首にヒダのように拡がる優雅なドラップリーネックレス
「ドラップリー」と呼ばれる、呼ばれる首にヒダのように広がるネックレスです。
1900年-20世紀初頭を代表する特徴的なデザインであることで人気があります。
肌に吸い付くように美しく胸元に広がるので装着感もよい、気持ちのいいネックレスです。
ドラップリーはフリンジの部分に宝石の入ったものもありますが、このネックレスではすべてがゴールドで金細工のみで装飾されています。
5つのひだ同士をつなげるチェーン部分はそのなだらかなラインが魅力的です。
ワイヤーのように金線を巻き上げていフィリグリー金細工の模様と酷似していますが、このネックレスはゴールドを削りだすことによって作られています。
1つずつ完全に手作業で仕上げられています。
彫りだしによって作られたチェーンは概してフィリグリーのモチーフより厚みがあります。
繊細に見えて重さもきちんとあるため、着けた時にきれいに垂れてくれます。
ドラップリーはヒダの部分がめくれやすいため、このように厚みのあるフリンジは使いやすいです。
純金のように見えるローズゴールド
通常のゴールドより純金に近い、明るい色味のゴールドも魅力です。
1900年前後の英仏で、通常の18カラッイエローゴールドよりワントーン明るいゴールドのジュエリーが製作されました。
金の純度としては18カラットゴールドなのですが、その色の秘密はそのゴールドの加工の仕方にあります。
熱した酸と硝石に浸すことで、不純物が燃焼してより純金に近い輝きが出るのです。
手間のかかる製法ですから今では作られることがありません。
アンティークゴールドならではのシックな色合いと言えます。
1900年頃のフランス製。
18カラットゴールド。
長さは39.5センチ。
少し短めに感じられるかもしれませんが垂れさがる部分がありますので、多くの方にとってちょうどよい長さだと思います。
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ジュエリーの基本でありながら案外聞かれる機会が多いのが、アンティークジュエリーで用いられるゴールドのカラットについてです。
国によって金位の発達の歴史が異なるということも、理解が難しい理由の一つです。
アンティークジュエリーで出会うゴールドの金位は主に9ctゴールド(37.5%がゴールド)、12ctゴールド、14ctゴールド、15ctゴールド、18ctゴールドです。
24/24が100%(純金)ですので、18ctゴールドは24分の18つまり75%が金で、その他の25%が他の金属を使用しているという意味になります。
14ctゴールドは、14/24がゴールドで、残りの10/24に銀や銅、パラジウムを使用しています。
9ctゴールド、12ctゴールド、15ctゴールド
主にイギリスのアンティークジュエリーでしか見られない金位が9カラット、12カラット、15カラットゴールドです。
12ctゴールドと15ctゴールドは「1854-1932年の間に用いられた金位」とよく説明されます。
しかし1854年に初めて「9ct、12ct、15ct」の法整備ができたというだけで実際は、1854年以前の例えばイギリスのジョージアンのジュエリーのほとんどは15ctであることは歴然足る事実です。
(刻印制度は19世紀を通じて発展していくのでジョージアンのアンティークジュエリーですと刻印があることの方が珍しいです)
12ctゴールドと15ctゴールドは共に、1932年に14ctゴールドに取って代わられます。
1900年以降、15ctのジュエリーはほとんど作られていません。
14ctゴールドと15ctゴールドの色の違い
14カラットゴールドと15カラットゴールドは、含まれるゴールドの量としては微量の違いしかありませんが、「色あい」としては両者の違いは大きいと言われています。
ちょっとした分量の違いなのに面白いですね。
下記は当店扱いの15ctゴールドのイギリスのアンティークペンダントです。
15カラットは実際、ぱっと見た目には18カラットゴールドと変わらないようなハイカラットゴールドの色をしています。
ジョージアン時代の15ctゴールドのジュエリー
ジョージアンのジュエリーの実に9割が15ctゴールドであると言われています。
またジョージアンの時代はハイカラット(15カラットゴールド以上)のゴールドが好まれました。
