コレクターズ向け 猫をモチーフにしたヴィンテージジュエリー
可愛いシルエットの猫のジュエリー。
こうした犬や猫などの小動物がジュエリーの表舞台に出るのは、1950年頃。
フランスのグランメゾンが好み、その代表がヴァンクリーフアーぺルです。
このペンダントが作られたのも1950年代のフランスで、非常にフレンチらしいジュエリーです。
1950年代のジュエリーは、シェルシュミディとしては少し新しいめのジュエリーになります。
このようないかにも愛くるしい、明るい動物モチーフのジュエリーは、それより前の時代のジュエリーには見られません。
手にするとずしりと重みがあるのが分かります。
1940年頃から肉厚のイエローゴールドを用いたジュエリーが流行し、1950年代もそれが続きます。
拡大した写真で見ても、驚くほど細かな造形です。
猫のシルエットはほとんどゴールドの彫金と造形だけで表現していますから、見事なものです。
両目はエメラルド、手に抱えているのは真珠
こうしたハイクラスの小動物系のジュエリーは、宝石もふんだんに使われているところが特徴です。
この猫も両目はエメラルド。
透明度のある綺麗なエメラルドを、目の形の台座にぴったりセットをしているところも、高度な宝飾技術を誇った当時ならではです。
1940-1950年頃の一部のメゾンの宝飾技術には、まだ素晴らしいものがあります。
真珠は猫のゴールド色にあわせて少しクリームを帯びた、抜群の艶の真珠が用いられています。
真珠は片側から見ると、穴があいているように見えると思います。
これは片方の腕からゴールドの棒を真珠に突き刺していて、そのゴールドの棒芯が反対側まで延ばし、真珠の内部で留めているからです。
面白い、ハイレベルな作りです。
フランスの14カラットの刻印が押されています。
フランスは古くからジュエリーには18カラットゴールドを用いることが一般的ですが、例外なのはこのようなすごく立体的に出来たジュエリーやマルチフープなどの、シルエットが複雑なジュエリーです。
ゴールドの成形上の理由です。
フランスの刻印制度では、18カラットの刻印の次は14カラットゴードの刻印しかなく、15カラットや16カラットでも14カラットの刻印を押すしかないのですが、実際はもう少し高カラットの色のことが多いです。
1950年頃のフランス製。
注:チェーンはついていません。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーでは時々、そのモチーフとして動物が登場します。
こうした動物をモチーフにしたジュエリーは、センチメンタルジュエリーの一つです。
ヨーロッパでは愛する人、親しい人を「私の可愛い子猫ちゃん」「私のおてんばなお猿くん」等、動物にちなんだ呼び方をすることが昔から多くあります。
動物のジュエリーが19世紀の後期以降作られたのも、ヨーロッパでセンチメンタルジュエリーが流行した時期と重なります。
造形的に愛くるしい動物のシルエットを持つジュエリーは、ノベルティのように、愛する人への(特に男性から女性へ)プレゼント、記念品にされました。
よくモチーフとされたのは、犬、馬、猿、鹿、虎、狼,猫あたりです。
身近な動物たちが、贅沢で愛らしいジュエリーに仕上げられました。
下記は当店で販売済みの「狼」のペンダントトップ。
下記は当店扱いの「猿(モンキー)」のペンダントトップ。
猿(モンキー)」は東洋では「神聖な動物」とされており、ルネサンス時代以降にインドやエジプトからヨーロッパへ連れてこられ、当時の宮廷で珍重されていました。
イギリスやフランスで特に19世紀後期以降、猿をモチーフにした指輪やブローチ、ペンダントなどが度々作られました。
猿のボディをダイヤモンドで埋め尽くしたものなど、贅を尽くした作りのものも多いです。
下記は数年前にクリスティーズに出展された猿のブローチ。
ローズカットダイヤモンドとオールドヨーロピアンカットがパヴェセッティングされ、目にはピンクサファイヤが入っています。
1890年頃のフランス製。
(c) CHRISTIE'S 2017
下記はウサギをモチーフにしたチャームです。
下記は猫をモチーフにしたブローチです。
1950年前後は、肉厚のゴールドを用いた、旧来のアンティークジュエリーで描かれた動物とは一線を画す、とても明るいテイストのジュエリーが特にグランメゾンを中心に製作されました。
その中でもアイコン的な存在なのが、ヴァンクリーフアーペル社による猫やパンテールのジュエリーです。
下記は1950年代に製作されたヴァンクリーフアーペル社の猫のブローチで数年前にササビーズに出展されたジュエリーです。
目にはエメラルド、鼻にルビー、腹部にカボションカットされたオニキス。
この時代のこうした小動物のジュエリーは、鮮やかなイエローゴールドと宝石がしっかり使われているところがポイントです。
(c) Sotherby's
下記はまた鴨(かも)をモチーフにした指輪です。
一見蛇のように見えるのですが、鴨であるあたりがまた面白くフランスらしいです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。