長さ138.5センチのロングゴールドチェーン
久しぶりにロングチェーン(ソートワール)を入荷しました。
以前からアンティークチェーンの仕入れの難しさはお伝えしてきていますが、実はコロナ禍によってゴールドの価格が暴騰したため、2020年以降一層アンティークチェーンの仕入れは困難になっています。
特に長さのあるソートワールは、値段のいかんにかかわらず見かけることがなくなりました。
このチェーンはご高齢のイギリス人ディーラーさんから、彼女の過去の在庫を譲り受けたものです。
しかし今は現地のディーラーさんにとっても新規にゴールドチェーンを入荷するのは、難しいそうです。
特に長さがあり2重はもちろん3重にもできるような、美しいゴールドチェーンは残念ながら近い将来幻のアンティークジュエリーとなりそうです。
金を縒った、ハンドメイドならではの素晴らしい金細工
ハンドメイドならではの非常に凝った細工が見られます。
ゴールドを縒(よ)って、カーブを付けながら捻っていくことで編み込んでいます。
そしてチェーンに細かくスリットが入っているので、立体的で陰影の出た美しいチェーンになっています。
2つのチェーンを交差させるように編みこんでいて、まるで金の編み物のようです。
硬いゴールドという素材でどのようにしてこのような絶妙カーブを至るところに付けることができたのか、その作り方に想像が膨らみます。
地金は9カラットゴールド。
とても華やかなレイトヴィクトリアンのいわゆる「ローズゴールド」と呼ばれる色です。
そのまま被れる長さですが、大き目の留め具も状態が良く三重にしたい時も使いやすいです。
19世紀後期のイギリス製。
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アンティークジュエリーの中でもいつもとても問い合わせを多くアイテムにロングチェーンネックレスがあります。
このような特に150センチを超えてくるようなロングネックレスは、フランス語ではよくソートワール(sautoir)と呼ばれます。
時代や様式によりあらゆるデザインで作られたソートワール。
南仏プロヴァンスでは、ソートワールの「連の多さ」は社会的ステータスを表すと考えられていました。
そしてチェーンに十字架やメダル(メダイヨン)、時には時計を通したのです。
時計を通すときはあらかじめ胸の辺りにそれ用の小さなポケットも作られました。
下記は1900年頃の絵葉書で描かれた「アルルの女性たち」。
当時のソートワールの装いが分かる一枚です。
アンティークソートワールは金銀やプラチナで作られ、豪華なものにはダイヤモンドや真珠、オパールなどが挟まれたものもあります。
下記は当店で販売済みの19世紀後期のソートワールですが、間にオパールが挟まれています。
シェルシュミディでもこれまで金細工が秀逸な王政復古の時代のソートワール、1880-1990年頃のゴールドのフィリグリーのソートワール、1920年代のアールデコロングネックレスなど様々なロングチェーンをご紹介してきましたが、いつも出すたびにすぐに売り切れてしまいます。
現代の装いにも1重でロングで使ったり、2重、3重にしたり使い勝手がよく、しかもエレガントなジュエリーであるからでしょう。
下記は王政復古時代のソートワールで、留め具部分の手をモチーフにした金細工はセンチメンタルジュエリーでもあります。
下記はフィリグリー金細工のゴールドチェーンです。
またソートワールはゴールド製のものが多いですが、銀製でも下記のように秀逸な素晴らしい作りのアンティークソートワールがあります。
このように凝った留めに具メッセージが込められたものも存在します。
珍しい素材では象牙(アイボリー)のソートワールも過去に数点扱いました。
いつも需要が供給に対して逼迫しているアンティークジュエリーでもっとご紹介したいのですが、ソートワールは相続の時に半分にされてしまったりとオリジナルの長さを保っているものが年々少なくなってきています。
例えば2人娘がいた場合に長いネックレスを半分にして、ブレスレットにしてしまうというようにです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。