絵画のような微細なエナメル
アンティークジュエリー、特にエナメルを用いたアンティークジュエリーの定番モチーフの一つが天使(エンジェル)。
日本でもとても人気のあるモチーフで、エンジェルを集中的に探しているディーラーさんもいるほどです。
フルートを手にした愛らしい天使が、エンジ色の背景の中に描かれています。
外側にゴールドの額縁、更に外側のホワイトエナメルが施されています。
天使のエナメル部分とその外側のゴールド枠だけが少し高くなっていて、額縁に収まった美しい西洋画のようです。
天使のピュアな白い肌は、ところどころ健康的にピンクを帯びていて、天使の水色の衣類もその青い色彩が場所によって、グラデーションがつけられています。
このような本来絵画でしかできないような微細な色彩のニュアンスを、エナメルで表現していることに驚かされます。
楕円のエナメルの部分は、横幅9ミリ、縦幅1.5センチ。
コンパクトな面積の中に、西洋画のような世界が広がります。
ブローチ金具は完全に取り外すことが出来ます
金細工、およびジュエリーそのものの作りの良さも光ります。
ブローチ兼ペンダントとしてそれぞれが完全に独立して、使える作りになっています。
ペンダントとして使う際は、裏側にペンダント通し用の引き輪が左右についているので、そこに両端に引き輪の付いたタイプのチェーンを通します。
ブローチ金具は金具を捻ることで完全に外すことが出来ます。
(4番目のお写真をご参照ください)。
イエローゴールドは全体にマットなテクスチャーです。
これはあらゆる箇所を鏨打ちで艶消ししているからです。
裏面までマットな質感があるので「まさか!」と思い見てみましたら、何と裏面まで鏨打ちしてありました。
エナメル画の左右には、ガーランド模様が描かれています。
この部分の白い金属だけ、市場に出始めたばかりのプラチナが使われています。
ガーランドの2つずつ対になった葉模様には、1箇所ずつダイヤモンドが埋め込まれています。
ダイヤモンド以外も、それぞれ小粒ながら上質なルビーと天然真珠が、色彩上のアクセントになっています。
様々な要素が満載の、素晴らしい技術力&素材の良さが結集したジュエリーです。
1910年頃のフランス製。
地金は18カラットゴールド。
類似したジュエリーを見たことがありません。
希少価値も高くお薦めのジュエリーです。
注:チェーンは付いていません。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーで時々登場するエナメル。
その柔らかな質感は、どんな高価な宝石を使用したジュエリーにもかえがたい魅力があります。
繊細で高い技術を要するエナメルジュエリーは、現代のジュエリーでは見られなくなってしまっているので、良質なエナメル使いはアンティークジュエリーの醍醐味の一つです。
アンティークジュエリーで見られるエナメル(エマイユ)技法のひとつで、エナメルの中でも高度な技術を要するエナメルにクロワゾネエナメルがあります。
クロワゾネエナメルとはいわゆる有線七宝のことです。
土台となる金属の上に1mmにも満たない金線を貼り付けて輪郭線を描き、できた枠内をエナメルで埋める装飾技術です。
アールヌーヴォーの時代に日本の有線七宝の影響を受けて、それがフランスで進化し、鮮やかな発色のエナメルがアンティークジュエリーが生まれました。
フランスのアンティークジュエリーにおいて、クロワゾネエナメルによく用いられた色は赤や青、黒、白、緑などです。
「クロワゾネ(cloisonne )」はフランス語で「仕切られた」という意味からきています。
アンティークジュエリーや美術品に使われた古典的技法ですが、その繊細さと美しさが昨今改めて見直されています。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。