18世紀の鉄のジュエリー、ミュージアムピース
18世紀のフランス製。
鉄のビーズでできた、ネックレス。
細かな小さな鉄にビーズのような穴を開けてつなぎ、それらをねじって編みこみんでいます。
鉄のジュエリーはカットスティールを溶接したものと、このようなビーズ状のものに分かれますが、ビーズ状のものはとりわけ現存する数が極めて少ないです。
しかもこの素晴らしい状態で残っているのは奇跡的!
ジュエリーカタログに出てきそうな、ミュージアムピースです。
独特のしなりが魅せる輝き、質感
ビーズを糸に通したものを良い按配に捻って、しなりのあるシルエットを作っています。
この絶妙なシルエットは、長い年月を経ることでさらに美しくしなり、肌の上で独特な美しいラインを魅せてくれます。
手にしたときのヒヤッとした鉄の感触と、角が取れたビーズのしんなりとした触感が何とも言えず心地良いです。
鉄ビーズが2重になっていることでさらに美しい輪郭が出ています。
留め具の部分は銀製で、回して開閉できる仕組み。
18世紀らしい小ぶりで美しい留め具も良いアクセントになっています。
ネックレスの長さは39.5センチ。
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ジュエリーというと、1920年以降は欧米を中心にプラチナのジュエリーが作られ始める前は、ゴールドかシルバーを地金として用いられることがほとんどでした。
しかし例外があり、代表的なものに「鉄」が挙げられます。
鉄のジュエリーは、17世紀初期にイギリスで始まり、フランスではフランス革命前の18世紀にその全盛を迎え、その流行は19世紀前半まで続きます。
当時、鉄とカットスティールでさまざまな宝飾品が作られました。
「カットスティール」とは、磨いた鉄を鋲状にして、それをぎっしりとプレートの上に敷き詰めたで作られた技法のことです。
表面が鈍い光できらめくのが味わいです。
また当時の鉄を使ったアンティークジュエリーには、カットスティールよりずっと小さな鉄にビーズのような穴を開けて、一つの布のようにしたものもあります。
当時のフランスは、鉄のジュエリーの地位は非常に高く、多くの王侯貴族に愛されていました。
後年のダイヤモンドの代用品としての「マルカジット」と異なり、鉄のジュエリーは貴石や貴金属が使えない「庶民の代用品としてのジュエリー」ではないのです。
例えばナポレオンの妻のユージェニー后妃なども鉄のジュエリーを愛した一人です。
彼女の死を惜しんで作られた記念のジュエリーには、目を見張る煌びやかな貴石の宝石と共に、カットスティールのセットジュエリーが2つも入っています。
また当時の鉄のジュエリーの人気を物語るもう一つのエピソードに、鉄のジュエリーのイミテーションとして銀で鉄のジュエリーが度々作られたという話もあります。
ヴィクトリアアルバート美術館が所蔵する1809年製造のコレクションにも、18世紀の鉄のジュエリーを模した銀製の櫛が残っています。
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アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。