両面が透かしになった、中が見えるペンダント
あまり見たことのない珍しい構造のペンダントです。
表面が銀の格子状になっていて、裏面はゴールド製でこちらも透かしになっています。
表裏の両面から内側が見える作りになっています。
ペンダントの中に何かを入れておいて、ちらちらとそれを見ることが出来るように作られたようにも見えますが、このペンダント空きそうで空かないのです。
特に見応えがあるのが表面で、格子状の窓に多数のダイヤモンドがセットされています。
花と葉の形の台座にダイヤモンドがセットされた、凝った作りです。
裏面はイエローゴールドで、ゴールドと銀を表裏はりあわせたような作りも面白いです。
裏面のゴールドは葉の形に、ゴールドを削って仕上げているのが分かります。
ハンドメイドならではの技です。
1907年3月18日
銀のパーツと金のパーツが、しっかり留められたような形跡があることから、元々中に何かを入れるために作られたように見えます。
ロケットのようにそれを頻繁に出し入れするのではなく、ずっとそのままにしたままにするために、溶接して裏面に記念日まで彫って仕上げたのでしょう。
ペンダントの底部には「18 Mars 1907(1907年3月18日)」と刻まれています。
何かの記念日を祝うために作られたジュエリーなのでしょう。
ペンダント自体が厚みもあり、立体的な作りです。
そのシルエットや格子状の窓から、どこか鳥かごを思わせるシルエットです。
フランス製。
銀と18カラットゴールド。
注:チェーンは付いていません。
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ヴィネグレットとは、中の布の部分に、ヴィネグレット(気付け薬)を入れるジュエリーです。
ヴィネグレットはフランス語で「Vinaigrette」で、日常的にこの単語は「酢(す)」を意味するのですが、ジュエリー用語においては「気付け薬入れを入れるために作られたアンティークジュエリー」を意味します。
当時はコルセットにより気を失うことが多かった女性が、意中の人の目を引く為に卒倒する仕草をして、側にいた男性がヴィネグレット(気付け薬入れ)を使って快方しました。
こうしたヴィネグレットロケットの中に気付け薬をしみこませたガーゼなどを忍ばせていました。
そして恋が育まれます(本当に具合が悪かったというより、両者とも暗黙の了解で芝居を楽しんでいます)。
19世紀の貴族ならではの遊び心から生まれたジュエリーです。
下記は当店扱いの19世紀のヴィングレットペンダントです。
下記はイギリス製の銀製のヴィネグレットです。
ヴィネグレットは19世紀初期-中期に上流階級社会でのみ流行した物なのです。
そのためアンティークジュエリーにおいてもその知名度のわりに、数はとても少ないジュエリーです。
貴族のためだけに作られたものであるため、アンティークジュエリーにおいても例外なく造りが良く、特に内蓋など透かしが魅力的なものが多いです。
下記はマザーオブパールを用いたヴィネグレット(気付け薬入れ)です。
蓋が2重に開くようになっています。
同じく香水関係で、ヴィネグレットではないボトルタイプのジュエリーも作られました。
下記は中に香水を入れて楽しむためのパフュームボトルペンダントです。
19世紀初頭のフランス製です。
こちらも香水を中に入れるパフュームボトルです。
エナメルが施されています。
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