ベルエポックならではのローレルリースと花綱(ガーランド
このネックレスが作られた1900年頃のベルエポック時代のフランスでは、伝統的なジュエリー製作への復帰が見られます。
特にルイ16世様式のリバイバルからジュエリーモチーフとして重用されたのが、このネックレスでも見られる花綱ガーランド(草花モチーフの連なり)とローレルリースの花冠(下部のリース部分)です。
ベルエポック時代のこれらのモチーフはシメントリーを特徴としており、このネックレスのモチーフもすべてが左右対称になっています。
いかにもベルエポック時代らしい、貴族的で優雅なネックレスです。
リボンのように折り曲げられたゴールドの曲線
このネックレスで一番感嘆したのは、あるいい一番目立たない部分なのですが、左右のモチーフのゴールドの捻り部分です。
特にゴールドの線を曲げている箇所は、まるで繊維で出来たりボンのしなりのよう。
一瞬のシルエットを永遠のものにしています。
この部分は絶妙につや消しがされていて立体感があり、それはゴールドが裏返る部分も同様です。
これだけのオリジナリティあるゴールドの捻りを作りだすのに、どれだけ高度な金細工技術が要ったことでしょう。
花冠の中心に天然真珠(裏側のセッティングも素晴らしい!)、そして左右のモチーフの要所にダイヤモンドが埋め込まれています。
ダイヤモンドの台座の表面のにみ当時出始めたばかりのプラチナが用いられており、そうしたことからもこのネックレスが1900−1910年頃に製作されたものであること分かります。
ネックレスの長さは39.5センチ。
短めと思われるかもしれませんが、ドロップラインがありますのでちょうど良いと思われる方が多いと思います。
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ローレルリース(laurel wreath)、月桂樹の花輪をモチーフにしたペンダントです。
月桂樹の枝と葉を重ね合わせた円形状のモチーフで、ギリシア神話では光明神アポロンが頭にローレルリースを冠としてかぶっていたとされています。
古くから勝利と名誉のシンボルとされてきました。
ローレルリースとベルエポック時代
ローレルリース(月桂樹の冠)はフランスではベルエポック時代(隣国イギリスではエドワーディアンの頃)に花綱(ガーランド模様)やリボン模様と共にジュエリーのモチーフに好まれて用いられるようになります。
ベルエポック時代の宝飾界で起こっていた動きとしては、18世紀ルイ16世時代のブルボン王朝時代への回顧がありました。
そこから伝統的で貴族的なジュエリーへのリバイバルが起こります。
ローレルリースは同時期にやはり一世風靡したガーランド模様と同様、古代ギリシャのリバイバルからジュエリーモチーフとして用いられるようになります。
下記も当店扱いのローレルリースのネックレス。
ガーランドもローレルリースも非常に短い期間しかジュエリーのモチーフにされなかったこともあり、現地でも大変探されていて高価なことが多いです。
まさに最後の貴族時代、ベルエポックを代表するジュエリーです。
同じベルエポック時代にやはりジュエリーモチーフとして一世風靡したベルエポック時代のジュエリーに関して更に詳しい情報は、ベルエポック時代のガーランド様式(花綱)のジュエリーをご参照ください。
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