ブリオレットカットのアメジスト
ブリオレットカット(Briolette cut)とは、ドロップ(しずく)型の宝石を、周囲をぐるりとファセットで囲んだカッティングです。
ペアシェイプのこの雫形のカットは、ダイヤモンドの形のファセットを複雑に構築する難易度の高いカッティングです。
その歴史は古く1476年頃、ベルギーのロドウィク・バークエムが考案したと言われています。
テーブル、クラウン、パビリオンの区別がない独特のカッティングです。
ファセットの数が多いために、ちょっとした揺れでも光を反射して繊細な美しさを魅せてくれます。
このアメジストの場合、アメジストの紫色が細かに入れられたカッティングによって、グラデーションのように浮かび上がり美しいです。
一方でそのカット数の多さゆえに技術を要するカッティングですし、ブリリアンカットなどに比べますと削って無駄になってしまう部分が多い贅沢なカッティングです。
アンティークとしてヴィクトリアン時代から存在しますが、特にイギリスエドワード王朝時代のジュエリーにおいて好まれたカッティングです。
この時代、ぺリドットやアメジスト、ピンクトルマリンなどの色石でブリオレカットが好まれました。
ダイヤモンドに天然パール、そして何とプラチナチェーンです
長さの異なるドロップラインで垂れる、ネグリジェネックレスになっています。
2つのドロップラインの先端に、ブリオレカットされたアメジスト。
動きの中で更に美しさを増すジュエリーです。
アメジストを留める傘のような形の留め具には、小さなダイヤモンドが数多く埋め込まれています。
1列に3石のダイヤモンドが縦に並び、それが5列連なっています。
ぎゅっと凝縮した手の込んだ留め具で、見応えがあります。
2粒のドロップラインが交錯する箇所には天然真珠が入っていて、こちらも小粒ながら色がオフホワイトの綺麗な色のナチュラルパール。
パールは正面から見るとほぼ真円ですが、横から見ると少し扁平で分かりやすく天然真珠であるところも良いです。
そして魅力の一つは実はチェーン。
チェーン部分もオリジナルで、プラチナなのです。
エドワーディアンのハンドメイドのプラチナチェーンは、チェーンだけでも非常に高価ですのでそうした意味でもとても価値があります。
留め具はツマミのところのみが、イエローゴールドになっています(5番目のお写真ご参照ください)。
これは旧式の留め具でよく見られます。
こうしたところからも古い時代のチェーンであることが分かる所が良いです。
ネックレスの長さは40.5センチ。
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アンティークジュエリーで時々出てくるネグリジェネックレス。
ネグリジェ(Neglige)と言いますとパジャマを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん異なります。
フランス語でネグリジェとは、日中に着るウエストを締めないルーズな普段着のドレスのことを指します。
つまりネグリジェネックレスとは、20世紀初頭の上流階級の女性の、普段着の為のネックレスです。
イギリスやフランスで1910-20年頃に作られた瀟洒なネックレスデザインで、大変コレクターが多いアンティークネックレス。
宝石はダイヤモンドを用いたものが多いですが、下記の例のようにアクアマリンなどの色石を用いたネグリジェネックレスも作られました。
ダイヤモンドと色石を組み合わせものも存在します。
リボンのモチーフが取り入れられたものもあります。
色々な素材やデザインで存在しますがネグリジェネックレスは、センターから2本の長さの違うドロップラインが、自由に動くようになっているのが特徴です。
身体を動かすことで、それがエレガントに揺れるようになっているのです。
ネグリジェネックレスはアンティーク市場でも大変人気がありますが、短命に終わっため、数が出てこない貴重なネックレスです。
特にダイヤモンドのネグリジェネックレスは現代のお洋服との相性も良く女性なら一つは手に入れたいと思われるアイテムでしょうから、気に入ったものを見つけましたら手に入れることをお薦めいたします。
20世紀初頭、女性の洋服は、コルセットで縛られたドレスからウエストラインをゆったりとったストンと流れるラインへと変化します。
そんな現代の洋服の元が作られた時代に作られた、可愛くもモダンなネックレスデザインです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。