精霊のシンボル、サンテスプリ(セントエスプリ)がモチーフになっています
とても珍しいアンティークジュエリーです。
上のお花の部分と下の揺れるモチーフ(緑石の入った箇所)が18世紀の製作。
鳩の胴体部分が(トルコ石と天然真珠から成る部分)が19世紀の製作です。
共にフランス製です。
18世紀に作られた箇所はおそらく元々胸飾りの一部分だったのでしょう、それを後年になってその家族がペンダントに作り上げたのです。
モチーフも非常に興味深い「サンテスプリ」、精霊を表す鳩をモチーフにしたデザインです。
鳩は旧約聖書のノアの箱舟にも登場することから精霊のシンボルとされ、16世紀にはサンテスプリ騎士団が着用。
それが広まり、特にフランス北部のノルマンディーの女性はサンテスプリのペンダントをクロス代わりに愛用したといわれています。
19世紀に作られた箇所がお花と木のモチーフになっていて、全体で見ると「鳩」になっています。
胴体の部分と下部の緑石のモチーフ、2箇所で揺れるのも生き生きとしています。
宝石
とガラスペーストのミックス
石の使い方もとても個性的です。
中心部分には天然真珠とトルコ石が使われていますが、特にこの天然真珠の美ししこと。
200年以上経ても艶を保っている素晴らしい天然真珠です。
上部のお花のの色石は、緑石がエメラルドで、紫色がガラスペーストになります。
トルコ石の水色もあわさり、非常に多くの「色」が使われていますが、それが驚くほど絶妙に調和しています。
下部の大きな緑石はエメラルドの可能性があるとのことですが、鑑別士さんも裏が全部ふさがっていたり石が磨耗しているため判別不可とのことでした。
この部分の緑石はガラス石であるという前提でのお値段にさせていただきます。
地金も面白く、全体は銀なのですが、中心部分(19世紀に製作された部分)の裏面は18金になっています。
実に発想が豊かで、理屈を超えた美しさ。
こうした優れたセンスを何より優先して、結果として美しいジュエリーを生み出してしまうところが、フランスアンティークジュエリーの面白いところです。
非常に珍しいく、そしてフランス的なジュエリーです。
注:チェーンはついていません。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーのモチーフになる鳥は、主に鳩(ハト)と燕(ツバメ)です。
特に鳩は旧約聖書のノアの箱舟にも登場することから精霊のシンボルとされヴィーナスゆかりの鳥とされてきました。
16世紀にはサンテスプリ騎士団が着用。
それが広まり、特にフランス北部のノルマンディーの女性はサンテスプリのペンダントをクロス代わりに愛用したといわれています。
鳩をモチーフにしたアンティークジュエリーでは、ノルマンディーのサンエスプリ(Saint Esprit 精霊)が有名です。
サンエスプリは、ノルマンディーはとても美しいジュエリーで、サンエスプリ(聖霊)を象徴する鳩から構成されています。
サンエスプリ(英語読みを活かしてセントエスプリと紹介されることもある)のジュエリーでは一般的に、頭が下部にそして翼は広げられた状態になっていることが多いです。
これは芸術史のなかで、鳩が空から地上へ降りる時、「神の言葉」を伝えるものとして表現されてきたからです。
絵画の中でしばしば、鳩はその口ばしに花のついた枝や葡萄の房をくわえて描かれています。
サンエスプリ(セントエスプリ)の歴史は古く、「1691年にルイ14世が所有していたパリュールの中にもセントエスプリの十字架が入っていた」という記録が残っています。
下記は当店扱いの「サンテスプリ(精霊)ペンダント」。
上記のペンダントは18-19世紀の二つの時代に分かれて作られたことから、おそらくもともと胸飾りでその時はおそらく逆向きにつけられていたのではないかと推定できます。
ピューリタンは、ノルマンディーのサンエスプリのジュエリーは、葡萄の房をくわえていることが多く、それは豊穣を象徴しているというでしょう。
サンエスプリで、石は必ずクローズドセッティングで固定されています。
サンエスプリで用いられた宝石はダイヤモンド、あるいは無色か色のついた鉛ガラスです。
下記は当店扱いの「鳩(ハト)のブローチ」。
一方のツバメは数世紀に渡り、、健康と富、忠誠心を表すと信じられてきました。
巣作りをして一羽のパートナーと生涯を共にすることから、長く幸せな家庭のシンボルとされてきました。
19世紀のイギリスで「しあわせを運んでくる鳥」としてジュエリーのモチーフとして流行します。
下記は当店扱いのツバメをモチーフにしたペンダントです。
数羽連なって群れで飛ぶ姿が美しいです。
鳥がモチーフになったジュエリーで一人、フランスの有名なジュエラーをご紹介しておきます。
フランスの稀代のジュエリーデザイナー(特に活躍するのは1940-50年代です)に、ジーン・シュランバーゼー(Jean Schlumberger)がいます。
フランス語読みですと「シュルンベルジェ」ですが日本ではシュランバーゼーで紹介されることが多いようです。
シュランバーゼーは1907年、フランスのアルザスに生まれます。
早くも10代の頃には才能を認められ、その独特の感性と個性的な趣向を凝らしたデザインが当時の上流階級で人気を博し、後にティファニーの専属デザイナーになります。
1956年には海や鳥などの自然界をモチーフにしたジュエリーで一躍有名になります。
特にバード・オブ・パラダイス(楽園の鳥)は、シュランバーゼーを代表する作品です。
下記はシュランバーゼーが1956年ティファニー社のために製作した「A bird of paradise」。
大粒の石は、グリーントルマリン。
「宇宙の不規則なものをキャプチャーしたい」という言葉を残しており、そんなシュランバーゼーは、「宝石の詩人」とも呼ばれました。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。