その後フランスは王政に戻りますが、その後1848年に2月革命が起きて、ルイナポレオンは大統領選挙に当選し第二帝政が始まります。
後世の評価はそれほど高いとは言えないナポレオン三世ですが、20年以上も権力の座にその間にそれなりの成果を挙げます。
国内産業の育成に力をそそぎ、この時代にフランスの製鉄、紡績工業は大きく発展することになります。
労働者向けの公共慈善事業もこの頃本格的に始まります。
そして何と言っても花の都パリの都市としての原型はこの時代に作られます。
革命後のフランスはまだ政治的に不安定で、政府に不満を持つパリ市民の蜂起は政権を揺るがしかねない事態にありました。
ナポレオン3世は、万が一の市民蜂起に備え(当時のパリは網の目のような路地が多く、市民はバリケードを築いて軍隊の移動を封じることが多かったのです)、セーヌ県知事のジョルジュオスマンにパリの大整備を命じます。
街路を広くし、見通しをよくする大幅なパリの都市改造のはじまりです。
具体的には、エトワール凱旋門から放射状に広い12本の大通りを作り、中世以来の複雑な路地を整理します。
このようにして交通網を整えたことで、パリ市内の物流機能が大幅に改善しました。
また、上下水道を施設し学校や病院などの公共施設などの拡充を図りました。
衛生状態が改善して、コレラの発生率がかなり低くなったそうです。
一連の都市計画により、パリの街は「世界の首都」と呼ばれるようになります。
19世紀最大のこの都市計画は、フランス国内にとどまらず各国における近代都市建設の手本とされるようになります。
この時代に作られたアンティークジュエリーは、「エンパイア(エンピール)スタイル」と呼ばれることもあります。
この時代の文化に強い影響を与えたのは、ナポレオン3世の妻、ウジェニー・ド・モンティジョ(Eugenie de Montijo)であったと言われています。
ウジェニーはスペイン貴族の出身(しかしウジェニー一家は家族内ではフランス語を日常語として使用していたといいます)。
フランスにとって外国から妃を迎えるのはルイ16世の配偶者、マリーアントワネット以来のこと。
それもあってかウジェニーはマリー・アントワネットに強い興味、憧れを抱いていたと言われています。
この時代、宮廷の装飾にはルイ16世の頃に人気があった新古典様式の家具とインテリアデザインが再び用いられます。
またウジェニーは、マリー・アントワネットの肖像画や遺品をコレクションし、それらを集めた展覧会も開いていました。
ゴシックやルネッサンス、ルイ15世、ルイ16世などそれまでのフランスさまざまなスタイルが復活し、そこに万博の影響から海外のエキゾティックなスタイルも混ざり、独特な装飾様式が生まれます。
華美な宮廷文化を受け継ぎつつも、どこか少しエギゾティックで中性的なところがあります。
この時代のジュエリーによくブルーエナメルやブラックエナメルのゴールドジュエリーが見られます。
下記は第二帝政時代のブルーエナメルのダイヤモンドリング。
同じく同時期のブルーエナメルを用いたゴールドネックレス。
下記は同時代のピアスで、トルコ石の周りにピンクゴールドより赤味の強いゴールドを塗られています。
ブラックエナメルやカラーゴールドは、フランスアンティークジュエリーにおいて第二帝政期より前の19世紀初頭のシャルル10世の時代のジュエリーにも共通して見られますが、装飾性&デザイン性が第二帝政の頃とは異なります。
簡潔に言うなら第二帝政期のジュエリーは中世的で、「騎士的」とよく表現されます。
一方でシャルル10世の時代を含む王政復古時代のジュエリーは、宮廷文化の再来の中で生まれた、でより伝統的なフランスの装飾様式を受け継いだものです。
下記は同時代の指輪ですが、エンピールスタイルの中世的なデザインの特徴がよく出ています。
第二帝政期は、宝石としては良質なトルコ石x金細工のジュエリーが多く作られた時代でもあります。
下記は同時代のトルコ石のネックレス。
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