立体的な編みのアンティークチェーン
同じものが2つとしてないアンティークチェーン。
中でもこのチェーンの編み方は1つずつのパーツが立体的で、見たこともない編み方です。
その構造は複雑です。
まず二重の円形パーツを方向を変えて組み合わせ、その上下に葉をモチーフにした平面のパーツを付けています。
一つのパーツを作るのに何回もの製作過程が必要で、気が遠くなる作業です。
そこまで凝った作り方をした利点は、厚さが4ミリにも及ぶ立体的なデザインです。
ただ立体的なだけでなく、二重の円形パーツを方向を違えて編みこんでいることで、どの角度からみても迷宮(ラビリンス)のような飽きることない見応えのあるデザインになっています。
上下に葉模様のパーツを溶接していますが、1箇所だけこのパーツが片方、取れてしまっている箇所がありますのでご容赦ください。
(9番目のお写真の赤く囲った箇所です)
この部分から内部の構造が見えるのは、興味深いです。
もちろん他の部分も簡単に取れるような作りではないです。
チェーンにしては珍しく工房印まで入っています
このチェーンは良い意味で、あまりアンティークらしすぎないです。
アンティークチェーンと言いますと「華奢で細身のチェーン」を思い浮かべる方もいらしゃるでしょうが、超ヘビー級のアンティークチェーンも存在し、その太さや重量も様々です。
55.5センチと一重としてはたっぷりの長さ、そして重量も通常のこれぐらいの長さのチェーンの2倍ほどあります。
かつ前述したように立体的な構造のため、見映えのするゴージャスなチェーンです。
長さもありますので、トップスの上から、ざっくり着けていただくのにも向きます。
フランスの18金の刻印の他、工房印も入っています。
アンティークチェーンにおいて工房印が入っていることはとても珍しく、どこかのメゾンのチェーンである可能性がありますが読み取れません。
ハイクオリティーでざっくりと着けていただける、使い勝手のよいチェーンです。
1900-20世紀初頭のフランス製。
18金ゴールド。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークチェーンと現在のチェーンはまったく別物と言ってよいほど価値が異なります。
アンティークチェーンは基本的にはハンドメイドです。
20世紀に入りますと部分的にマシンメイドされたものなども出てきますが、それでもハンドメイドでの作業が入っています。
オールハンドメイドのチェーンは簡単に言えば、一つ一つのゴールド(あるいは銀やプラチナ)の輪を叩きながら形成し、溶接作業でつなぎ合わせてチェーンを作っています。
下記は当店で販売済み、19世紀前半-半ばまでのゴールドチェーン。
細かなパーツの一つずつがハンドメイドで作られているのが、写真からも伝わってくると思います。
よく見ると微妙にパーツが同一ではないのです。
それに対して現在のチェーンはすべての作業が機械化されています。
機械の先から編みこまれたチェーンが出てきます。
これによって丈夫さも美しさも着け心地も変わってくるのです。
機械による作業では均一的にしか金属が流れませんので、金属独特のしなり等に対応しきれません。
金属は叩くことで強度を出ますから(分子に強度が出るため)、機械化されたチェーンでは力のかかるところでチェーンが切れやすいのは当然と言えます。
一方のハンドメイドのチェーンは接合部分が作りこまれていると丈夫なのはもちろん、自然にチェーンが流れて装着した時も綺麗なラインを描いてくれます。
すべての網目が一様になった現代のチェーンは光があったときも均一的に輝き、特にイエローゴールドのものはギラギラしてしまって上品とは言えませんが、1つ1つのパーツが手作業で仕上げられたアンティークチェーンは、それぞれが完全に均一ではなく、光が当たった時も一様にはギラギラと光らずもっと鈍い輝きになります。
それが品の良い落ち着きをもたらしています。
下記も当店扱いのこちらは19世紀半ば頃のアンティークチェーン。
光の当たり方が一様でないのが分かると思います。
当店にご連絡を下さるお客様でアンティークチェーンをお探しの方は非常に多いです。
特に多いのが下記のようなフィリグリー細工のチェーン。
また下記のようなプラチナのアンティークチェーンは製作された期間が非常に短く(1910-1920年代)、その分お探しの方も多いですし非常に見つけずらいアイテムです。
また先日、「アンティークチェーンの価格」についてお電話でご質問を受けました。
近年、円安傾向にありますね。
「円安を受けてアンティークチェーンの価格も2-3割上がってしまうのでは?」と言ったご質問でした。
価格に関してはもちろん高騰していますが、チェーンはまず価格というより非常に見つけずらくなってきています。
まず出てこないのです。
そして希少になってきているために、為替の問題だけでなくユーロ建てでも非常に値段があがってきてしまっています。
アンティークジュエリー全体にこうした傾向はありますが、アンティークチェーンは特にその傾向が強いです。
もちろん良いものをなるべくリーズナブルに仕入れられるよう頑張りますし幸運に恵まれることもありますが、一般的な状況は上記の通りです。
また「ちょうど良いチェーンの長さの計り方」についてもご質問を頂きました。
HPに○センチと記載がされていても、装着時のイメージが湧きにくく困ってらっしゃる方も多いと思います。
そんな時にお薦めなのが、糸を使った計測方法です。
糸をそのチェーンの長さに切っていただいて、首にぐるりとかけて頂きます。
お手持ちのチェーンをあわせられたいということでしたら、ペンダントも是非その糸にかけてみてください。
ご紹介をするのも申し訳ないほど原始的な方法なのですが、やってみるとやはり視覚的にイメージがつかめます。
ペンダントトップは垂れる部分がありますので、少し短めのほうが綺麗だったりと色々と発見があると思います。
もちろんブレスなどにも応用ができますが、チェーンは特に細いものなので、糸とのイメージの違いが起こりにくく特に有効です。
侮れない方法ですので、ぜひ一度お試しください。
繊細なイメージの強いアンティークチェーンかもしれませんが、実はお手入れも可能です。
特に宝石のついていない、18金のゴールドチェーン(YGでもWG)、また高カラットのプラチナチェーンについては、下記のような洗い方が出来ます。
「食器用の中性洗剤で洗う」です。
チェーンをぬるま湯につけてから、いわゆる家庭用な中性洗剤で、指のはらで丁寧に該当箇所を軽くこすります。
それからまたぬるま湯で丁寧に洗い流してください。
それからティッシュや布などでざっくり拭いて、ドライヤーなどでよく乾かしてください。
繊細な作りなのにそんなことをして大丈夫?と思われるかもしれませんが、18金ですので大丈夫です。
ポイントは丁寧にゆっくり洗うことと、よく乾かすことです。
また上記は非常に負担の少ない洗い方で、市販のジュエリークリーナーよりも負担は少ないです。
工房の方いわく、日常の中でつく汚れは主に皮脂の汚れ(油汚れ)であることが多いので、上記の方法は有効だそうです。
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