色の素晴らしい天然真珠ネックレス 長さあり
素晴らしい色の真珠のネックレス。
このようなオフホワイトは、アンティークの天然真珠の中でも滅多に見ない、「ベスト」の良い色です。
照りも素晴らしく、曇り空の屋内で見たとしても、石から湧き出る光沢があります。
エピソード欄にも記したように、真珠の美しさを決める一つに「巻き」があります。
厚巻きのものほど価値があるとされていて、良い真珠には自分の顔が映るかどうかを見てみるのも良い方法と言われています。
本来小粒であるとこの方法は難しいのですが、このネックレスの真珠には驚くほど、すべての真珠に顔が映りこみます。
これだけ粒が小さくても照りのよい真珠が並んだネックレスは、私も見たことがないです。
粒の大きさはグラデーションになっていて最大箇所で直径4ミリ程、最小箇所で直径2ミリ程です。
小粒と思われるかもしれませんが、天然の真珠は核を入れないために、そもそもが小粒。
特にネックレスのように真円に近い珠を数多く必要とするジュエリーでは、直径5ミリ以上の珠を多く入れたネックレスは少ないです。
動きも滑らか。
グラデーションで中心に向かってストンと落ちます。
天然真珠は完全な真円ではないだけに珠の中心に糸穴を開けることが難しく、このようなスムーズな動きは、良質なネックレスであることのサインです。
長さも一連の天然真珠のネックレスとしては52センチと比較的長いところも良いです。
モーブッサンのアンティークのケースに入っています
何とモーブッサンのアンティークケース付きです。
ケースの年代や大きさとも一致しますし、モーブッサンのネックレスである可能性もありますが(もともとはそのような書面があったそうです)サインが入っていないので断定はできません。
もっともジュエリー本体にサインが入っていたらこの値段では手に入れることができないので幸運ともいえます。
モーブッサンは今日の日本ではヨーロッパにおけるほどの知名度がないかもしれませんが、パリのグランサンクに属する名門ブランドです。
アールヌーボー以降の1920年頃まで全盛を極め、パリ万国博覧会(1925年)での ゴールドメダル受賞。
アールデコ期に最高傑作を生み出したメゾンです。
アンティークならではの小さくめで、手の凝った留め具部分も素晴らしいです。
留め具はツマミのところのみが、イエローゴールドになっています。
これは旧式の留め具でよく見られます。 古い時代の留め具であることを示す証でもあります。
1900年頃のフランス製。
留め具部分は18カラットゴールド。
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アンティークジュエリーに詳しい方でしたら「昔は養殖の技術がなかったのだから、アンティークジュエリーで使われている真珠は全て天然真珠ですよ」といったことを聞かれたことがあるでしょう。
これはアンティークジュエリーの業界のセール文句になっているようですが必ずしも正しくはありません。
アンティークジュエリーに使われている真珠の多くが天然真珠です。
しかし全てが天然真珠ではありません。
上記の「アンティーク真珠=全て天然」説はヨーロッパで養殖真珠が本格的に市場に出始めるのは、一般的に1920年代頃からと言われていますからそれに基づいた論拠ということになります。
しかし養殖真珠はそれ以前にヨーロッパに存在し、一説には1880年頃から存在していたと言われています。
実際に1900年頃のヨーロッパのアンティークジュエリーから一部に使われています。
例えば下記をご覧ください。
こちらはフランスの有名なジュエリー専門のオークション会社のカタログからの抜粋です。
クリスティーズをはじめ世界の著名なオークション会社の競売では、真珠に関して天然か養殖か明記します。
この「真珠とダイヤモンドの指輪」は「1900年頃に製作されたと」推定されていますが、ジュエリーの説明文のところに「Perles de culture(養殖真珠)」と言う記載があります。
同じカタログから別の事例をご紹介いたしましょう。
こちらは花綱模様の美しい典型的なベルエポック時代のダイヤモンドと真珠のペンダントです。
こちらは1910年頃の推定と先ほどの作品より僅かに後年になりますが、こちらは「une perle en pampille(天然真珠の房飾り)」と記載があります。
天然真珠になります。
天然真珠の評価がもっとも高かったのは、20世紀の初頭です。
1900-1920年頃は非常に美しい天然真珠のジュエリーが作られた時代であるのと同時に、初期の頃の養殖真珠がジュエリーに使われはじめた時代でもあります。
この時代に天然真珠として最大に近い大きさの最高級の天然真珠を使ったロングネックレスは、現在の貨幣価値に換算して約10億円で取引されたと言う記録が残っています。
養殖真珠が多く市場に出回るようになったのは、1920年頃からです。
1940年代にはもう養殖真珠が凌駕していき戦後は言うに及びませんので、美しい天然真珠が用いられたアンティークジュエリーを探すのであればやはり1930年代頃までというべきでしょう。
「養殖真珠」といっても本当の初期の頃(20世紀初頭)の養殖真珠は真珠層が厚くとても出来がいいです。
例えば下記は、1920年前後に英国で製作された養殖真珠のネックレス。
真珠の粒は0.8センチ程です。
現代の養殖真珠とは雲泥のレベルの差があり、それはそれで近年では高額に取引をされています。
天然真珠への評価が高まる昨今では、初期の頃の養殖真珠はヨーロッパのオークション等で非常に高価な値段がついてきています。
養殖真珠へのイメージが大きく変わるのではないでしょうか?
アンティーク真珠に関して更に詳しい情報は、アンティーク真珠についてをご参考ください。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。