リボンのようなお花のような、シルエットの美しい十字架
1870-80年頃のフランス製。
第二帝政期の後、時代はアールヌーボーに差しかかる直前のフランスで作られた、とても珍しい十字架クロスです。
何と言ってもその優美な十字架のラインが美しいです。
来たるアールヌーボーを予兆させる優美な曲線はまるでリボンのようです。
中心部分はお花の形になっていて、デコラティブに様式化されています。
アメジストとマルカジットの異色の組み合わせ
宝石はアメジストとマルカジットが使われています。
とても状態の良い、艶やかで美しいアメジスト。
中心の大粒のアメジストの色が、他の小粒のアメジストよりやや淡い色になっていてとても美しいです。
十字架のラインを隙間なくぎっしりと埋め尽くすのはマルカジット。
重厚感のあるマルカジットと高貴な紫色のアメジストが風格あります。
地金は銀で、厚みのある銀を糸鋸で削った、手間のかけられたジュエリーです。
銀は横から見ると思いのほか厚みがあり、特に裏から見るとそのハンドメイドの卓越したラインが分かります。
素材の組み合わせといい、美しい様式化されたシルエットといい、珍しいジュエリーです。
この時代のフランスらしい技術の良さと、意匠が素晴らしいです。
注:チェーンは付いていません。
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古くからジュエリーのモチーフとなってきた十字架(クロス)。
フランス現地にいくと、十字架やロザリオなどを専門に扱う業者さんがいるほどです。
アンティーククロスはキリスト教の歴史と同じくらい長く、実に多彩なアンティーククロスが存在します。
現存するもとも古いアンティーククロスは、17世紀のものだといわれています。
17世紀のものは、表裏両面にエナメルで細工を施してあるものが有名で、クロスは主に男性の聖職者が身に付けるものでした。
18世紀に入ると、クロスは女性のキリスト教新興の象徴になり、リボンやクロスに下げるための、よりファッショナブルなクロスがでてきます。
十字架は現在では、定番のジュエリーモチーフの一つですが、お客様によっては「昔の十字架は聖職者のものだったとイメージがあり、恐れ多くて使いにくい」とおっしゃる方がいます。
それは、そのアンティーク十字架によります。
もちろん昔、聖職者用に作られた十字架もあります。
しかし1900年以降に作られたこのようなプラチナ十字架などは、聖職者用ではなく当時の良家の女性用に作られたものです。
もちろんフランスは元々カトリックの国なので、信者ではあったと思いますが、当時でもファッション性をきちんと考えて作られた洗練された十字架ペンダントです。
あくまで他のジュエリーと同じく装身具として、そしてお守りのような気持ちで身に着けられていたことでしょう。
特に信者でない方がおしゃれのアイテムとしても問題のないものです。
十字架によく使われる素材としてはダイヤモンド。
そしてダイヤモンドと同じぐらい見られるのが無色透明のロッククリスタルです。
その他、パールやガーネットも特に19世紀に使われています
また特に宝石を使わない十字架(クロス)も多く、その場合エナメルが施されていることもあります。
十字架(クロス)は西欧の多くの国で古くからジュエリーにされてきた数少ないモチーフですので、生産地によっていろいろなスタイルが見れるのも面白いです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。