アンティークチェーンの中でも特に見つけずらしホワイトゴールドのチェーン
当店のお客様でもアンティークチェーンをお探しの方は多く、その中でも白い地金のチェーン(特にホワイトゴールドかプラチナ)はご所望される方が更に多いです。
しかしホワイトゴールドのハンドメイドのチェーンは非常に数が少ないです。
なぜなら1880年以前、ホワイトの地金と言えば銀です。
ホワイトゴールドは19世紀の後半を半分にした更に後半(つまり1875年ぐらいから)フランスのアンティークジュエリーで実用化されています。
(それ以前も部分的には少しグレイッシュなホワイトゴールドがカラーゴールドの一部として用いられているケースはあります。)
しかしチェーンとして出てくるのは大体1890-1930年頃まで。
プラチナのハンドメイドチェーンは1920-1930年頃まで、しかもプラチナのチェーンはオリジナルのペンダントとセット以外のものはまずほとんど手に入りません。
つまり非常に作られた時代が短いのです。
またホワイトゴールドのチェーンはフランスでは僅かに見つけることがありますが、イギリスではほとんど見ることがありません。
これはカラーゴールドの発展の歴史が両国で異なるからでしょう。
と言うわけで前置きが長くなりましたが非常に出てくることが少ないということが、お分かりいただけたと思います。
引き輪が両端についていて、しかも両方ともオリジナルのものであることが分かります
そしてこのチェーンは更に希少な点が見られます。
端を見ますと両端が引き輪になっていることが分かります。
両方の引き輪のツマミ部分を同時に引くことで開閉ができますので、通常のチェーンのようにして使っていただくこともできますし、4番目のお写真のようにアンティークペンダントでよく見られる左右両側にペンダント通しがついているジュエリーの時にも使えます。
こうした両方に引き輪のついているチェーンは後年に、そうした需要を受けて作り直されたものもありますが、これはオリジナルであることが分かる希少な例です。
ツマミ部分を見てください。
引き輪の金具そのものはチェーンと同じホワイトゴールドなのにこのポツンと凸状になった部分だけがイエローゴールドになっているのが分かるでしょうか?
これはアンティークジュエリーで用いられた旧式の引き輪なのです。
イエローゴールドのチェーンでも同じ仕組みのものは多くみられますが、色が異なるホワイトゴールドは、分かり易いですね。
引き輪はチェーンの中で最も負荷のかかる部分、年月を経て磨耗してきたときにこの部分だけ手を入れればいいようにできているのです。
昔は物を大事に本当に良い仕事がなされていることが細部の作りから伺えますね。
チェーンの長さは57センチと少し長めのところも重宝していただけると思います。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークチェーンと現在のチェーンはまったく別物と言ってよいほど価値が異なります。
アンティークチェーンは基本的にはハンドメイドです。
20世紀に入りますと部分的にマシンメイドされたものなども出てきますが、それでもハンドメイドでの作業が入っています。
オールハンドメイドのチェーンは簡単に言えば、一つ一つのゴールド(あるいは銀やプラチナ)の輪を叩きながら形成し、溶接作業でつなぎ合わせてチェーンを作っています。
下記は当店で販売済み、19世紀前半-半ばまでのゴールドチェーン。
細かなパーツの一つずつがハンドメイドで作られているのが、写真からも伝わってくると思います。
よく見ると微妙にパーツが同一ではないのです。
それに対して現在のチェーンはすべての作業が機械化されています。
機械の先から編みこまれたチェーンが出てきます。
これによって丈夫さも美しさも着け心地も変わってくるのです。
機械による作業では均一的にしか金属が流れませんので、金属独特のしなり等に対応しきれません。
金属は叩くことで強度を出ますから(分子に強度が出るため)、機械化されたチェーンでは力のかかるところでチェーンが切れやすいのは当然と言えます。
一方のハンドメイドのチェーンは接合部分が作りこまれていると丈夫なのはもちろん、自然にチェーンが流れて装着した時も綺麗なラインを描いてくれます。
すべての網目が一様になった現代のチェーンは光があったときも均一的に輝き、特にイエローゴールドのものはギラギラしてしまって上品とは言えませんが、1つ1つのパーツが手作業で仕上げられたアンティークチェーンは、それぞれが完全に均一ではなく、光が当たった時も一様にはギラギラと光らずもっと鈍い輝きになります。
それが品の良い落ち着きをもたらしています。
下記も当店扱いのこちらは19世紀半ば頃のアンティークチェーン。
光の当たり方が一様でないのが分かると思います。
当店にご連絡を下さるお客様でアンティークチェーンをお探しの方は非常に多いです。
特に多いのが下記のようなフィリグリー細工のチェーン。
また下記のようなプラチナのアンティークチェーンは製作された期間が非常に短く(1910-1920年代)、その分お探しの方も多いですし非常に見つけずらいアイテムです。
また先日、「アンティークチェーンの価格」についてお電話でご質問を受けました。
近年、円安傾向にありますね。
「円安を受けてアンティークチェーンの価格も2-3割上がってしまうのでは?」と言ったご質問でした。
価格に関してはもちろん高騰していますが、チェーンはまず価格というより非常に見つけずらくなってきています。
まず出てこないのです。
そして希少になってきているために、為替の問題だけでなくユーロ建てでも非常に値段があがってきてしまっています。
アンティークジュエリー全体にこうした傾向はありますが、アンティークチェーンは特にその傾向が強いです。
もちろん良いものをなるべくリーズナブルに仕入れられるよう頑張りますし幸運に恵まれることもありますが、一般的な状況は上記の通りです。
また「ちょうど良いチェーンの長さの計り方」についてもご質問を頂きました。
HPに○センチと記載がされていても、装着時のイメージが湧きにくく困ってらっしゃる方も多いと思います。
そんな時にお薦めなのが、糸を使った計測方法です。
糸をそのチェーンの長さに切っていただいて、首にぐるりとかけて頂きます。
お手持ちのチェーンをあわせられたいということでしたら、ペンダントも是非その糸にかけてみてください。
ご紹介をするのも申し訳ないほど原始的な方法なのですが、やってみるとやはり視覚的にイメージがつかめます。
ペンダントトップは垂れる部分がありますので、少し短めのほうが綺麗だったりと色々と発見があると思います。
もちろんブレスなどにも応用ができますが、チェーンは特に細いものなので、糸とのイメージの違いが起こりにくく特に有効です。
侮れない方法ですので、ぜひ一度お試しください。
繊細なイメージの強いアンティークチェーンかもしれませんが、実はお手入れも可能です。
特に宝石のついていない、18金のゴールドチェーン(YGでもWG)、また高カラットのプラチナチェーンについては、下記のような洗い方が出来ます。
「食器用の中性洗剤で洗う」です。
チェーンをぬるま湯につけてから、いわゆる家庭用な中性洗剤で、指のはらで丁寧に該当箇所を軽くこすります。
それからまたぬるま湯で丁寧に洗い流してください。
それからティッシュや布などでざっくり拭いて、ドライヤーなどでよく乾かしてください。
繊細な作りなのにそんなことをして大丈夫?と思われるかもしれませんが、18金ですので大丈夫です。
ポイントは丁寧にゆっくり洗うことと、よく乾かすことです。
また上記は非常に負担の少ない洗い方で、市販のジュエリークリーナーよりも負担は少ないです。
工房の方いわく、日常の中でつく汚れは主に皮脂の汚れ(油汚れ)であることが多いので、上記の方法は有効だそうです。
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