アールヌーボー期の曲線美が堪能できるリボンシェイプ
1890-1900年頃のフランス製。
人気の高いリボンモチーフのジュエリーです。
リボンの曲線の美しさが、アールヌーボーらしいです。
曲線が効いた、シェイプの美しいジュエリーです。
ブローチとしてはもちろんのこと、裏側に2つのチェーンの通し輪がついており、ネックレスとしても使える優れもの。
優れたエナメル使いは19世紀末のフランスならでは
このジュエリーの曲線以外のもう一つの見所は、エナメル。
全体は18Kゴールド(リボンのホワイトの部分は18Kホワイトゴールド)ですが、あえてエナメルで色を渋くしています。
リボンの下と真ん中のダイヤの周囲は特に紫っぽいエナメルを入れています。
こうしたエネメル技術は19世紀末、アールヌーボーの頃に最盛期を迎えます。
儚さ(はかなさ)を感じさせる色彩センスも当時流です。
リボンや葉のホワイトゴールドの部分に合計15個のローズカットダイヤがセットされていて、ところどころでダイヤモンドがキラリ。
所々に配された天然真珠もとてもチャーミングです。
リボンや葉などのアールヌーボーのジュエリーがお好きな方にぜひ!
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リボンの前身である「結び(ボウ)」のモチーフのジュエリーはなんと中世の末にまで遡ることができます。
17世紀頃まで、こうした結び目のジュエリーが、シルクなどの布で作れれていました。
フランス18世紀、リボン(蝶結び)は非常に人気のあるモチーフでした。
その後、特にイギリスで宝石やエナメルで作られたリボンモチーフのジュエリーが作られていきます。
現存する有名なアンティークジュエリーに、下記のフランス皇帝ナポレオン3世の妻、ウージェニー皇后(Empress Eugenie)のために作られた141カラットのダイヤモンドをあしらったボウブローチがあります。
この歴史的なジュエリーは1855年、パリの宝石職人Francois Kramer氏によって製作されました。
当初、ベルト用のバックルとしてデザインされたジュエリーを、ウージェニー皇后が宝石職人に命じてストマッカー(胸当て)に作り直させ、その後、1864年にさらにダイヤモンドで作られた房2本とペンダント5つが追加され、皇后のお気に入りの1品となったと言われています。
その後1900年前後のベルエポック時代にエレガントな蝶結びの美しいボウジュエリーが作られました。
下記は19世紀後期のイギリス製のブローチ。
杖(つえ)とリボン(ボウ)がモチーフです。
1920年代にはそうした貴族的なベルエポックのリボンジュエリーがより直線的に様式化したアールデコの特徴が出たリボンジュエリーが作られます。
下記は1920年頃の、アールデコ様式のリボンブローチです。
そして1940年以降、今度はもっとモダンに解釈された少し大柄なリボンジュエリーを見ることができます。
1950年代はクリスチャン・ディオールに代表される、新しい時代の流れを予感させる、女性らしくエレガントなシルエットがファッション界を席捲。
「ライン時代」と表現されるこの時代、リボンモチーフはジュエリーの世界に再び隆盛します。
下記はブシュロン社が1950年代に製作したリボンモチーフのブローチ。
C)sothebys
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