第二帝政期のエナメルジュエリーの傑作
1850年頃のフランス製。
第二帝政期のに作られた、ラインストーンに黒エナメルを施したネックレス。
第二帝政期には、確かにこうした「黒」をアクセントにした小物や宝飾品が作られた時代です。
このネックレスは一瞬初期アールデコを思わせるようなセンスの良さがあり、当時作られたジュエリーの中でも、俄然垢抜けています。
ラインストーンに手で入れられたブラックエナメルが少しも剥げることなく残っています。
エナメルジュエリーでこれほど完成度が高く状態が良いものを見つけるのは、ダイヤモンドなどでできたアンティークジュエリーの何十倍も大変です。
丁寧なセッティングが支える瀟洒なデザイン
裏側を見るとラインストーンが、貴石のように一つずつとても丁寧にヴェルメイユ(銀の上に金を上塗りしています)でできた台座にセットされているのが分かります。
ラインストーンは上から下に向けて段々に大きくなり、その間と間は手作りのチェーンで一つずつ留められています。
こうした一つずつのパーツを時間をかけて手作りしていくことで、大胆に動くネックレスが美しく見えるのす。
チェーン部分は銀で、昔ながらの気持ちの良い丁寧な編み。
このブラックエナメルネックレスには、貴重な宝石をいかに多く使った宝石よりも、アンティークジュエリーの魅力がぎっしり詰まっていると思います。
滅多に見つけられるものではないので、こうしたジュエリーの価値が分かる方にお薦めしたいです。
チェーンの長さは42センチ。
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ガラスは最も古い「宝石」のひとつです。
古くは紀元前3000年前のメソポタミアとコーカサスの遺跡から発見されています。
いわゆる貴石の代役としての役割も、少なくとも紀元前1500年前のエジプト文明の頃には既に確立されていました。
中世、カラーガラスは主に宗教的な目的に用いられました。
例えば聖骨箱や聖書に飾られました。
非宗教的な用途としては、例外的に子供のジュエリー、そして葬儀用のジュエリーにも使われました。
ペーストのジュエリーは17世紀に発展します。
ペーストガラスのジュエリーは、当初はダイヤモンドの代良品として生まれます。
17世紀、イギリスもフランスも宮廷ではダイヤモンドのパリュール(セットジュエリーのこと)が流行しますが、セットするだけのダイヤモンドを持ち合わせない者には大量に生産されていたペーストガラスがその代用となったのです。
下記は当店で販売済みのペーストガラスのピアス。
19世紀半ばの作品です。
ペーストガラスは、鉛ガラスに鉛の酸化物を加えて作られました。
ペーストガラスは上手にカットされると、この頃に浸透しはじめるろうそくの明かりの下でまるで本物のダイヤモンドのような輝きを放ったのです。
このアンティークの鉛ガラスはその国や地域によって色々な言い方がされました。
英語ではペースト(ガラス)と呼ぶことが多いですが、フランスでも色々な言い方をされて「ピエールドリン(pierres du rhin)」と呼ばれたりします。
またフランスでは特に鉛ガラスはノルマンディー地方で独特の発達を見せます。
この地域で作られた「「鉛分の多いガラス水晶」は地域の名前を取って「アランソンのダイヤモンド」と呼ばれることがあります。
下記は1827年のルーアン(ノルマンディーの中心都市)で作られたペンダントです。
下記は19世紀のノルマンディーの十字架です。
両方とも白い鉛ガラス「アランソンのダイヤモンド」が銀の台座に包み込まれるようにセットされています。
こうした良質な無色の鉛ガラスを美しく箔打ちしセットしたジュエリーは、時の貴族の間で一世風靡します。
18世紀以降、この鉛石をより小さなダイヤモンドのようなカットする技術が生み出されます。
フランスの宝飾職人のストラス(strass)は、鉛ガラスを改良し、ダイヤモンドに色をつける金属箔の彩色を考案します。
こうして生まれたペーストの改良品を職人の名前を取って「ストラス(strass)」と呼ばれるようになります。
以降、ノルマンディーのパリュール(セットジュエリーのこと)は尚一層のこと、パリの貴婦人たちの間で流行します。
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