とても探されているネグリジェネックレス
1910年頃のフランス製。
「ネグリジェネックレス」と呼ばれる、センターから2本の長さの違うドロップラインが、自由に動くようになっているネックレスデザインです。
1910年前後に作られ、非常に短命に終わったデザインですので、とても探されているモデルです。
しかも宝石はアクアマリン。
来たるアールデコを予兆させるすっきりとしたデザインとアクアマリンの清涼感が魅力です。
現在のアクアマリンより薄い色がホンモノ
アクアマリンは心を打つ、天然無加工ならではの無垢な美しい色です。
パッと見たところ、現在のアクアマリンよりずっと淡い色だと思いませんか?
アンティークのアクアマリンは、人工的に色の調整を行っている現在のアクアマリンとは異なり、このような薄い色が普通です。
逆にアンティークジュエリーで現在売られているアクアマリンのような色を見つけることがあったら、それは天然ブルートパーズであることが多いです。
ちなみに現在では、天然のブルートパーズもまた存在しません(ほとんど全てが人工的に色を変えています)。
アクアマリンは上のスクエアのものが9ミリx1センチ、下の雫型のアクアマリンがそれぞれ7ミリx1.1センチ。
全体はほっそりとしたシルエットなのに、アクアマリンはしっかりと大きな石を使い、洗練されたシルエットになっています。
20世紀初頭のフランスらしい、絶妙なセンスのネックレスです。
地金は銀で、チェーン部分も含めてオリジナル。
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3月の誕生石アクアマリン
「アクアマリン」の名前はラテン語から来ています。
アクアマリンは、アンティークジュエリーにおいても非常に価値の高い宝石の一つです。
その愛らしい透明感、耐久性からアクアマリンは古代から愛されてきました。
またアクアマリンを使用したジュエリーはアンティークジュエリーにおいても非常に数が少なく、それゆえにいつも探されています。
ベリル系宝石、アクアマリン
アクアマリンがエメラルドと同じベリルという鉱物であることはあまり知られていません。
ベリルの中で、クロム着色の緑色はエメラルド(クロム着色以外の緑色はグリーンベリル)、海水青色はアクアマリン、黄色〜緑色はヘリオドール、無色はゴシェナイトと分類されます。
「海水青色」と表現される、わずかに緑味を帯びた淡青色がアクアマリン本来の色で、その魅力です。
緑柱石のうち透明でスカイブルーの色調のものを、アクアマリンと呼んでいます。
アクアマリンの色と、現代の過熱処理
現代のアクアマリンに見慣れてしまっていると、アンティークのアクアマリンは「淡い色」が多いように感じるかもしれません。
アンティークアクアマリンは概して、現代のアクアマリンに比べてその名の通りより本来の水色に近い、淡い透き通った色をしています。
下記は当店で販売済みのフランス製のアクアマリンネックレス。
アクアマリンの水色の色相が淡いのに素晴らしい艶と輝き。
そのカッティングもありまさに「水の雫」のようで、いわゆるアンティークアクアマリンの見本のような色です。
現在のアクアマリンは緑色から黄褐色の緑柱石を熱処理したものがほとんどで
、アンティークジュエリーで使われているアクアマリンと大きくクオリティーが異なるるからです。
現代では本来淡いグリーン帯びたアクアマリンの色を、摂氏425度で加熱すると言うことが日常的に行われています。
しかし実際の天然無加工のアクアマリンは青みがかった淡いグリーンから、ダークブルーまでの美しい青色の色彩を持ちます。
天然無処理のアクアマリンならではの優しい色合いが楽しめるのも、アンティークアクアマリンならではの醍醐味です。
アクアマリンの産地
アンティークアクアマリンの主なアクアマリンの産地は、ブラジルのミナスジェライス鉱山でした。
それ以外ではパキスタンの高山がもう一つの主要な産地でした。
アクアマリンのジュエリーが作られた時代
アンティークジュエリーでアクアマリンの使われたジュエリーは19世紀末から、アールデコ期に向かった作られた作品が多いです。
イギリスですとエドワーディアンの頃、フランスですとベルエポック時代からアールデコ期にかけて好まれて作られました。
下記はかなり珍しい、革命前のロシア(1900年頃)の作品です。
下記はアールデコ期のアクアマリンのピアス(フランス製)。
下記は当店で販売済みのアクアマリンとルビーのアールデコ指輪。
販売して何年も経ているのですが、いまだにお問い合わせをよく頂く、青と赤の対称色の使い方が美しい指輪です。
こちらもやはりルビーとアクアマリンの色の対比を上手に使った、オーストリアの作品です。
清涼感あるアクアマリンは、アールデコのジュエリーには特にぴったりの宝石です。
アクアマリンをメイン石に据えたジュエリーが作られた期間が短いということも、アンティークアクアマリンジュエリーの数が圧倒的に少ない要因の一つでしょう。
アクアマリンとブルートパーズ
余談になりますがアンティークジュエリーで現代のいわゆる「アクアマリン色」を探していて見つけるのがブルートパーズになります。
トパーズというと、黄色の宝石のイメージが強いと思いますが、実際は豊富なカラーバリエーションを持っています。
特にブルーは現在、最も人気のあるトパーズのカラーバラエティになりました。
このブルートパーズという石、かつては天然の淡青色のトパーズが産出されていたにもかかわらず、以前はアクアマリンの代用品のようにしか考えられていませんでした。
しかし近年、放射線照射による濃色のブルーが登場すると(現在では天然のブルートパーズは産出されません)、たちまち人気の石となったそうですから、何とも皮肉です。
それだけにアンティークジュエリーではアクアマリンの代用品にすぎなかったアンティークの無加工のブルートパーズは、現在では高い価値を持っているといえます。
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