この時代には既に少数派ではありますが18ctゴールドのジュエリーも作られていますし、ジョージアンのモーニングリングなどでは22ctゴールドで製作されたものも存在します。
12ctゴールドは公式には1854-1932年にわたって用いられた金位となっていますが、実際にイギリスのジュエリーで12ctゴールドのジュエリーを見ることは極めて稀です。
9カラットゴールドの利点
9カラットゴールドがイギリスのジュエリーで多く見られるようになるのは、1880-1900年頃のレイト・ヴィクトリアンの時代です。
この頃までにジュエリーがある程度の規模で量産されるようになり、9ctゴールドのジュエリーも多く作られるようになります。
一般的にハイクラスのジュエリーはこの時代も15ctゴールドや18ctゴールドで作ることを好んだと言いますが、必ずしも9ctゴールドだから低レベルな作品と言うわけではありません。
9ctゴールドの大きな利点の一つは、18ctゴールドなどのハイカラットゴールドに比べて磨耗が少ないことと重量が少ないことです。
例えば長年身につけたハイカラットの結婚指輪などが局所的にとても薄くなってしまうと言った経験をされた方も多いことでしょう。
ゴールドは純金に近いほど、磨耗しやすくなり、9ctゴールドは磨耗がしにくいと言う点は大きな利点です。
また重量については、例えば大きなブローチやペンダント、長いチェーンなどはハイカラットゴールドになりますとかなりの重量になりますので、身に着けた時の負担を考えて9ctゴールドが用いられるケースもあります。
下記は当店扱いの9ctのブレスレット。
エドワーディアンの時代になっても9ctゴールドは使われ続けますが、特にハイクラスな作品は18ctゴールドが用いられるようになります。
あるいはイギリスの場合プラチナのジュエリーがフランス以上に好まれましたから、白い金属ですと1900年以降はプラチナが好んで用いられるようになります。
純金のように見えるローズゴールド
19世紀後期から1900年頃にかけて、通常の18カラッイエローゴールドよりワントーン明るいゴールドのジュエリーが製作されました。
フランスでは「or rose(ローズゴールド)」と呼ばれることも多い、この純金に近い色合いのゴールドは、隣国のイギリスでもヴィクトリア時代後期に作られました。
金の純度としては18カラットゴールドなのですが、その色の秘密はそのゴールドの加工の仕方にあります。
熱した酸と硝石に浸すことで、不純物が燃焼してより純金に近い輝きが出るのです。
手間のかかる製法ですから今では作られることがありません。
アンティークゴールドならではのシックな色合いと言えます。
フランスのゴールドの歴史
フランスでは僅かな例外を除き、長年を通じてゴールドと言えば18ctゴールドが用いられました。
それ以外では14ctゴールドが僅かに見られますが、これはマルチフープリングなど主に加工上の理由で、14カラットゴールドのフランスのジュエリーは極めて少なく、「フランスのゴールドジュエリー=18ct」ということがほぼ当てはまります。
17世紀のジュエリーも18世紀のジュエリーもゴールドはほとんどの場合、18ctゴールドが用いられています。
下記は王政復古時代(イギリスで言うところのジョージアン後期のゴールドブレスレットですが、やはり18ctゴールドが用いられています。
ただし「イエローゴールド」という意味です。
ホワイトゴールドがフランスのジュエリーで用いられ始めるのは1875年頃からになります。
ホワイトゴールドについては、アンティークジュエリーでホワイトゴールドはいつから存在するか? もご参照ください。
14ctゴールドを用いたアメリカとオランダ、オーストリア
アメリカのジュエリーの大半は14ctゴールドで作られ、アメリカのジュエリーの9割は14カラットゴールドであると言われています。
また14ctゴールドで忘れてならないのはオランダ及びオーストリア。
オランダで製作されたアンティークジュエリーの大半はやはり14ctゴールドで、オランダの14ctゴールドの刻印(オークの葉)が押されています。
下記のリングはオランダ製で、ゴールド部分は14ct、オークの葉の刻印が押されています。
下記のペンダントは色的に18カラットゴールドのように見えますが、オランダの14カラットゴールドの刻印が押されています。
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