現在の養殖とはレベルの違う、初期の頃の養殖真珠
1900年頃のフランス製パールネックレス。
当時の良質な養殖真珠をたっぷりと使ったネックレスです。
昔の養殖真珠は核こそ人工的に入れますが、その後長い年月をかけて真珠層を養殖しました。
そのため、現在の半年から2年で作る(今はもっと早くなっているようです)養殖真珠と比べ物にならないほど真珠層が厚いですす。
今は世界的な真珠ブームということもあり、現代の非常に真珠層の薄い養殖真珠さえ非常に高価に取引されていますが、同じ養殖真珠でもこの頃の方がずっと真珠層が厚く美しいです。
初期の頃の養殖真珠も「珠の大きさ」は重要です。
この真珠は全体として均一的で直径6ミリ強の、しっかりとした大きさのある真珠が用いられています。
古い時代のゴールド留め具
アンティークならではの小さめの凝ったゴールドの留め具が魅力的です。
留め具を開いたところに、工房印まで打たれているのには感動しました。
開閉の仕方は、動画をご参照ください。
アンティーク留め具で時々見る、素晴らしい仕組みです。
真珠は全てオールノットで仕上げられています。
ボリュームがしっかりある真珠のネックレスですので、ノットが入っているのは安心です。
ネックレスの長さは44センチ。
留め具部分は18カラットゴールド。
動画も撮影しています。
アンティーク養殖真珠ネックレス(44センチ)
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アンティークジュエリーに詳しい方でしたら「昔は養殖の技術がなかったのだから、アンティークジュエリーで使われている真珠は全て天然真珠ですよ」といったことを聞かれたことがあるでしょう。
これはアンティークジュエリーの業界のセール文句になっているようですが必ずしも正しくはありません。
アンティークジュエリーに使われている真珠の多くが天然真珠です。
しかし全てが天然真珠ではありません。
上記の「アンティーク真珠=全て天然」説はヨーロッパで養殖真珠が本格的に市場に出始めるのは、一般的に1920年代頃からと言われていますからそれに基づいた論拠ということになります。
しかし養殖真珠はそれ以前にヨーロッパに存在し、一説には1880年頃から存在していたと言われています。
実際に1900年頃のヨーロッパのアンティークジュエリーから一部に使われています。
例えば下記をご覧ください。
こちらはフランスの有名なジュエリー専門のオークション会社のカタログからの抜粋です。
クリスティーズをはじめ世界の著名なオークション会社の競売では、真珠に関して天然か養殖か明記します。
この「真珠とダイヤモンドの指輪」は「1900年頃に製作されたと」推定されていますが、ジュエリーの説明文のところに「Perles de culture(養殖真珠)」と言う記載があります。
同じカタログから別の事例をご紹介いたしましょう。
こちらは花綱模様の美しい典型的なベルエポック時代のダイヤモンドと真珠のペンダントです。
こちらは1910年頃の推定と先ほどの作品より僅かに後年になりますが、こちらは「une perle en pampille(天然真珠の房飾り)」と記載があります。
天然真珠になります。
天然真珠の評価がもっとも高かったのは、20世紀の初頭です。
1900-1920年頃は非常に美しい天然真珠のジュエリーが作られた時代であるのと同時に、初期の頃の養殖真珠がジュエリーに使われはじめた時代でもあります。
この時代に天然真珠として最大に近い大きさの最高級の天然真珠を使ったロングネックレスは、現在の貨幣価値に換算して約10億円で取引されたと言う記録が残っています。
養殖真珠が多く市場に出回るようになったのは、1920年頃からです。
1940年代にはもう養殖真珠が凌駕していき戦後は言うに及びませんので、美しい天然真珠が用いられたアンティークジュエリーを探すのであればやはり1930年代頃までというべきでしょう。
「養殖真珠」といっても本当の初期の頃(20世紀初頭)の養殖真珠は真珠層が厚くとても出来がいいです。
例えば下記は、1920年前後に英国で製作された養殖真珠のネックレス。
真珠の粒は0.8センチ程です。
現代の養殖真珠とは雲泥のレベルの差があり、それはそれで近年では高額に取引をされています。
天然真珠への評価が高まる昨今では、初期の頃の養殖真珠はヨーロッパのオークション等で非常に高価な値段がついてきています。
養殖真珠へのイメージが大きく変わるのではないでしょうか?
アンティーク真珠に関して更に詳しい情報は、アンティーク真珠についてをご参考ください。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。