希少なスティール製ロングチェーン
珍しいコレクターアイテム。
独特の黒い地金は鉄(スティール)です。
スティールのジュエリーは、アンティークジュエリーでも非常に古い時代に作られたものが多ということもあり、アンティークジュエリーの通の方でお好きの方が多いアイテムです。
このチェーンは19世紀前半頃の作品と思われます。
編み自体はシンプルで飽きの来ないジャズロン編みですが、冷静に考えてみてください。
鉄という硬く扱いづらい金属で、ゴールドと同じようにこのような柔らかい編みを作り上げるのは、至難の業です。
表裏とも綺麗に磨き上げられいて、ピカピカではないですが独特の光沢があり、それがまた味わいです。
チェーンの長さは133センチにも及ぶソートワール。
17粒の美しい天然真珠
アンティークゴールドチェーンでは、このようにチェーン部分に宝石(特に真珠)が入ったケースは少ないのですが、何とこのスティールのチェーンにも天然真珠が入っています。
真珠は基本的に古い時代に遡るほど美しいです。
その例外に漏れず、真白な艶の良いとても美しい真珠が用いられています。
このようなチェーンで通される宝石は、チェーンの太さにぴったり合うような穴を開けて、真珠にチェーンを通すことで作り上げられます。
高い技術が求められますがアンティークジュエリーで度々見られるセッティングです。
よく見ると真珠はそれぞれ形や大きさが微妙に異なり、かなり歪な形の真珠も天然ならではの味わいです。
いずれの粒もとても艶があり状態も良く、色がきれいなことに驚かされます。
留め具もオリジナルのスティール製で、それも嬉しい点です。
19世紀前半のフランス製。
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ジュエリーというと、1920年以降は欧米を中心にプラチナのジュエリーが作られ始める前は、ゴールドかシルバーを地金として用いられることがほとんどでした。
しかし例外があり、代表的なものに「鉄」が挙げられます。
鉄のジュエリーは、17世紀初期にイギリスで始まり、フランスではフランス革命前の18世紀にその全盛を迎え、その流行は19世紀前半まで続きます。
当時、鉄とカットスティールでさまざまな宝飾品が作られました。
「カットスティール」とは、磨いた鉄を鋲状にして、それをぎっしりとプレートの上に敷き詰めたで作られた技法のことです。
表面が鈍い光できらめくのが味わいです。
また当時の鉄を使ったアンティークジュエリーには、カットスティールよりずっと小さな鉄にビーズのような穴を開けて、一つの布のようにしたものもあります。
当時のフランスは、鉄のジュエリーの地位は非常に高く、多くの王侯貴族に愛されていました。
後年のダイヤモンドの代用品としての「マルカジット」と異なり、鉄のジュエリーは貴石や貴金属が使えない「庶民の代用品としてのジュエリー」ではないのです。
例えばナポレオンの妻のユージェニー后妃なども鉄のジュエリーを愛した一人です。
彼女の死を惜しんで作られた記念のジュエリーには、目を見張る煌びやかな貴石の宝石と共に、カットスティールのセットジュエリーが2つも入っています。
また当時の鉄のジュエリーの人気を物語るもう一つのエピソードに、鉄のジュエリーのイミテーションとして銀で鉄のジュエリーが度々作られたという話もあります。
ヴィクトリアアルバート美術館が所蔵する1809年製造のコレクションにも、18世紀の鉄のジュエリーを模した銀製の櫛が残っています。
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